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第2編 監視される世界  作者: SEED
第3章 新たなる敵
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文化祭 2日目 後編



// 雫 Side START //


悠真さんと天翔さんがメインストリートを駆けているのが見えた。私は話しかけようとせずにそれをずっと見ている。そして天翔さんが端末を見ていると後ろから近づいてくる男が見えた。そして私はその人物を知っていた。悪名高きDoF総帥、エドワード=バレリー。悪名と言っても奇妙な組織でテロで一国家から8000万ドルせしめ、それをすべて米国の難民保護募金機構へ募金したり、国のデータベースに侵入し一人の女性が欲していた離婚相手のデータを引き渡したり。この女性はDoFに全く関係がなかった。その後、その離婚男性は・・・・言うまでもないだろう。


そんなおかしな事をしている訳の分からない組織だ。だが統制や技術は一級で、少なくともFBIやCIA、NSAなどに侵入する技術を持つ特S級(ウィザード級)のハッカーが存在しているのは確かと言う情報だ。







私は腰におさめてある回転式拳銃に手を当てた。ここから天翔さんまでの距離は目測60メートル。私の銃の実技レベルはB+。外す距離ではない。しばらく話しているとエドワードは仲間を連れてメインストリートを歩いて行った。私は拳銃から手を離し、天翔さんの元へ向かった。



// 雫 Side END //





エドを見送ったときから絡み付くような視線、殺意のような漠然とした物を感じていた。完全に立ち去った事を確認したかのように敵意がなくなり、感じていた方向から雫が走ってきた。


「天翔さんっ。」


「雫、なんだか久しぶりにあった気がするね。」


「はい、私もです。・・・・・さっきの、エドワード=バレリーですよね。どうしてここに。。」


「俺に用があったみたいだよ。」


「お、お知り合いなんですか?」


「昔、ちょっとね。昨日デサイズのリーダーがきただろ。その件について謝りにきたみたいだ。」


「謝る・・・・・?」


「ああ。『あれは僕たちDoFの真意ではない、あいつにはきっちりお仕置きをしておく』ってね。」


「は、はぁ。」


「雫、俺そろそろ行かないと。」


「あっ、はい。私はこれからREAL BLUEさんのライブ見に行きます。天翔さんもよかったら来て下さいね。」


「用が終わったらすぐに向かうよ。」


「はいっ、ゼッタイですよ!」




雫が走って走り去ってから、俺も雫が向かった方向へと歩き始める。ステージ前はすでに満員。人で溢れ返っていた。それを横目で見ながら関係者入り口のテントに入る。中にはすでにREAL BLUEのメンバーが楽器の準備をしていた。美優と健太はギターの調整をしていた。桃子と透はキーボードとドラムのため、もうセッティングをすましてあるようだ。


「ごめん、少し遅れた。」


「本当だよも〜。ちょっと焦っちゃったよ。」


美優が愚痴を言ってくる。しかし「そう言うなって。今回は楽しもうぜ!」と透が呼びかけている。


「実際、私たちがココでライブするのは事務所の許可は出てるとはいえ、独断に近い形だからね。これは楽しまないと損だよ。」


桃子が言うと全員がうなづいた。



「みなさーん、そろそろ時間なのでお願いしまーす。」


事務の方がテントの外から声をかけてきた。メンバーは円陣を組む。


「おい、な〜にしてんだ。はやくこいよ!」


健太が俺の方に叫ぶと全員が来い来いとジェスチャーしている。どうやら円陣に参加させてもらえるようだ。


「よっしゃ。今回のライブは非公式だけど、本番に代わり無し!しまっていこう!」


「「「「おーー!」」」」


美優のかけ声を聞いて俺を含めて全員が叫ぶ。そしてREAL BLUEのメンバーはテントから飛び出して行く。俺の出番はREAL BLUEのメンバーで2曲演奏後だ。




















1曲目の演奏が終るとすでに外は最高潮の盛り上がりだ。


『それじゃぁ2曲目いってみよぉう!』


美優の声がマイクを通して聞こえてくる。それに答えるように観客の歓声が聞こえてきた。








「そろそろ出番か。」


立ち上がりギターの最終点検をする。よし、問題なしだ。








「皆ありがと〜〜。・・・それじゃ、ここでみんなが気になるスペシャルゲストを紹介します!」


『『『おぉーーー!』』』


『その方は〜〜〜・・・・・帝都中央大学、情報学部所属、天才エンジニア!月城ぉ〜彰ぁ!』


天才エンジニアなんて誰がつけたんだよ。と考えながらもステージ上にあがる。そこには自分が体験したことのない世界が広がっていた。一言で言うなら『熱』観客が発する熱を可視化したような感じだ。


「どう?この眺めは、すごいでしょ?」


となりに立っていた桃子が耳打ちしてくる。


「あぁ、全くだ。」


登場すると観客から驚きの声と憧れの声が飛び出してくる。


「キャァアアアー!!彰くーーーんかっこいい!!」「月城く〜〜〜〜ん!」「連絡先教えて〜〜〜!」


『え〜、すごい人気の天翔くんですが、なぜ彼をゲストに選んだかと言うと。私の親友だからなのが一番の理由です。彼はアメリカに居た頃に仲良くなり、それから今ではメル友です!』


「月城貴様ぁあああ!!」


美優のファンからは激情が飛び交う。まぁそれはそうだろうけど・・・・・


『それじゃ、3曲目は彰くんが歌います。「The World END LOVE」』


俺は美優が立っていた位置に立ち、アメリカで培った演奏技術で歌を歌う。この曲はアップテンポながら、沙紀の事を考えて作った曲だ。美優の太鼓判も貰っている。









2日目最後の見せ場の、始まりだ!

































歌いきると、大学全体を覆うかのような拍手が飛び交った。














この日、俺はREAL BLUEのメンバーと打ち上げ会をやり、大学の皆とは会えずに自宅へと戻った。

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