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聖女様②
「我々の捜索だけではもう限界に近い。もう、普通の人間では手に負えないんだ」
「それで?」
「君の力で、子供達を見つけて欲しい」
「ーー貴方、私をなんだと思ってるの? 占い師と勘違いしてない?」
受話器を机に置き、備え付けの菓子に手を伸ばすシャルロットは、うんざりしたように独り言のように呟く。
「私の力で人なんて見つけられないわ。強い魔女とかならまだなんとかなるけど、普通の人間ましてや何も力のない子供よ? 無理に決まってる」
「おや、聖女様がそんなことを口にするとは」
「やっぱり馬鹿にしているでしょ」
ぎろりと受話器を睨みつける。しかし、機械の向こうには通じるわけもなく、受話器はやれやれと首を振り、呆れたそぶりをする。
「私だって何も情報がない状態で君に頼むわけではない。送った資料に地図が入っていただろう?」
「ええ、入ってたわよ。ーーとっても見づらい手描きの地図がね」
「自信作だよ」
「不良品でしょ」
「その地図の北側に丸が書いてあるだろう?そこが子供達が遊びに行った場所ーーノースディア地方にある白幻の森だ」