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第2編 監視される世界  作者: SEED
第2章 存在する闇へ
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潜入調査!


天翔はいつも通り7時に起床し、日課通り珈琲と朝食を済ます。必要物を鞄に入れて本部へと向かう。エレベーターに乗り込む。


「あっ、あなたはあの時の・・・・・」


後ろにいるのが気づかなかったのでタブレットPCから顔を上げて後ろを見るとそこには雫と一緒にエレベーターに駆け込んできた女性がたっていた。


「どうも。」


頭を下げてからまた画面に目を戻す。彼女はその態度にカチンときてタブレットを天翔の手から奪い去った。


「まだ話は終わってないんですけど・・・・・」


奪い去った天翔のタブレットを見るとそこには『P.J.F.A Top Secret File No.2』と書かれていた。そしてそのさらに下に目を走らせようとすると突然画面がロック画面に切り替わった。


「あっ・・・・」


「人の物を勝手に取るのも、自分が身を置いている上層部の秘密を覗くのは関心しないね。」


そう言った天翔の手にはスマートフォンが握られていた。どうやらあれで遠隔ロックしたらしい。


「あなたがこっちを見ないからでしょう。」


「話、まだ続いてたんですか。」


無愛想にそう返しつつ、彼女の手からタブレットを取り返す。スマートフォンと一緒に鞄にしまってから彼女に向き直った。エレベターはまだ5階をすぎたばかりだ。


篠瀬歩美しのせ あゆみ。身長159センチ。体重46キロ。去年防衛省に入省。北山雫とは同期。趣味は読書から音楽まで様々。防衛省では防衛政策局調査課に所属。・・・これで合ってるかな?」


「な、なんであなたがそんな情報を!?」


「ちなみに君が見たレポートは防衛省のトップシークレットファイルNo.2だ。内容は覚えておかない方が身のためだ。せっかく入れたのに末端に飛ばされる事になる。ああ、それと、君のレポートも読ませてもらったがとてもうまくかけていたよ。ただ、国内の記事なのに国外情報が混ざっていたのは余計だったね。」


「ちょっ、なんでそんなこと!?」


「それじゃ、またご縁があったら。」


そう言って俺はエレベーターから降りて自分のオフィスのドアを開けた。オフィスではすでに雫がデスクに座って書類整理をしていた。


「おはよう。」


「あっ、おはようございます。少佐。」


挨拶をしてから自分のデスクにつき、パソコン3台の電源を入れ、作業を行っているとデスクの前に雫が立っていた。


「ああ、ごめん。集中してて気づかなかったよ。」


「いえ、作業中申し訳ありません。ですが、そろそろ内調の黒田様との約束のお時間です。」


そう言われて時計を確認すると時刻は9時30分だ。そろそろ内閣府庁舎に向かおうか。準備を整えて外に向かい、雫が運転する車の後部座席に座る。


「雫、防衛省の他に知り合いはいる?」


「いえ、特にいません。碓氷さんのことを知ったのもこっちに配属されてからでした。」


「へぇ〜、防衛省の人は頭が固いでしょ?」


「フフっ、そうかもしれません。」


「今度暇ができたらいい人を紹介するよ。各省庁にはいくらか知り合いがいるからね。」


「えっ、そ、それは。。ありがとうございます。」


照れたような顔をする雫を見て、天翔は満足したのか窓の外に視線を戻す。内閣府庁舎前について、車から降りて中に入って行く。受付の人がこちらに顔を向けてきたので雫が受付を済ませる。


「内調の黒田氏に呼ばれてきました。あちらが碓氷少佐です。」


「確認しました。今案内の者が来ますので。おまち下さい。それと、あなたは?」


「彼女は僕の補佐官の北山雫一等兵です。」


「・・・確認しました。では、おまち下さい。」








しばらくすると通路の奥から一人の男が入ってきた。彼は周りを見渡してから俺の姿を確認すると、微笑んでこちらに駆け寄ってきた。


「すみません、おまたせしました。私は黒田情報官の部下である佐藤警部補です。ご案内します。」


佐藤と言われる人物は年齢的には27歳くらいか。この年齢で警部補ということはまぁノンキャリアだろう。ついていくと一つの会議室に通された。正面のソファに黒田情報官が座っていた。


「黒田さん、碓氷少佐をおつれしました。・・・碓氷少佐、どうぞ。珈琲でよろしいですか?」


「ありがとうございます。」


黒田情報官の正面に座り、雫は俺の後ろに立っている。黒田はそちらをちらっと見てから視線を戻した。


「初めてお会いしますね。お噂は予々。その年齢で特務少佐とは恐れ入る。」


「問題は階級じゃありませんよ、黒田さん。力と権力この二つの力のバランスが重要だと思います。」


「確かに。今の政界は様々なところにひずみがあり、自分の地位しか望んでいない馬鹿が多すぎる。」


「それについては同意しますね。」


「ふむ。そこで君に相談がある。・・・この大学は分かるかね?」


「帝都中央大学ですね。」


「ああ、そうだ。ここに現外務大臣 、早瀬霊はやせ くしびの息子と孫がいる。彼らを探り、外務大臣に関する情報を持ってきてほしい。」


「外務大臣が何らかの事件に関与しているんですか?」


「それはまだ分からん。だが、外務大臣と言う事は国外に通じている可能性があるのだ。」


「分かりました。調べてみましょう。でも帝都中央大学のネットワークに侵入するのは簡単ですが、ネットワークからでは確実な情報を得られないと思いますけど。」


「分かっている。そのためにこれを用意した。・・・入ってくれ。」


黒田が声をかけるとドアから一人の男がクリアファイルを持って入ってきた。それを天翔に手渡す。中身は天翔の写真が張ってあるが、まったく別の戸籍だった。


「潜入ミッションだ。帝都中央大学に月城彰、2年生。年齢20歳、情報処理科。として潜入してくれ。期間はとわないが、長引くとカバーしきれない。」


「分かりました。」


「君は成績優秀だと聞いているし、情報のプロだから余計な事だが、根回しはしている。単位は中の上程度で必ず手に入るようにしている。捜査に集中してくれ。・・・・・大学生活を日本で過ごせなかったのだ。ゆっくり遊ぶ事もたまにはいいだろう。」


「はい、ご配慮ありがとうございます。碓氷天翔特務少佐、明朝より任務を開始します。・・・失礼しました。」


部屋の外に出ると、ついてきた雫が息を吐き出した。それを見て俺は苦笑いを漏らした。


「やっぱ疲れるよねぇ。・・・あんなに雰囲気ある人だとさ。」


「はいぃ。本当に疲れますよ。碓氷さんなんであんなに普通にしゃべるんですか。」


「まぁ高校からあんな体験ばっかりしてるとね、こうなっちゃうでしょ。ハハッ。・・・・・さ、雫。車を出してくれるかな。」


「あっ、はい。では車に戻りましょう。」


「すいません!少佐、おまち下さい!」


その声に天翔と雫が振り返るとそこには佐藤警部補が走ってきていた。


「どうしたんですか?」


「お渡しするのを忘れてしまい、申し訳ありませんでした。こちら、北山一等兵のデータンいなります。」


「・・・どうゆうことですか?」


天翔は不思議に思い、佐藤警部補に尋ねる。


「黒田情報官が少佐だけでは動きにくいだろうということで、動きやすい北山一等兵の方も個人データと大学への入学データです。」


「ありがとうございます。」





車に乗り込み、P.J.F.Aの本部へと戻る。本部はいつもの如くフロアごとに忙しそうだ。それを横目に自分のオフィスまでエレベーターで向かう。オフィスについて天翔は自分の資料をデスクにひろげ、経歴データなどを読む。


月城彰つきじょう あきら


年齢 20歳


帝都中央大学情報処理科、2年。


某都立高校を卒業後、現役で合格。大学内学食で週2日バイト。


青葉美緒あおば みお


年齢19歳


帝都中央大学人間教養科、1年。


某私立学校を卒業後、現役で合格。バイトは学外にあり(実際にはしていない。書類・形式上)


「碓氷さんの方は学内にバイトがあるんですね。潜入の邪魔になりませんか?」


「いや、学内にバイトがあるってことは情報収集にも便利なんだよ。さすが情報官なだけあるな。」


「そうなんですか。あっ、だから私は形式上外部にあるってことになってるんですね。」


「そういうことだね。時間で待ち合わせをして情報を交換することにしようか。あまり不自然に接触しても面倒になるだけだからね。」


「さて、準備しようか。今日はもう終わりだ。明日から編入予定だ。準備のために今日はもう仕事は終了だ。・・・もう早めに上がっていいよ。」


「えっ、でも・・・」


「大丈夫、霧島さんには俺から報告しておくよ。おつかれさま。」


「あっ、はい。・・・・おつかれさまでした。」


お辞儀をして雫は部屋から出て行く。そして天翔は椅子を回転させて後ろの大きめの窓から外を見る。そこにはビル群が並ぶ大都会、東京がそこに鎮座していた。


「さて、お仕事お仕事。」


席を立って霧島さんの所へ向かう。


「霧島さん、今大丈夫ですか?」


「ん?ああ、天翔くん。大丈夫だ。どうかしたのか?」


部下と話をしていた霧島さんは話を終えて俺の方へ歩いてきた。


「明日から内調の黒田情報官から依頼された仕事に付く事になりました。」


「そうか。・・・分かった。その調査は僕が聞いても大丈夫かな?一応内容を知りたいのだが。」


「今、聞いてみます。」


携帯を取り出して黒田さんの番号を呼び出す。何回かのコール音の後、電話に出た。


「黒田情報官、先ほど伺った碓氷ですが。」


『ん?どうしたの?資金の話?』


「いえ、P.J.F.Aの霧島指揮官ができるなら調査の内容を知りたいと言ってるんですが、問題ありませんか?」


『ああ、元々君はそこに所属しているからね。構わないよ。だけど、情報は最低限の人間だけに伝えるようにしてくれ。・・・・・あと、資金だけど。この調査には公安も一枚噛んでるから、そっちの方から引っ張れるってあるから一ヶ月100万くらいで済ませてくれるかな』


「分かりました。問題ありません。」


『うん。そうそう、公安の方からは2名出てくるから後から君の方に向かわせるね。』


「了解しました、ありがとうございます。」


そう言って電話を切った。


「霧島さん、OKが出ました。」


「そうか。それで内容は?」


「期間は未定ですが、帝都中央大学に潜入します。潜入目的は外務大臣は何らかのテロ計画に関わっている恐れがあります。そこで帝都中央大学に息子が教授として、孫が生徒として所属しています。そこで俺と北山一等兵が大学内部に潜入します。それと、これには公安も一枚かんでいるようです。」


「公安が?・・・分かった。なにかあったら私の携帯に直接連絡してくれ。」


「分かりました。・・・失礼しました。」



部屋を出た天翔はオフィスには戻らず自宅に戻った。自宅に付いた事には外は暗くなっていた。部屋の電気をつけて中にはいるとそのままベッドに横になる。するとすぐにチャイムがなった、ベッドから体を起こしてドアを開ける。


「宅急便で〜す。ここにサインお願いします。」


「分かりました。」


サインをしてから大きなダンボ—ルの荷物を受け取る。


「ありがとうございました〜」


「・・・・・けっこう大きいな。」


リビングにもどり開けるとそこには制服、黒地のリュック、各種教科書類が入っている。それを確認した俺は制服をハンガーの上にかけてバスルームにはいり、シャワーを済ませた。


「さってと」


スウェットに着替えた俺は別室に入った。そこにはデスクトップパソコンが5台並んでおいてある。他にも外付け用のハードディスクやケーブルなどが乱雑に置いてある。天翔の家で唯一汚い場所だ。



パソコンの前に座り、電源を入れる。


「さてさて、潜入する前に帝都中央大学のサーバに侵入しておきますかね〜。」


コマンドを打ち込む。そしてバックドアをしかけ、管理者権限を奪取しておく。帳簿などを覗いても特に怪しい所は見当たらない。


「まぁ、経営的には普通に安定してそうだしな。」


脱出してから電源を落とし、適当に学校の荷物をリュックへ詰め込み、そのままベッドに入ると一種で眠気がやってきた。

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