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歩き続ける者達  作者: C・トベルト
第4章 門前不動の魔王
33/66

第33話 魔王の企み。

洞窟内部は迷宮のように入り組んでいる。

その中をピリオは一人ふらふらになりながら走っていた。

もう何度も転んでいるのだろう、手や足から擦り傷が見えている。

それでもピリオは走りを止めない。


「急げ…急がないと…!

魔王がダンクを壊しちゃう!」


彼の記憶の中で、一瞬だけ景色が広がる。

それは魔王がピリオに秘密の場所へ案内した時の事だ。


〜数刻前、秘密の場所〜



「ここは…何…?」


ピリオは目を丸くしてその景色を眺めていた。

何故なら、洞窟を抜けた先には小さな集落が存在していたからだ。

ピリオの横で魔王が語り初める。


「ここは我の昔の故郷、『デビルズ・ヘイヴン』を再現した村…。

その名は『リトル・デビルズ・ヘイヴン』だ」

「『(リトル)悪魔達(デビルズ・)避難所(ヘイヴン)』?」

「『悪魔達(リトル・)(デビルズ・)避難所(ヘイヴン)』だ。

実際には悪魔だけでなく堕天使や住む場所を奪われた魔物や龍、絶滅しかけた種族や世捨て人が共存して暮らしている」

「う、嘘でしょ!?

絶滅しかけた種族に…龍だって!?」

「我は昔、ある理由で故郷を捨てたのだが…どうしても故郷の精華町を忘れられなくてな。

だが戻る事が出来ない為、我はこの地に新たな故郷を作る事にしたのだよ。

しかし世界は不思議に満ちているものだ、何故かこの地には居場所を無くした者達が集まるようになり、彼等は共存を望んでいたよ。

我はこの地を秘密裏に広げる為、森の住人であるムサイ族に生け贄を求めるようにした。

『世界から切り離れた人間、または異種族を生け贄として我に差し出せ』…と言ってな」

「そ、それじゃ生け贄の本当の意味は」

「世俗を離れ、この地で暮らすか否かを決める為の儀式だった。

…最も、秘密を守る為ムサイ族には伝えてないから、たまに変な奴を連れてくる事もあるがな」


魔王は静かに息を吐く。

目の前に映る集落はとても静かで平和で…まさに平穏そのものの場所だった。

魔王はピリオの方に振り返る。


「我はこの地に、貴様の旅の同行人ダンクを、この地に招き入れたいのだ」

「え、なんでダンクを…?」

「ダンク…その昔ダンス・ベルガードと呼ばれた者と我は、昔の友だったのだ。

今はダンクと改め世界を旅しているが…我はダンスにもう一度会いたい」

「魔王…?」


記憶の中のピリオは眉をひそめる。

この時止めれば良かった、と今のピリオは後悔していた。

記憶の中の魔王は自分の右手に目を向ける。


「我はもう長く長く過去を見つめ続けてきた。ずっと一人で見つめ続けてきた。だが、ダンスが入ればもうその孤独を味あわなくてすむのだ。

だから我は……ダンクの心を壊し、その中に眠るダンスを取り戻す事にした……そうしなければ、我は永久にたった一人で過去を見つめ続けなければ行けないのだ!」


魔王の体が急に透明になってくる。ピリオはハッと身構えたが……もう遅かった。


「魔王!」

「我はダンクを壊し、我が友を取り戻す!

ピリオよ、貴様もダンクの友を名乗るなら……我を止めてみせよ!

最も、我が秘密の場所を数百年守り続けた迷宮洞窟を一人で出られる訳が無いがな!

去らばだ!ハハハ、ハハハハハ、ハーッハハハハハハハ!!」


笑い声を残して、魔王の姿は完全に消えてしまった。

そして記憶は消え、今に至る。

ピリオは何度も同じ道を走り続け、印になるものを何も用意してないために完全にカンに頼って走っていた。


「急いで魔王を止めないと……くそ、この洞窟本当に入り組んでいて道が分からない!

出口は何処だ!?」


ピリオは無意識に一方向を……その先にいるダンクを、見つめていた。



一方、洞窟の入り口ではダンクはふらふらと立ち上がり、魔王はニヤリと笑みを浮かべていた。


(後少し、後少しでダンスは蘇る!

後はこいつを取り出せば…!)


魔王は懐に隠したあるモノに触れる。

それはダンクがダンスの時代、彼の運命を変えたモノ。

この魔法世界には本来存在しない武器、拳銃(ピストル)だ。


(これで、これで奴の記憶を取り戻させる!

待っていろ、我が友ダンス!)


魔王は包帯の闇の中で笑みを浮かべる。

その暗闇は、誰にも見透す事は出来なかった。


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