表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋夢 ~こいゆめ~  作者: ぽろ
第一章
5/5

夢の中の彼女は4

入学式当日。

体育館には緊張した面持ちの新入生達が集まっている。

僕はといえば、今日は朝から妙にふわふわした感じで、変な気持ちだ。

「うーん、流石に緊張してきたかも…?」

「俺は全然」

「だろうと思ったよ」

紫音はいつもと変わらない様子だ。

変なのは僕だけなのだろうか。

(…緊張、とも少し違うのかな?)

どきどきするような、これは新しい生活への期待なのだろうか?

僕は胸に手を当て、静かに目を伏せた。

そうすればなんとなく落ち着いた気がした。

「そういえば…おんー、別クラスだったね」

「まー、仕方ないよ。…寂しい?」

「いや、全く」

つれないなーと紫音は少し拗ねたような顔をした。

別に…寂しくないわけじゃないけど…。

「じゃ、俺あっちだから。また後でなー」

「んーまた後で…あっ」

ふと、思い立って向こうに行こうとする紫音の腕を掴む。

顔に疑問符を浮かべて振り返った彼に、僕は笑って言った。

「新しい環境だけど、頑張れよ!」

「…おうっ!お前もな!」

嬉しそうに手を振る友人の姿に、自分も元気づけられた。

……僕も、頑張るか。

気合いを入れて僕も決められた席につく。

そうして、入学式が始まった。


           *


入学式も順調に進んでいると思われた頃、僕らは一つの大きな困難にぶつかっていた。

(校長話長い…)

そう、校長先生の話がとにかく長いのだ。

先生はさっきから淡々と話を続けている。

せめてもう少しわかりやすい話をしてくれれば…!

(こればかりは逃れようもないもんなぁ…)

そんなことを考えていると、眠気がこみ上げてくる。

僕はこみ上げる眠気と必死に戦っていた。

(やばい…ね、眠い…)

隣の生徒とかがうつらうつらと船をこぎ始める。

それにつられて僕も眠気に堪えきれなくなり、一際大きな欠伸をした。


しかし、眠気は次の瞬間綺麗に吹き飛んだ。


ーーバタン。


大きな音が近くからなり、僕はびくっと身体を震わせた。

何だろうと思い音のした方を見ると、生徒が叫ぶように言った。

「先生!隣の子が…」

倒れたのか。

先生がすぐに駆けつけている。

(貧血?大丈夫かな…)

先生がその生徒を支えて、外まで移動させている。


僕はその生徒を見て固まった。


(えっ、嘘…)

頭が一瞬フリーズする。

それから、そうと気づくと体中の血液の温度が一気に上がるようだった。


『すいません…』

呟いた声だって、そうだ。

やっぱりその生徒は…、


夢の中の女の子にとてもよく似ていたのだ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ