男子って! ―MAMA美のショートショート―
日常から非日常へ、あったら良いなの大変身?たぶん、みんな1回くらいは思ったことあるよね?たぶんね。
「はあぁぁ、マジで?!無理すぎる。(笑)」
笑い話ではない。マジな話、朝起きたら「男子」になっていた!直接攻撃以上の衝撃、精神的ダメージがデカイ。何これ?うん。仕事どーしよう。
よりによって「男子」?せめて「男性」なら…イヤ無理すぎる。マジで、せめて年は変えるなよー!叫んでもしょうがない。
まぁ簡単な話、ラノベで良く見る展開
「起きたら男の子になってた件」(笑)…ダメだ
唯一違うのは…転生したわけでも、召還されたわけでも無いリアルって話。しかも、若くなってるよ(笑)起きた時は案外気付かないもので、身支度整え始めたら違和感がアリアリと…まぁ、上は元から大きい持ち物ではなかったので悲しいかな気付かなかった。しかし!問題は下!普段は付いて無いモノがブラブラと付いてる訳だから、とりあえずじっくり見ちゃうよね。自分のだから遠慮は要らないって訳で、この際だから良く観察中(笑)
何これ?あー、こう言う構造になってるんだぁ。何て言うか…うん。扱いがわからん!収納って?向きは?疑問で頭グルグルだよ、今までの人生初、超ヤバい!これからどーしよう?
まずは、下着が無い服が無い靴が無い…着れないわけではないが、アカーン!女装子だ!予想を上回る圧倒的女装感⤵️頑張れ私、下着はもう最悪着けない。けど、服はやっぱり駄目だ!
「ピピピピピピッ」えっ、ヤバイ遅刻だっ!イヤ、行けないでしょ!もう、自然とのり突っ込みしちゃうよ(笑)本当休むしかないよね?
会社にはオカンの急病って電話しよう…オカンごめん。2~3日休もう。ん?2~3日で良いのか?1週間くらい必要か、有休まだあって良かったよ。マジほっとした、けど…とりあえずクローゼットから着れる服を探すか。
最悪だ、ダサTとジャージしかない。スカート多すぎ。財布にいくら入ってたかなぁ?至急確認事項ダヨネ、とりあえず100均!近くにあったよね、しま○ら!朝一ならあんまり人居ないはず。
人生の緊急事態(笑)もう、笑うしかない。
この格好で外出るの嫌だ!けど…とりあえず買い物しないと。よし!思いきって…行こう!レッツチャレンジ!
『全部で7.570円でーす。ありがとうございましたー。』
下着、服、スニーカー。うん、何とかなる?よね?誰かに相談するか…誰に?う~ん。今日は様子を見よう、夜まで待って変化が無かったらオカンの所に行こう!きっとオカンなら分かってくれる…よね。あー涙が出てきた、ヤバイなんの罰ゲームだよぉ。
「一回落ち着こう、なんでこーなった?昨日は普通に寝たよね、なんか変なもの食べたっけ?いつもの日常だったはず、やっぱり原因が分からない。」
鏡に写った自分をまじまじ見る…なんか自分じゃないみたい、さすがに髭は生えてないが、男かぁ。
「やっぱ、男になると骨格から違うのかなぁ。やや別人(笑)」
ちょっとだけゴツくなった自分、何だか変な感じ。イケメンではないが、まぁソコソコかな?(笑)自画自賛?ん、まてよ?
「これって…」
もしかして…前からやってみたかった事が出来るんじゃない!今しか無いでしょ!?でも、途中で戻ったらウケる冒険できない自分が恨めしい。明日、元に戻ってなかったらやって見たいけど。
「ちょっと遠くなら大丈夫じゃない?」フフッちょっと悪巧み。
3駅?4駅先イヤ県をまたいじゃうくらいまで足を延ばして、大冒険(笑)一回やってみたかったんだよね「ナンパ」!駄目だワラける、絶対無理ムリ無理!やってみたいけど、うっかり成功したらどーするよ。ノリノリで最後まで行っちゃう?うわー、女の人で起つ自信無いわ(笑)
けど、起たなくても問題あるのよね。ん?まさかのBLか、そっちも有りか…?
「うん、止めとこう。」
ちょっと冷静になってきた、現実味薄っ。もう今は何もしないで居よう。
よし!とりあえず、これからの事を考えよう。
まず明日、変化が無かったらオカンに相談に行こう。それから、病院?行って大丈夫か、嫌な予感しかしないな。これは最終手段にしよう。
元に戻れなかった時の事も考えとこう。
戸籍はどうなるの?仕事は…性別変わっても大丈夫だろう。服は全取っ替えだよなぁ、靴や下着…その他モロモロ。はあぁー金無いよぉ、誰かのお下がりもらえないかなぁ。なんか、考えるの面倒くさくなってきた!一回リセット、お昼食べよ。冷蔵庫に何かあったよね、考え過ぎて頭痛いわ1回休も。
「そーだニュースでも見よ、情報はチェックしとかないと。」
『臨時ニュースです、只今世界中で突然性別が変わる症例が多発しております。お心当たりの方は恥ずかしがらずに、お近くの掛かり付け医へご相談ください。繰り返します…』
!?えっ?!
マジ?私だけじゃなかったんだ!ヤッター!?喜んでいる場合ではない。症例…これって病気なの?もう一回ニュース確認。
『現在のところ、時間経過と共に増加を続けている様子です。具体的な名称や対策はまだ見つかっておりませんが、WHOからの発表も今だ無いようです。ニューヨークと中継が繋がっております。佐々木さん、そちらはどんな状況ですか?…』
世界規模?マジか、やっぱり病院行こうかな。あー、地味に1人では嫌だなぁ。やっぱりオカンか。とりあえず1回相談しよう、久しぶりに帰るか。…電話…しないとなぁ。
(call音)
「もしもし、オカン?私…久しぶり。ちょっと相談あるんだけど、夕方帰ってもいい?」
『珍しいわね…急にどうしたの?夕飯はたべてく?そう、じゃ何か作っとくわ。ちょうど私も、話があったのよ。6時過ぎ?わかった、気を付けてね。』
あぁ、なんか安心した。オカンの反応が普通だった、とりあえず一回帰ろう。
いざ会ったら誰だか分かんなかったりして(笑)、マジで免許証と保険証持っていこうかな。
「今2時か、ちょっと時間あるな。お土産でも買ってくか。」
駅前のケーキ屋さんのショートケーキ、だな。地味に旨い、あとシュークリームかな?
オカンの好きなスイーツ買って先手必勝!
「さて、行くか。」
見た目、とりあえず男子。持ち物がまだ女子だけど(笑)
財布がピンクはしょうがない、カバンは何とか黒。その辺に居そうな感じに出来上がってるよね?問題ないよね?若い子の感覚は分かんないけど、よし良い事にしよう。いざ、決戦の時(笑)久しぶりの実家、何となく心もとない。
―ピンポーン―
『はーい。』
「ただいま。」
『あら、早かったのね。』
?!えっ、オカン…
「あっ?え?それって…」
『私も、ちょうど話があるって言ったでしょ。』
「あー、えぇぇぇぇー!」
オカンが少年になってる!少年?少年!どう見ても12~14才か?
『あら、あんたも思ったより男前じゃない?(笑)』
イヤイヤ、笑い事じゃないよ。オカン、一大事だよ!
「マジか、2人揃って?」
『本当に笑っちゃうわねぇ。』
解ってもらえるか、なんて心配してバカみたいだったなぁ。(笑)オカンの方が適応力抜群じゃない?
『母さん、昔から男の子になってみたかったのよね。ほら、あんたが良く見てたてたBL?あれよ、あれー❤️』
「イヤイヤイヤイヤ、本気で言ってるの病気かもしれないんだよ。病院も行ってないんでしょ?緊張感なさ過ぎでしょうよ。それより何でBLの事知ってるのー?しかも、それはショタでしょ!」
『やだー、あんた本当に真面目ね。病気かも治るかも分かんないんだし、そんなに真面目に構えてたら疲れちゃうでしょ?勝手に読んでたのは謝るけど…母さんもちょっとは好きな事したいわよ。ほら玄関じゃなんだし、とりあえず上がったら?』
そうね、玄関先でする会話では無かった。超予想外、ガッツリ精神攻撃くらってる。自分の時より衝撃的、オカンがBL?私の本、勝手に読んでたな…。
うん、無理こっちの方が理解不能、頭が追い付かない。
「オトンは?」
『居間に居ない?』
オカンの話は一回置いといて、先に挨拶はしておこう。
「オトン?ただいま…」
『おかえり』
オトン落ち込んでるよね、無理もないよねオカンが少年になるってこの年代には理解不能ダヨネ。しかもオカンがあの調子、何かかける言葉もない…?イヤ、なんか様子がおかしくない?普通?
『おー、本当に男になってるな。惜しい18・19才くらいか?でも、なかなかいい男じゃないか。』
惜しい?惜しいって何が?イヤイヤ、オトンもしかして…そっちの趣味があんの?マジでか?確認する…?怖ーっ!
「オトン?今なんて?」
『あー、まぁあれだ…何て言うか…母さんいわく、遅い目覚め?だそうだ(笑)』
マジか、詰んだ。無理すぎる、両親のカミングアウト無理過ぎる!オトンも満面の笑みで、超嬉しそうだし。もしかして、私だけ置いてかれてる?
「ハハハ、異世界の方がマシだったかも。」
リアルの方が酷である。(笑)
お付き合いありがとうございます。ちょっとしたショートストーリーでございました。