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第2編 監視される世界  作者: SEED
第2章 存在する闇へ
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先駆者

申し訳ありません、大きく修正しました。これからの話の根幹を変換したので、確認お願いいたします。


自己満足で書いてる物ですが、読んでいただいているようで幸いです、申し訳ありません。

大学内はまだ少し学生達が目立つ程度には残っていた。その中を天翔は走って研究棟に向かう。



研究棟に着くと周りは一切の音が消えた空間のように感じた。ドアを開け中に入り物理研究室に向かいながら悠真と雫を探す。幸い、悠真と雫はすぐに見つかった。物理研究室の前で拳銃を持って中の様子を伺おうとしている。


「悠真、雫。中はどうなってる?」


「ダメだな、研究室のドアは中の音が外に漏れないようになっているし、開けると音がなる。バレるのは必須だ。」


「そうか。・・・・・研究室に監視カメラはあるか?」


「あるにはあるけど、研究棟にあるカメラは各研究室内のカメラはその研究室のマシンにしかつながってないんだ。廊下のは大学内LANにつながってるけどね。」


なるほど。研究室内にカメラを設置するのは研究者が嫌がったってことか。それはそうだろうな。自分の研究成果が知らないところで盗まれているなんてしゃれにならない。


「なら研究室内にあるパソコンをハッキングする。最近のパソコンはマイクが標準搭載されてるからな、それから声を盗聴する。」


「考えたな。」


「で、でも。天翔さん!それって後で問題になりませんかね?!」


「研究者自身が死んだらそれまでの研究は意味がなくなるんだ。命を助けてもらえるだけありがたく思ってほしいね。」


天翔はノートPCを取りだしてキーボードをタイプしていく。前に侵入した際も思ったことだが、ここのセキュリティは大変脆弱らしいなんなく侵入できた。PC内部を簡単に検索すると中には簡単な生徒の物らしきレポートとネットサーフィンの履歴が残っているだけだった。さすがに研究データなどの入っているPCはオフラインらしい。マイクの感度を全快にする。


『・・・・・教授、研究成果を渡してください。そうすればあなたと娘さんも身柄は保証します。』


これは・・・准教授のデサイズ構成員の声だ。


『それはできないといっている。これを渡すことによって私の祖父と国にかかる損害は大きすぎるのだ。』


状況はおおむね正しいかったらしい。準教授が孫である春香を人質に取り、公安が教授を守っている。


「状況は正しいらしいな。どうする天翔」


「・・・・・まだだ。」


『教授、あなたは分かっていないようだ。ここにいる娘さん、早瀬遥香と言ったかな?』


言いながら準教授は春香に銃口を突きつける。


『キャっ!・・・は、はい。』


『この大切な娘さんが犠牲になってしまうが、かまわないかな?』


『わ、私はどうなってもいい。だから、祖父と娘には手を出さないでくれ!』


『それは無理な相談だな。』







「悠真、雫。5秒後に研究室内にある端末から大音響を放出させる。その瞬間に突入だ。・・・・・悠真は教授を安全な場所へ。雫は俺のサポートだ。」


「OK、任せろ。」


「了解!」



コマンドを打ち込んで、人間が近くできる最大のレベルの音を放出するようにセットし、タイマーを作動させる。自分の拳銃の弾を確認する。今回は実弾一丁しか持ってきていない。マガジンには13発全部が装填されている。


「3・・・2・・・1・・・GO!!」


バンッ!!と言う音を研究室内に響かせつつ天翔と悠真、雫は内部へと突入した。室内は研究室というだけあって意外と広い空間が広がっていた。しかし、さまざまな電子器具があるためか狭く感じる。


「ちっ、邪魔が入ったか。・・・・動くな!!」


準教授は早瀬遥香に銃を突きつけながら窓際に後退していく。悠真は公安の横に立って教授を物陰に隠している。


「もうお前は終わりだ。」


天翔と雫、捜査員が狙いを定める。しかしこのまま発砲すると人質に当たる。


「わ、私のことは気にせず撃ってください!」


「それができれば苦労しないよ。」


「俺の名前は木山健一きやま けんいち。デサイズの構成員だ。いくらでも代わりはいる!俺が死んだとしても何も変わらない!!」


「いや、変わるさ。」


「??」


天翔はそう言って銃を構えなおす。


「クズ野郎を一匹この世から駆逐できる。」


「・・・貴様ッ!」


その瞬間、発砲音と共に木山の脇腹を貫いた。その場にいた全員が驚いて音源を見ると、そこにはP.J.F.A特殊部隊第一部隊隊長、伊藤鳴がライフルを構えて立っていた。木山がその場に崩れ落ち、天翔は遥香の下へ駆け寄った。早瀬春香は木山が倒れてからも立っていたが、天翔が近づくと気が抜けたように倒れこんだ。天翔はそれを受け止めてから地面に横に春香を寝せた。









「遥香さん、大丈夫ですか?」


研究室内を鳴と一緒に検分していた雫が戻ってきた。悠真は廊下で形だけの事情聴取中だ。天翔のほうからすでに話は通っている。


「ええ、ありがとう雫。でも雫がなんで拳銃を・・・」


雫は一瞬悲しげな表情を浮かべてから、覚悟を決めたように春香の顔を見つめた。


「私、実は警察の人間なんです。あなたの祖父、外務大臣が事件にかかわっている容疑があって、それを調査するために、ここに潜入し、春香さんと早瀬教授を監視していました。・・・ごめんなさい。」


「俺からも謝罪しよう。青葉美緒、本名は北山雫。俺の本名は碓氷天翔。雫の上司だ。今回はすまなかった。」


天翔と雫は二人で頭を下げた。遥香は呆然としながらも思考を整理した。


「あ、頭を上げてください。・・・謝罪するのは私のほうです。雫さん、天翔さん。私と父を助けてくれてありがとうございました。」


「遥香さん・・・」


「美緒さん・・・いえ、雫さん。これからも友達でいてくれますか?」


「春香さん・・・はい、よろこんで!」


お互いの和解が済んだところで3人は立ち上がると。同時にドアが開いた。そこから悠真と結衣が入ってきた。


「大丈夫か?」


「ああ、問題なく事後処理も終わったよ。」


そう言って天翔は雫と遥香が仲良く談笑しているほうに向かって顔を向けた。悠真も安心したように頬を緩める。結衣も悠真から掻い摘んで事情を聞いたようだ。3人のほうへ走っていく。


「悠真、結衣に俺のことしゃべったのか?」


「・・・いや、話してないよ。」


「そうか・・・・・」


「意図的に記憶を自分で消してるのか。どうなのかは分からないが。話したところで思い出すと思うか?」


「さぁな。それは俺にもわからないよ。・・・・・時がきたら思い出しちまうさ。」


「・・・そう、だな。」


3人は再会を喜ぶように心から親友になれたのだろう。結果的にはまずまずと言う所だ。しかしデサイズの実態に迫るにはまだ時間が必要となるだろう。



悠真、鳴と今後の方針を決めていると、天翔の視界で動くものを捕らえた。その瞬間に天翔は走り出していた。動いていたのは木山だ。腕から出血して担架で横になりながらも、隠し小銃で遥香を撃とうとしている。天翔は何も考えていなかった。ただ、遥香の前へと走りこむしかなかった。


「・・・・・ク・・・・オッ・・・届けぇぇぇ!!!」


俺の筋肉を完全にのばした痛みと叫びに鳴、雫、悠真、結衣、P.J.F.Aの特殊部隊員。その場にいた全員が驚き、目を向けた。


鳴がライフルを構えようとするが、その瞬間に木山は引き金を引いてしまっていた。


スローモーションのように銃弾が飛んでくる。しかし、自分はすでに地面から足を離している。体制も横に飛んでいる状態、このままなら手を使えばよけることができるだろう。しかし、それをしてしまうと後ろにいる遥香に銃弾があたってしまう。


目を瞑る。死ぬ瞬間は誰かを守って死のうと思っていた。それができるのだ、誰かの役に立つことができたならそれでも良いだろう。目を再び開けて結衣を見る。結衣は驚愕に似た表情を浮かべて自分を見ている。


「ごめん」


そう・・・・・つぶやいた。







つぶやいたあとは、かなりあっさりしていた。感覚神経を焼くような激痛と、意識が埋没していくかのような感覚だけがのこされいた。




撃たれた脇腹が痛む。思考が停止していないのに肉体的行動がすべて停止しているせいだろうか。しかし、この停止時間は、、いつ戻るんだろうか。戻ってときが自分の命が消え去るときだが、それがまぶれなく唐突に起きるのはやはりうれしいものではない。



木山はさらに銃を構え、俺の後ろに立っている遥香を狙おうとしている。だが、それをさせるわけには行かない。


天翔は腰に指していた実弾を装填してある拳銃を取り出してすかさず引き金を引いた。本来の天翔であれば銃弾で銃口を狙い撃つことも可能だった。しかし今回は狙うどころか意識させはっきりしていない状態なのだ。目標を朧に捉えて引き金を引くしか無かった。

幸いに銃弾は木山の肩口に命中し、木山はあまりの激痛に気絶したようだ。


「か、天翔さんっ!」


泣きそうな目をしながら天翔の顔を覗き込んでくる遥香。遠くでは鳴らしき人物の指示を飛ばす声が聞こえてくる。おそらく俺の搬送と木山の確保を命令しているのだろう。俺は脇腹に手を当ててからこれは生きられるか微妙な所だなと推測する。


「はる・・・かは・・・気にしなくて・・・いいから。」


「しゃ、喋らないでください!」


「ん、悪い・・・な。雫・・・」


「は、はい!な、なんですか・・・天翔さん。」


天翔の声に反応して雫が顔を見せる。


「あとは・・・よろしく。・・・俺はどうなるか、わかんないからさっ。」


そう言ってから俺は力ない笑顔で微笑む、さすがに雫は涙目になっているだけだ。






意識を手放す瞬間に結衣を見ると、結衣は俺の顔を見てつぶやく。


「か、天翔・・・?」







月城彰と言う人物は、少なからず自分との接点がかなり希薄な人物だと考えていた。だから大学でもそれなりの態度で接していたし、時折彼が見せる悲しみを帯びた顔を見ると心が痛んだ。理由は分からない。


だけど、春香を守って撃たれた時、私の中で何かが『ハマった』ような感覚が起きた。



「思い・・・・・だしたっ!」


彼の本名は碓氷天翔、私の・・・半身であるような、大切な人だと言う事を。。。

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