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第2編 監視される世界  作者: SEED
第4章 真理の裏側
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裏側への道




表に戻ると、雫は慌てたように俺に駆け寄ってきた。


「少佐!今までどこに行ってたんですか!?」


「すまない。でもこちらも緊急事態だったんだ。悪いが、俺は護衛から抜ける。欠員補充申請を出しておく。雫は護衛を続けるんだ。」


俺の言葉に雫は目を開き、驚愕の表情を浮かべる。


「し、少佐、なにがあったんですか。国防長官護衛の任務を外れるなんて。」


「これは日本、いや世界を巻き込んだテロだ。俺はそれを止めにいく。」


「そんなこ・・・・・「説明してもらおうか。」」


雫の言葉にかぶせてきたのは噂をすればなんとやら。ハレヴィー長官だ。天翔はとっさに敬礼をする。


「申し訳ありません長官、私は急遽特別任務が入ったために護衛の任を離れます。」


「ほぅ。私以上にこの状況下で重要なことがあるというのか。」


「・・・・はい。」


「そうか。・・・・・ふむ。話してみたまえ。」


「・・・・・は?」


「だから話してみたまえといったのだ。話を盗み聞きしたわけではないが、世界的なテロと聞こえたのでね。大国である我々がそれを防ぐために動かずなんとするか。」


「・・・・・」


俺は長官の目を正面からみた。この人のが本当に俺の言葉を信じるというのか。だが長官は目をつり上げ、俺の次の言葉を楽しそうに待っている。


「わかりました、お話します。」


「うむ、懸命な判断だな。」


忘れていた。この人は常に楽しんでいるのだ。自分の命が危険な状況でも、天翔が国務省のサーバをクラックしたときもそうだった。使えるときにはなんでも使うし、常に自分の周りの状況と、リアクションを楽しんでいるのだ。そして自分が楽しむためには、力を出し惜しみしない。



「今回、長官の護衛につきました。その際、三葉東洋工業という会社について徹底的に調べました。すると、この本社の設計図にある『空白』を見つけました。それもかなり大きい。そのため私は護衛を雫一等兵に任せ、社内を洗い・・・・・見つけました。」


「・・・何をだね。」


「長官もご存知でしょう?『New Order』を。」


「・・・・・あれは破壊されたはずだ。」


長官は顔を歪めた。


「ええ、そうです。私もそう認識していました。しかし三葉東洋工業の社長である三葉洋一郎は研究者、四条敏哉から『New Order』の設計図を受け取っていたんです。」


「さらに三葉東洋工業はNew Orderのシステムを一部政府に貸すことにより、政府に外国との密約を黙認させていました。・・・そして三葉洋一郎は、現在『New Order』の改良版開発に着手しているといっていました。」


「改良版?New Orderの改良などシステムを完全に理解してる四条でしか不可能なはずだ。」


「そのはずです。しかし現に空・・・宇宙には示顕エンジンを積んだ人工衛星が5つ存在しています。そして最後の一台を宇宙に配置することにより、6台の次元エンジンは完全なリンクを行い・・・・・世界を変革させます。」


「変革、とは?」


「それはまだわかっていません。いっさいのテクノロジーを破壊し、地球を原始時代に戻すかもしれないし、各国の幹部の銀行口座を空にして貧困層へと配る。・・・・・いずれにせよ、何かが、大きく変わる。三葉洋一郎はいっていました。『私が歴史を変えるのだ。今までの偉人が行えなかったことを。今、私が行う。』と。」


「なるほど。事情はわかった。現時刻よりチーム・ハイドを私の護衛から外す。後はSPで十分だ。」


「君のことだ。すでに鍵はつかんでるんだろう?」


「はい!」


「いきたまえ、私は立場上手助けはできないが、米国のシステムを停止させてくれくらいならできる。世界という天秤はいま『碓井天翔と三葉洋一郎』の中で揺れ動いている。しかし覚えていてほしい。・・・いつの時代も、世界を変えるのは、システムではなく、人なのだと。」


「はい、承知しています。」


「では、世界が変わったあとにまた会おう。君の選択を私は楽しみにみている!」


そういって長官は車に乗り込み、大使館へと戻っていった。天翔と雫はタクシーを呼び止め、成田空港へと向かった。


「少佐、空港へ行ってどこに向かうおつもりですか?」


「種子島だ。種子島で最後の人工衛星が打ち上げられる。それを止める。」


「・・・わかりました。私はどこまでもついていきます!」


「すまない。君にも迷惑をかける。」


そして成田空港から、種子島空港へと向かった。











雫と天翔が種子島空港へとつくと、昔と変わらない景色がそこにはあった。天翔はタクシーを呼び止め、種子島の南端にある種子島宇宙センターへと向かった。宇宙センターの前はすでに物々しい雰囲気で包まれていた。




「よし、この人数じゃ踏み込みは不可能だ。正面入口から潜入する。」


「少佐、まってください。」


「どうした?」


「もう少しで霧島さんが部隊を引き連れてきます。・・・もう少しだけまってください。」


天翔はその言葉に顔をしかめた。この状況下で特殊部隊を投入するわけにはいかない。


「だめだ。これ以上相手に時間を渡すわけにはいかない。それに、今の状況で部隊を投入するわけにはいかないんだ。」


「でもそれでは・・・」


「このまま待機だ。俺が指示を送ったら突入してくれ。頼んだぞ。」


「少佐っ!」


天翔は持っていたハンドガンに弾が装弾されていることを確認して、入口を乗り越えた。











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