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第2編 監視される世界  作者: SEED
第4章 真理の裏側
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過去、それが真理

そろそろ終わりに向かいたい・・・



「ここは・・・・・これは・・・・なんなんだ・・・・・・」


その光景を見た瞬間、天翔は意識などせずに、その言葉を発していた。なぜならそこには、ここに存在してはならないものが存在していたからだ。








そう、それは・・・・・・——————————











ことの始まりは天翔が衝撃の真実を見つける数時間前にさかのぼる。天翔、雫のチーム『ハイド』は国防長官の護衛のために三葉東洋工業を訪れていた。三葉東洋工業は日本でもかなり名のしれた企業で、日本政府や警察庁から依頼を受けることもあるそうだ。しかし黒い噂もない訳ではない。例えば、裏でマフィアとつながっているとか、日本政府の支持率をあげるための窓口だ、、、あることないこと。




天翔はその噂を信じてもいないし、信じてもいた。前から外国筋で日本の企業と違法取引しているとは聞いていたからだ。しかし、それが三葉だとは限らない。




天翔は会議室での護衛を雫に任せ、会社内部を探っていた。今天翔の手にはスマートフォンが一台ある。そしてセキュリティシステムに侵入し、天翔が廊下を通る瞬間だけコピーしておいた画像を差し込み、偽装していた。




「ここも・・・・・・違う。」


天翔が探しているのはある部屋だ。前からわかっていたことだが、この企業には設計図上に存在しない部屋がある。昨日、護衛のために内部地図を見ていたが、そこで偶然発見した物だった。霧島さんにはまだ報告していないので、あの場を雫にまかせて独自調査をおこなっているというわけだ。


「それにしても、あれほどの『空白』があるってことは、かなり広い場所のはずだと思うんだが・・・・・」


それらしき可能性は全く見当たらない。やはりただの設計図上のミスだったのだろうか。そして、一人のスーツを着込んだ男を見つけ、天翔はとっさに壁へと張り付き、サイレンサー付きのハンドガンを腰から抜く。どうやら男のほうは天翔に気づいていないようだ。すると男はエレベーターを呼び、周りをきょろきょろとし始め、スッとエレベーターの中へと入っていった。


「何階で降りるんだ・・・・・」


周りに気をつけながらも天翔は男がどこで降りるのか気になり、メーターを見つめていた。

するとエレベーターは突然3階にさしかかったところでエレベーターの場所を知らせる光が消失した。


「っ!?・・・・・どういうことだ。ただ単に故障?」


数秒すると光はフッと光だし、2階、1階へと降りていった。俺はすぐにエレベーターを呼び戻し中に入った。そしてエレベーターが消えた3階のところまでいってみるが、何の問題もなく1階まで降りてしまった。


「くそっ!・・・・・いったいどういうことなんだ。」


天翔はイライラとして、エレベーターの壁を蹴っ飛ばした。するとそこだけが音が違う。


「・・・・・」


蹴った場所をもう一度手でたたく。


(こんこんっ)


そして隣の場所をたたく。


(とんとんっ)


「・・・・・」


天翔はおもむろにに音が違った部分の壁をこじ開けるとそこには一つのボタンが存在した。そしてエレベーターをさっきいた階まで戻し、3階にさしかかった瞬間にボタンを押す。するとエレベーターは突然重力に逆い、横方向に動き始めた。


「なるほど、そういうからくりか。」


エレベーターは数秒横移動を行うと、停止し、ドアが開いた。天翔は中からハンドガンを持って飛び出した。そこはコンクリートの通路になっていた。銃を構えたまま奥に入っていく。角を曲がろうとして、天翔は止まり、前方に目をこらす。そこには足首あたりの高さにピアノ線が張られている。おして横にはクレイモアが設置されている。クレイモアとは指向性対人地雷だ。これは待ち伏せする際に驚くほどの効果を発揮する。


「この程度のやり方はアメリカで仕込まれたからな。設置するポイントも素人からプロまでお手の物ってね。」


クレイモアをよけて奥に進んでいくと、すぐに大きな部屋に出た。2階分をぶち抜き、横2部屋つなげたような部屋だった。


「やっと見つけたぞ・・・・・」


携帯を取り出し電話をかけるが、呼び出し音が永遠となり続けるだけだった。おかしいと思い、ディスプレイをみると圏外と書かれていた。このディジタル時代全盛期でネットから断絶された空間など、意図的に作らないと不可能だろう。


「くそっ・・・・・」


携帯をしまい、銃を構え直す。再び奥に進んでいくとそこには予想を超えたものが鎮座していた。




「ここは・・・・・これは・・・・なんなんだ・・・・・・」


その光景を見た瞬間、天翔は意識などせずに、その言葉を発していた。なぜならそこには、ここに存在してはならないものが存在していたからだ。








そう、それは・・・・・・————「そう、これが『New Order』だよ。」


突然後ろから声が聞こえて、天翔は瞬時に振り返って銃を構えた。そこには少し茶色かかった髪のいかにも優男という感じの男がたっていた。おそらく年齢は20代後半。


「・・・・・誰だ!?」


「こんにちは、こうして顔を合わせるのは初めてかな?」


「・・・・・」


「私は三葉東洋工業社長、三葉洋一郎だ。以後よろしく、伝説のハッカー。」


男は天翔に向かって頭を下げ、顔を上げてこちらに歩み寄ってきた。天翔は横によけ、男から銃口をそらさない。


「そんなに警戒しないでくれたまえ、私は君と敵対する気はないんだ。」


「この部屋がなぜ設計図から抹消されているか、ここに来てようやくわかったよ。」


「そうかい、君の興味を引けたのならなによりだ。」


「歴史上の伝説として語り継がれる天才物理学者、『四条敏哉』が作り上げた全世界観測システム『New Order』だ。」


「だが、あれは・・・・・・・」


「そう、あれは四条博士が作り出し、君と並ぶほどの天才ハッカー『アサルト』が破壊した。・・・はずだった。だが、そこに私がいた。私は学生時代、四条の研究に携わっていた。そして四条敏哉は、私にシステムの設計図を渡したのだ。」


「そんな・・・・・馬鹿な。」


「これのおかげで私はここまでこれた。しかし私はこれで満足などしていない。『New Order』のアップグレード版をすでに制作中だ。」


「!?」


「もう手遅れなのだよ。君が気づいたときには。・・・・しかし、君にはとても感謝している。君がこれまで行ってきたハッキングの技術を盗めたんだからね。そのおかげで次はさらにいい物が作れそうだ。」


「俺のハッキング?・・・・・まさか、システムはそんなことまで!?」


「君の行動は日本政府にマークされていた。つまり、それは『New Order』にマークされていたということだ。三葉はこのシステムを日本政府に提供することでここまで生き残ってきたのだから。・・・最近米国がちらほらとここを嗅ぎ回っているようだがもう遅い。」


「もはや『New Order』はここに捨て置く。次は宇宙だ。誰にも手出しができず、誰にも破壊すら許さず、人間を管理する。君の技術と、我々三葉が開発した光子基盤を使い作り上げた示顕エンジンを使ったマシンを宇宙でリンクさせることにより、世界は変わる!」


「馬鹿な、示顕エンジンだと・・・」


「そうだ。米国が開発した量子コンピュータの計算速度など目ではない。その力はもはや現実すら湾曲させる!宇宙に衛星を打ち上げ、地球を囲むようにリンクさせる。そうることで人類、いや地球は変わる。これまで数々の歴史的人物がなし得なかった本当の革命を、今、私が成す!」


「残りのロケットは1つだけだ。すでに5つの打ち上げが完了し、リンクを行っている。いくら天才ハッカーといえども、もう勝てるわけがない。さらばだ。」


そういい残し、洋一郎は部屋を去っていった。天翔はすぐに『New Order』へ近づき、処理を停止しようとした。しかし停止にはバイオメトリクスを利用したパスワードが必要で洋一郎しか不可能なのだ。だが天翔は強引にネットワークケーブルで自分の端末と接続し、接続を外部からの認証された通信と誤認させることで、一時的な操作権を取得した。


「よし、まずは最後のロケットの発射地点を・・・・」


コマンドを入力していく、存外発射地点はすぐに見つかった。場所は・・・種子島だ。


「よし、次は・・・・四条敏哉についてだ。」


コマンドを再び入力し、階層を潜っていくと突然警告画面が現れた。どうやらこの階層より下は『New Order』からのアクセスしか認めていないらしい。


「くそっ!!・・・・・ここまでか。」


天翔はケーブルを引き抜き、歩いてきた廊下を走って戻った。





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