第八話 アオノ、そして見つけた
私は朝、持ち物の準備をして、パムトリアさんと共に部屋から出た。
そこには、キリアがいた。アオノはいなかった。
「おはよう、キリア。アオノは?」
「おはようございます。アオノなら、先に行くって言って行きました」
「おはようございます。キリア・ハーズトロコモアさんでは行きましょうか」
私達3人で登校することになった。初登校、アオノが居ればよかったのにな。ちなみにハートベクト様とアールノット様は部屋が遠いから、一緒に行くことが難しいから、一緒行くことはやめといた。
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…学園のある場所…
そこでは、1人の少女を7人の生徒でいじめていた。
「ご………ごめん…なさい………ごめん…なさい」
「ねえ、アオノ、ふざけてるの」
そのいじめられている少女は、アオノだった。
「声が小さいな。それにしても、こいつじゃあいじめ足りないな、友川や愛野とは違ってな」
「サイハワ…さん………ごめん…なさい」
いじめている生徒の内、1人はサイハワ・コルノニア。アイン達と同じSクラスの生徒。他の7人も同じだった。アオノとサイハワは、幼馴染だった。サイハワは昔からアオノのことをいじめていた。
「だから、アオノって、家族がいないんだよ」
「う…うぅ………」
「泣いたな、どうするんだ、サイハワ」
「待て、サイハワ。俺がやる」
1人の生徒がアオノの腹をおもっきりなぐった。アオノは、「ゴホゴホ」とうずくまった。
「今回はここまでだ。次は昼休みだな。誰にも言うなよ」
「じゃあ、これ」
1人の生徒が回復魔法を使って、アオノを治して、いじめている生徒はその場を去っていった。
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私達が学園につくと1つのことに疑問を覚えた。
「アオノは?」
アオノの席にカバンが置いてあり、来ていると言うことがわかったが、肝心のアオノ本人はいなかった。
「どうしたのでしょうか?」
キリアもやっぱり不思議に思っているらしい。
「トイレかな?」
「そうだと思いたいですね」
やっぱりいじめを疑うが、昨日アオノと絡んでいるのは、ホームルームが終わってから誰もいなかったから、違う思うけど…………
そんなときにハートベクト様とアールノット様が教室に入ってきた。パムトリアさんと話しているようだった。そして、もうすぐ、ホームルームが始まる頃、7人組が教室に入ってきていた。あとは、アオノだけになった。すると、アオノが教室に入ってきた。私はアオノの様子を見た。顔や体に殴られたあとはない、水に濡れたあともない。しかし、疑問点がある。本当にトイレだろうか?
「アオノ、トイレだったの?」
「………うん………キリア…さん………す…こし…お腹痛くて」
「みんなおはよう、ホームルームを始めるぞ、みんな席に着け」
そんなやりとりをしているとマーリア先生が来た。結構時間ギリギリだったんだな。アオノは。
「全員いるな、それでは改めて、みんなおはよう」
「おはようございます」
「では、今日の予定を伝えるぞ、昨日言った様に午前中は学園を見て回る。昼食後は最初の魔法適正を調べるぞ。この後案内するが第三屋外練習場に集まる様に、特に何も持って来なくていい。今日の連絡事項は以上だ。何か質問はあるか?」
誰も質問しない。
「なさそうだな。なら、今から学園を見て回る。ついてくるように」
案内された学院は、校舎が3つある。1つ目は、教室棟。1学年6クラスあり、1年生は3階、2年生は2階、3年生は1階に教室がある。
2つ目は、職員室棟。職員室や生徒会室、授業で使う実験室や室内練習場などがある。
3つ目は、クラブ棟。クラブなどで使用するための部屋がある。火属性の魔法を研鑽する『火属性魔法クラブ』、水属性の魔法を研鑽する『水属性魔法クラブ』、付与魔法を研究する『付与魔法研究クラブ』、身体強化魔法を極める『強化魔法クラブ』、剣を極める『剣術向上クラブ』、花が好きな者がいる『花育成クラブ』、料理の奥深さを知る『料理研究クラブ』、筋肉を鍛える『筋肉強化クラブ』等の多くのクラブがある。
ちなみに私は入る予定はないけど。
そして校舎を見て回り、練習場に向かう。この学園には屋外と室内の練習場を合わせて、10つある。屋外が7つで室内が3つだった。受験の時に使用したのは第一屋外練習場だった。
そして最後に食堂へ行く。いろんなところを回っていたら丁度昼休みになったのでそのまま食堂で一旦解散した。この食堂が無料だが、メニューは凄く多かった。
アオノが昼休みが始まると同時にどこかに行っていた。
「ねえ、今から、アオノ追うよ」
私はキリアを誘った。
「え?何でですか?」
「多分、アオノいじめられてる」
「でも、怪我してなかったじゃないですか」
「回復魔法を使ったんだ」
そう、私はアオノの怪我がない理由は回復魔法を使っていると見た。
「回復魔法って、確か自己紹介では」
「ハートベクト様とパムトリアさんの2人だね、でも、2人共違うし、アオノをいじめているのは7人。根拠は4つ、まず1つ目は、回復魔法、自己紹介で言った2人のどっちかだと、回復魔法を使っているとバレやすい、2つ目は、タイミング的にあり得ないこと、パムトリアさんは私達と一緒に学園に来た」
「それだと、ハートベクト様は?」
「そう、それは、3つ目の根拠にある。それは、ハートベクト様にアオノのことを呼ぶ時間がない。アオノとハートベクト様は、自己紹介のあと、初めて出会っている。そのあとは、キリアとアオノはずっと一緒にいたんだよね」
「うん」
「なら、不可能だ。ハートベクト様がアオノを呼ぶのは時間がない。それに、今日来たとき、すでにアオノのカバンは置いてあった。そして、ハートベクト様はカバンを持って教室に入ってきた。もし、カバンを持った状態でいじめたなら、カバンは汚れや土がついたりして、汚れるはずだ。そのため、ハートベクト様はない。で、アオノをいじめている犯人の内の1人以上は、回復魔法を隠し持っている」
「確かにそうですね。この学園は、実力主義。それに、2個以上の種類の魔法を使えると言ったのはパムトリアさんだけでした」
「そう、キリアの言う通り、自己紹介で情報を守るために、1つの種類魔法しか、言ってない人がほとんどだ。キリアもそうだろ」
「…………うん」
最初はキリアに流れている魔力はわからなかったけど、光魔法と聞いて、流れている魔力がわかったから。キリアが使える魔法は光魔法と闇魔法の2つ。闇魔法は確か、人間の中で、使える者は抹殺されているから、隠さないといけないけど。
「魔法適正では、私が何とかしてやるから安心して」
「うん、ありがとうございます」
「で、本題に戻るけど、私達が教室に入るとき、アオノのカバンの他に7個のカバンが置いてあった。それが4つ目の根拠で、アオノをいじめている犯人。早く行くよ」
「わかりました」
私とキリアは、アオノが向かった方に向かった。
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私とキリアがアオノを探していると悲鳴の声が聞こえてきた。
「あーあ、これだから、アオノは、友川や愛野をいじめていた頃の方が楽しかったな」
私とっては聞き覚えがある名前が聞こえてきた。愛野さんは、私が前世の学校に転入する前に引っ越しした子で、確かフルネームは、愛野咲さんだっけ。そしてもう1つの友川は、私の前世の名字だ。私の前世での名は、友川恵。これで決定した。アオノがいじめてた奴らは、前世で私をいじめていた、あの7人組か。
「ねえ、何してるの?」
私は飛び出して、いじめているクソ転生者に聞いた。そして、こいつらは私が自己紹介のときに思っていたクソ転生者だった。
「いや、聞く必要はないな。いじめてるんだろ、アオノを」
「失礼だな。テメェは」
「ヤギスケさん、コルノニアさん、マーティサスさん、ペルテックノアさん、トーモニアさん、ヤードバッハさん、コロモックリさん、何でアオノをいじめているのですか」
キリア、全員の名前を呼んだ。そんな名前だったんだ。
「何でって、楽しいからだよ。ハーズトロコモアちゃん」
マーティサスが答えた。その答えに周りのクズ転生者共も笑っていた。
「まぁ、バレちまったから仕方ない。こいつをいじめるのはやめるよ。じゃあな」
マーティサスがアオノに回復魔法使いやがった。あいつだったか。そして、クソ転生者共は去っていった。私とキリアは、アオノに駆け寄った。
「大丈夫?」
「………ありが…とう………アイン…キリア」
「うん、とりあえず、先生のところに行きましょうか?」
「キリア、多分それは無駄だと思う」
「え?どうしてですか?」
「今、アオノには怪我が一切ない。そのため、いじめって言っても無視されるだろう。それにこの学園は、実力主義だ。そのため、順位が高い方の意見を信じるだろう」
「うん…だから………わ…たしも…誰にも…相談…できなかった」
ほらね。
「でも………私、悔しいです」
「今は、とりあえず、お昼ご飯を食べに行きましょうか」
私達は、食堂に戻っていった。
クソ転生者共、今は殺さなかったけど、時が来たら、必ず殺すから、待っていろよ。クソ共。
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