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"異"能力バトルは劇的に!  作者: しらべ
異世界テンプレは劇的に!
3/26

第三劇 日常だって劇的に!




「───んがッ.........顔が痛い...」


煉華が起きるとそこは見慣れた自分の部屋、キーボードに突っ伏して寝ていたせいで顔が少し痛かった。


顔面にキーボードの跡を付けたまま、とりあえず目の前のパソコンの電源を付ける。


「うわ最悪だ、EDまでスキップされてる誰だよクリアしたの...俺か」


画面にはゲームのクリアロールが流れていた。テキストゲームだったのが災いしたのだろう。


「いや〜それにしても...リアルな夢だったな」


当然、煉華はさっきまでの夢を覚えていた。


「魔王に逆転しそうな所で目が覚めちまうなんて、あとちょっとだったんだけどな...寝るか」


パソコンの電源を切りベッドに潜ると煉華は再び眠りについた。




───────────────────




「───華...煉華...起きて──」


グゴゴゴゴ……。誰だ?わが眠りをさまたげる者は?


「む〜ここは道具に頼るしかないね...」


眠りを妨げる者は、徐ろに煉華の鼻の穴に紙縒りをねじ込む。


「───ぶえっくしょい!!!」


「おはよう煉華、今日は始業式だよ」


はい、とティッシュ箱を煉華に渡す。


くしゃみでダラダラと出てくる鼻水をかみ、煉華は起き上がった。


「...おはよう陽、もう紙縒りで起こすのはやめてくれ」


煉華を起こしたのは篠崎陽(しのざきひかり)、煉華の幼馴染である。


「え〜これだと一発で起きれるんだけどな、ってそんな事より早く着替えて学校行かないと!」


ほらほら、と急かされ1階まで降りる。


「ふぁ...寝み〜、おはよ〜」


リビングでは煉華の姉が朝のニュースをぼーっと眺めていた。


「はよ〜」「パンどこ?」「出てる」「うぃ〜」


パンを焼いてる合間に顔を洗って2階の自室に制服を取りに戻ると、ベッドに陽が潜り込んで寝ていた。


「うをぉぉおおい!! なに人のベッドで勝手に寝てんだー!!」


「ううう...誘惑には抗えない...お許し召されよ...」


煉華が布団をひっぺがそうとすると、それに抵抗する陽。


「う...お...強い!! 抵抗するなー!!」


「や〜め〜て〜!」


「つーか今から着替えるから!! 部屋から出ろーー!!」


死闘を繰り広げた煉華はすぐに制服へと早着替え。陽と一緒に学校へと出発した。






「始業式か〜面倒臭いんだよなあれ」


煉華と陽は下駄箱に靴を入れ上履きを取り出すと、教室に向かう。


「またフケるつもりでしょ! もうエスケープなんてさせないからね!!」


前科持ちの煉華は陽の鬼気迫る表情に頷くしか無かった。


「わ...分かってるよ...」


教室に入りクラスメートに挨拶をして自席に座る。


煉華の席は窓際の後ろから二番目の席だった。


陽が一番後ろの席に座る。


「なんか一席増えてないか?」


席に着いて辺りを見回すと確かに席が一つ増えていた。


陽もそれに気付くと、思い出したように煉華に喋り始める。


「そう言えば噂で聞いたんだけど今日から転校生が来るらしいよ、しかも外国人!」


「へ〜そりゃ耳寄りだな、なんでそんな事知ってんの?」


「その転校生を見た子が言ってたの、うちの制服着てたらしいんだけど、そんな子いないから多分転校生だろうって、うちのクラスだったんだ〜嬉しいな〜」


煉華がふと何気なく床を見た時にそれは起きた。


床にはどこかで見覚えのある幾何学模様が浮かび上がっていた。


「───え」


煉華がただの落書きかどうか確かめようと身をかがめた瞬間、その模様が眩い光を放ち始めた。


当然、教室内は混乱する。


 「うおっ...なんだ!?」「わ〜これ何てライト?」「クソッ...もう組織の奴らの手がこんな所までッ...!」


煉華はこの光にも見覚えがあった。


「これは...夢で見た...どういう事だ? あれは夢じゃなかったのか...? それともこれが夢なのか?」


「れ、煉華ッ! な、何なのこれ!? あわわわッ!! に、逃げたほうがいいんじゃ!?」


「ッ!...逃げ───」


考えても答えの出ない事は後回しにして、隣で泡を食ってる陽だけでも範囲外へ逃がそうとするが、時既に遅し。


一瞬にして光がクラスを丸ごと包み込んでしまった。






気が付くと、見覚えのある空間。


そこは煉華が夢の中で見たはずの、白い壁に囲まれた空間だった。


周りに居るのは光に包まれた時にクラスにいた20人前後のクラスメートと教室に置いてあるはずの机と椅子。


どうやらクラス丸ごと転移してきたようだった。


訳の分からない状況に皆混乱していたが、その時前方から声がかかった。


「初めまして、皆様方、突然の出来事で困惑していらっしゃるでしょうし、まずは自己紹介から、私の名はワンダ、女神ワンダです」


煉華は聞いた事のない名に眉を顰める。


それもそのはず、煉華の会ったことのある女神の名はルキナ。


顔も美形ではあるが、ルキナとは似ても似つかなかった。


(つー事はだ、あれは予知夢的な何かだって事か?)


「ね、ねぇ煉華...私達今どうなっちゃってるの?」


背後から陽が恐る恐る話しかけてくる。


「分からん、ただ...どこかに一瞬で連れてこられたのは確かだな」


「皆様の自己紹介も聞きたい所ですが...まずはこちらに着いてきて下さい」


ワンダが後ろの方へと手を向ける。


見ると確かに扉の様なものがあった。


「取り敢えず今は...着いていくしかないか...」


その場にいた全員がそう思い、ワンダに着いていく。


煉華と陽もワンダの案内に着いて行こうとしてた時だった。


煉華が気付く。


「ん? 何だここ魔法陣みてーなのが二つ重なって...こ、これは...!!」


床には恐らく煉華達を召喚した時にできた巨大な魔法陣があった。そして更にその中に小さな魔法陣が床に彫られている。煉華と陽はその魔法陣の中心にいた。


「どうしたの煉華?」


「俺はこの模様を知ってる...確かにあの時見たやつだ...!!」


煉華がしゃがみこみ、幾何学模様に手を伸ばして触れた時だった。


突然模様が光始めた。


「───は?」


「うぇええええ!? 煉華、今度は何なの!?」


(俺のせいか...!? くそっ、せめて陽だけでも...!!)


煉華が陽を突き飛ばそうとした時に、またしても光が二人を包み込んだ。




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