表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大好きだった彼女に浮気され、地獄に落とすまで。  作者: くまたに


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/49

第25話:球技大会開幕

 蒸し暑く、じんわりと汗をかく。

 そんな最悪の空気の中で、球技大会当日は幕を開けた。

 体育館の中は様々な熱気がおり混じり、非常に居心地が悪かった。


「目指せ1位!僕たちのチームワークを、見せつけるぞ!」

「「「「おうッ!」」」」

「ほーら、平野くんも」

「……」


 その声は明るい。けれど、俺だけ呼び捨てじゃないのが気に食わなかった。


 当初は休んでやろうと思っていたが、気が変わった。理由は簡単だ──


「見てろよ?」


 離れたところでチームメイトと談笑する生徒を睨む。

 俺は今日、アイツ──龍生を叩きのめす。それだけを望んで、密かに練習までしてきた。


「いい顔だね」


 他のチームメイトがゼッケンを取りに、いなくなった隙に水樹が話しかけてきた。

 にっこりと爽やかな笑みを浮かべている。その裏に何かが潜んでいるのではと、身構えた。


「別に悪いことなんて考えてるないよ」

「そう」

「相変わらず冷たいね──でも、熱い。そういうの、嫌いじゃないよ」

「……」


 無視されてるのに、なぜか水樹は嬉しそうだ。

 コイツ、多分根っからの変わり者だ。


「まぁ、君のこと、期待してるからね」

「じゃあボールは全て俺にパスをするんだな」

「ハハッ、面白いことを言うね。でも――嫌だね。君が活躍したい理由はわからないけれど、俺はなんとしてでも格好良い姿を見てほしい子がいるんだ」


 顔がいいから何もしなくても、女の子の方から寄ってくるだろう。それでも努力を惜しまないその姿勢に、好感が持てた。


「そんなこと、俺に言っても良いのか?」

「君、僕に興味ないでしょ。それに、言う友だちもいないし」


(クッソやろうじゃねえかよ……ッ!)


 コイツをいいなと感じた、少し前の自分が馬鹿馬鹿しく思えた。


(水樹……お前も越えてやるからな)


 胸の中でそう宣言し、壁に貼られたトーナメント表に目を向けた。

 龍生と当たるには、2回勝たないといけない。そこまでは余裕だと思うが、できる限り体力を消費したくない。


 ピィーッ――笛の音が体育館に鳴り響いた。整列の合図らしい。

 遠くにいる龍生と、少しだけ目が合った。

 まだ始まってもないのに、勝ち誇ったような表情だ。あれをぶち壊す――それだけを目標に試合に挑んだ。



     ◇



 想像通り、2回勝つのは簡単だった。

 水樹はおかしいぐらいに、動き回っていた。

 そんな彼を、チームメイトは慕い、パスを与え続けていた。それに応えるように、水樹はなんどもシュートを成功させた。

 試合時間10分間――初めはやる気に満ち溢れていた相手チームも、いつの間にか戦意を失うほどだった。

 これなら龍生に勝つなんて楽勝――そう確信づいた時だ。誰も予想しなかった事態が起きた。


「平野くん。申し訳ないんだけど、次の試合から君を頼っていいかな?」

「おいおい、どうした?俺にパスも回さずに、動き続けたせいで疲れたか?」

「惜しい――実は足を挫いちゃって……」

「は?」


 にわかに信じがたい。

 しかし思い返してみると、彼は着地のたびに眉をしかめていた。


「嘘じゃないよ。でもね、僕が抜けちゃったら、みんなやる気無くしちゃうでしょ」

「そうだな」

「だから君にまかせるよ」


(こんな勝ちで俺が満足できるわけねぇじゃん……)


 水樹には失望した。

 それでも、龍生にはなんとしてでも勝つ。その目標は覆ることはない。


「任せろ」

「ありがとう……!」

「一応言っておくが――これはお前のためじゃない。俺のために勝つんだ」


 予想外だったのだろう。一瞬ポカンと、情けない面をしていた。


「わかったよ」


 安心したように呟かれる。

 どうせ俺は、気を使わなくていい相手だと思われてる。

 そういう扱いには慣れている。


 ふとギャラリーにいる妃菜と目が合う。

 小さく両手を胸の前で握り、『が・ん・ば・れ』と、エールを送ってくれる。

 自分でも驚くほど、肩の力が抜けた。


「今から、FチームとHチームの試合を始める。気をつけ──礼!」


 教師の号令で軽く頭を下げた。

 水樹がじゃんけんに勝ったので、こちらが先攻だ。

 耳を貫くような大きい笛の音で、試合が始まった──

ここまで読んでくれてありがとうございます!

面白かったら★評価とブックマークをいただけると嬉しいです!

よろしくお願いします!(*^^*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ