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第2編 監視される世界  作者: SEED
第3章 新たなる敵
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希望と結果 前編





昨日の運営会議を行った翌日、天翔はP.J.F.Aでプログラムの作成を行っていた。今操作している持参のラックトップはP.J.F.Aのネットワークに接続していない。これは大学の早瀬教授から頼まれたプログラムだ。自分のラックトップで操作する方が楽だし、気をつかわなくてもいい。するとP.J.F.Aのネットワークに繋がったPCがメールを知らせるポーンッという軽快な音を鳴らした。


「霧島さんからか。」


>>霧島


 >今週末に久山大臣が主催するパーティがあるんだ。それに出席してほしい。時間と場 

  場所は追って連絡する。



「・・・・・・」


「何か、あったんですか?」



「ん?あぁ、霧島さんからパーティの連絡がきただけだよ。」


どうやら自分はよほどのしかめっ面をしていたらしい。雫が何かトラブルかと思い話しかけてくれたようだ。


「パーティ・・・ですか。」


「ああ、今週らしい。お偉い方の前に出て行ってご機嫌を取って来期のための予算をおねだりしておかないとな。それでなくてもこの組織、財政難らしいし。


「大人の世界って感じですね。・・・私まだ社会に出てきて1年目なのでよくわかんないです。それにまた大学に入ってますし。」


そう言いながら雫は苦笑いをこぼした。



「雫、午後の予定は?」


「今日は特に予定は入っていません。事務所類もほとんど片付いてますし、どうしますか?」


「う〜ん、そうだな。訓練場の見学にでも行ってみようか。雫入った事ないんだろ?」


「はい、私実はここに配属されてからほとんどの施設を使った事がなくて。」


「なら丁度いい、誰か訓練してるかもしれないしね。」


「分かりました。」


















訓練場に行くと、第一特殊部隊の面々が訓練を行っていた。屋内でハンドガンでの急襲作戦の訓練を行っているようだ。俺と雫は3階程度の位置にある訓練場を見渡せる展望席に来ていた。


「へぇ〜、訓練場ってかなり広いんですね。」


「あぁ、1階から4階まで全部ぶち抜いてるからな。それに横も東京ドームくらいの大きさがある。」




雫は興味津々と言った様子で下の様子を見ている。下のステージでは鳴の姿も見える。鳴は部下に鋭い指示を飛ばしながら自分の持っている銃で標的の的にしっかりと命中させている。


「やっぱり伊藤先輩はすごいですね〜。」


「雫は鳴に憧れてるの?」


「はい、それはそうですよ。あの若さで特殊部隊の隊長なんて、憧れです!」


「まぁ鳴は俺の一つ上の先輩でもあるけど、あの人はかなり有能だしね。」





大きな警告音が鳴り、訓練が終わったようで隊のみんなは全員横にあるベンチサイドへと下がって行く。


「俺達も下に行ってみる?」


「はい、ぜひそうしましょう。」


俺と雫は階段を降り、訓練場の重いドアを開けて中に入った。中には模擬弾の薬莢が散らばっていた。その中を天翔は突き進み、雫が転ばないように手を繋いで歩いた。サイドベンチの前に着くと、中にいた第一部隊のメンバー4人が一斉に驚いたような顔をした。


「え、碓氷少佐?!」「おいおいマジかよ。」「少佐がなんでこんなとこに」


など様々な声が聞こえてくるが、天翔は苦笑いを返すしかない。するともう一人が天翔と雫を見て言葉を発した。


「少佐、そっちの人。彼女ですか?」


「え?」


俺が唖然とした声を返すと手を握っていた雫がビクッと体を跳ね上げた。


「少佐みたいな若手の出世頭を落とすとかやるねぇ。」


「羨ましいな〜、私も少佐みたいなかっこよくて優しい恋人が欲しい。」


などという言葉も聞こえてくる。第一部隊のメンバーは鳴と男子が2人、女子が2人という状態だ。そして奥で銃の整備をしていた鳴も騒ぎを聞きつけ、ベンチから出てきた。そして俺を見て微笑み、次の瞬間顔がこわばった。


「(鳴さんってさ本当に分かりやすい性格してるよな)」


「(あぁ、任務の時の人とは完全に別人。)」


影で躱される会話は時に本人が知らない方が得な物も存在するらしい。



「か、天翔くんどうしたの?」


「いや、雫が配属されてから訓練場見た事無いって言うからさ、案内してたんだ。」


「へ、へぇ。そ、それでどうして手を繋ぐことになってるのかな?」


「あぁ、それはただ薬莢で転ばないように俺が握っただけだよ。雫ごめんな。」


「い、いえ。私は嬉しかったですから。」


赤い顔をして手を離す雫を見て鳴は恐ろしく危機感的な物を覚えた。


「・・・・・」


「(おい、隊長泣きそうじゃん。どうすんだよ。)」


「(ど、どうっていっても。俺達みたいなヤツが修羅場に水を差すのもどうなんだよ。)」


「そうだ、鳴さん。次のメニューは模擬戦ですよね?」


横に立っていた女子メンバーが修羅場に割って入った。男子2名と女子1名はそれを尊敬の眼差しでみていた。


「ええ、そうよ?」


「それなら少佐にも参加していただいたらどうでしょうか。」


「・・・・・それは良い提案ね。天翔くん、いい?」


「ああ、俺はいいよ。雫はどうする?」



「私は・・・・・・」


「雫さんも参加してみたらどうですか?」


「えっ?」


「天翔さんに着いて行くなら多少は訓練も必要だと思うんですけど。」


女子隊員が少し強めに言うと、雫は驚きながらも参加を承認した。


チームα、天翔・雫


チームβ、鳴、女子A、女子B、男子A、男子B




「少佐、人数的にも経験的にも不利ですけど、いいんですか?」


「うん、おれはこの方がやりやすいから。」




「隊長、ここで雫さんを倒して隊長のイメージアップですよ!」


「えっ?えぇ!?」


「雫さんに取られちゃっても良いんですか!?」


「い、いや。そういうことでもないけど・・・」


「なら少佐も含めてぼこぼこにしちゃいましょう!複数で攻めたらいくら少佐でも勝てます!」



「・・・・・」


鳴は知っているのだ。碓氷天翔という人物に、どれだけの可能性と未知の力があるのかを。それを目の当たりにして、この隊員は同じことを言えるのだろうか。


屋内ステージでは狭いと言う事で野戦用のステージに移動した。森林をイメージした作りになっていて結構広い。


「勝利条件はどちらかの領地にあるフラッグを取るか、相手を全員行動不能にするか。武器は原則ハンドガンのみ。」


「それでは時間は15分間、試合開始!」


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