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第2編 監視される世界  作者: SEED
第4章 真理の裏側
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かげ、カゲ、影




翌日、天翔はβ NETに自室から接続していた。以前あった池袋の廃ビルはすでに解体され、今では自室がオートゲートとなっている。β NETに接続すると、そこには『FLEET』と『FaCeHack』がオンラインになっていた。


———Trike ONLINE———



FLEET——やぁ久しぶりだね。


Trike——そっちこそ元気そうで何よりだ。見ない顔がいるな。


FaCeHack——天下のNo.3に会えるなんて、偶然だな。・・・お初にお目にかかります、Trike。『大戦』での活躍は聞いています。


Trike——君は何番?


FaCeHack——4番です。No.3。


FLEET——そういえば、今日本にはアメさんの国防長官がいるそうじゃないか。さぞかし忙しいんだろうな。


Trike——そうでもないさ。俺達みたいな人種には関係ない話だ。


FaCeHack——そうですかね?噂じゃアフリカからもテロ関係の人間が日本に行ってるとか行ってないとか。


Trike——あぁ、4番は『核の終決』か、思い出したよ。



世界で4番目に世界を震撼させたサイバー犯罪者『FaCeHack』β NET No.4。解読不能な暗号を生み出して世界に対して核弾頭の発射スイッチのセキュリティクイズをやらせた。今では『核の終決』として語り継がれている。3日間暗号は解除されなかったが、当初中学生だった天翔がβ NETの処理演算をすべて使い、暗号を解読した。


FaCeHack——まさかあんなに簡単に解読されるとは思っても見ませんでした。


Trike——β NETの処理演算を使えばそう難しいことじゃない。


FLEET——あの時はβ NET参加者が全員了承して可決されたけど、β NETの処理演算能力を使うときは過半数の了承が必要だからな。それに、その処理演算を可能にするソフトを書き上げる技術も必要なのさ。


FaCeHack——さすがです。


Trike——ほめても何もでないぜ。


FLEET——ところで、東京で最近妙な噂を聞くんだが、なにか知ってるか?


Trike——国防長官来日の件以外でか?


FLEET——あぁ、そうだ。噂じゃ警察庁の中がごたついてるとか言う噂だ。


Trike——なんでお前が警察庁の中の情報を持ってるんだよ。


FLEET——忘れたか?俺は警察機構専門のハッカーだぜ。


Trike——・・・・・それで?


FLEET——気をつけろと忠告しておいてやる。お前の国の上は何かを隠してる。いや、『上』は知らずに、警察庁内の問題なのかもしれないが、お前が長官警備に回るということはなにかが起きる。


FaCeHack——・・・・・


Trike——分かったよ。








———Trike OFFLINE———






天翔は自宅のPCから目を離し、朝日に照らされる住宅地を見る。室内の気温は18度に保たれているが、おそらく外は現在10度ほどだろう。デスクの端においておいた携帯が天翔が小学校の時に流行ったJ-POPの軽快なミュージックを奏でる。電話に出ると相手は雫だった。


「おはようございます、少佐。」


「うん、おはよう雫。」


「今日の予定に変更があったので、ご連絡をと思いまして。」


「ありがとう。」


「はい。今日は本部で事務処理の予定でしたが、ハレヴィー国防長官が三葉東洋工業の社長と面会したいとのことで、そちらの護衛に回る事になりなりました。」


「三葉東洋工業って言えば、日本を代表する工業生産・研究会社だよね?そこに国防長官がなんのようで・・・・・・」


「分かりません。ですが、技術提携のような物を結びたいのかもしれません。」


「なるほど。海外にはバレたくないからこの気を狙ったわけだ。・・・・・分かったよ。」


「時間は午前10時に大使館前に集合ということでした。」


「分かった。連絡ご苦労。」


「はい、失礼いたします。」


そう言って電話が切れる。携帯を起き、部屋着からスーツへと着替える。普段は私服で本部にも出入りしているが、今回の作戦ばかりはスーツを着用してほしいと霧島さんに頭を下げられてしまった。






準備を終え、最後に仕事道具であるノートPCを鞄に放り込む。


「さて・・・と。そろそろ向かうか。」








午前9時45分、大使館前に車で入ると守衛の人物に通され、結局はエントランスの中まで入ってしまっていた。


「やぁ、すまないねカケル。わざわざ中まで。」


「お気になさらないでください長官。我々は安全を確保するためにいます。中まで護衛することができるなら我々はむしろ助かります。」


「ありがとう。•••••それでは行こうか。」


「はい。」


表に止まっている車に乗り込み、三葉東洋工業本社を目指して車を発進させる。車は問題なく進み、高速道路を進み無事に目的地へと到着した。

車を表の入り口ではなく裏口へととめると、中から取締役補佐が数人を従えて出てきた。




「おはようございます、ハレヴィー長官。私、三葉東洋工業で取締役補佐をしている三津橋要みつばし かなめといいます。よろしくお願いいたします。」


三津橋 要と名乗った男は年齢的に30代前半というところだ。取締役補佐を任せられるにはまだ少しどうしても若く感じてしまう年齢だ。


「こちらこそよろしく頼む。Mr.三津橋。」


「はい、ではこちらになります。すが鳥羽糸とばし、車を駐車場の方へ頼む。」


「「わかりました。」」


後ろにたっていた者たちはどうやら車を駐車してくれるようだ。雫はそれに従い、車をおりた。そして天翔の斜め後ろの場所へと戻る。雫はキョロキョロと周囲を見回し、視線を一点で停止した。


「少佐、あそこを・・・・・」


「どうした・・・・・」


「いまあそこにこっちをみている男がいたようなんですが。」


「・・・・・いまは、いないな。」


「はい。私の気のせいだったかもしれません。」


「いや、気になったことはいってくれ。できるだけ情報は共有しておきたい。」


「はい、わかりました。」


中にはいって行ると人は誰にも出会わなかった。


「ここには社員はいないんですか?」


「いえ、ここは本部と言っても情報や技術が集まり、それを再分配する役割を担っているのです。そのためここにいるのは少ない幹部と社員だけになっています。


「なるほど・・・・・。」





それを聞いた天翔は無性に気味が悪い「違和感」を覚えた。







「(気のせいか・・・)」




そう思い込んだ天翔はみんなを追いかけた。





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