第四話 新たな友達
私はハートベクト様の家の中に入るとすでにハートベクト様は帰っているようで、私はメイドさんに食卓まで案内された。
「誰でしょうか?」
私は見たこともない、女性の方がいた。その女性の方は、ハートベクト様と仲が良さそうにしていたため、ハートベクト様が言っていた一緒に試験を受けたお友達様と言うことがわかった。つまり、この方も偉いってことか……………まじか、失礼のこと言ったかも。
「カヨは、カヨラ・アールノットで〜す。君のことは聞いているよ。ドールネーヴェルちゃん」
「ハートベクト様、アールノット様はどの地位でしょうか?」
「わたしと同じ伯爵家ですよ」
まじか、ハートベクト様と同じ地位の方でしたか。アールノット様はふわふわしておられますので、貴族っていう感じではないのですが。
「そういえば、ドールネーヴェルさん、今日は大丈夫でしたか?あの人に絡まれいましたけど」
「大丈夫ですよ」
「あいつって、貴族思想が強いんだよ〜。カヨ達と同じ伯爵家なのにね」
「えっ!!」
同じ伯爵家だと。知らなかったあの変な人って、偉い人だったんだ。私、大丈夫でしょうか?
「学園では、貴族の権力を振りかざすことは厳禁ですよ」
「だから、他の貴族には嫌われているのに〜」
あの変な人って、他の貴族の方々に嫌われてるのか。ザマァ。それに、学園で権力の振りかざすことは厳禁なんだ。なら、大丈夫か。安心、安心。
そのあとは、ハートベクト様のお母様に勉強を教えてもらっていった。
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入学試験から数日経ち、今日が合格発表の日。
私はハートベクト様とアールノット様と一緒に学園に向かっていた。
アールノット様は本当にご自由な方で、学園まで、30分でつくところを1時間かけてついていた。学院に着いた時、アールノット様の手には串焼きが握られていた。ちなみに私は、アールノット様から串焼きを1つ貰った。ハートベクト様は、何も貰わずにいたが、アールノット様が無理矢理、串焼きを渡していた。串焼きの串は、アールノット様が燃やしてくれた。
「いや〜、みんな早いね〜」
「いや、カヨラが寄り道なんかするからですよ」
ハートベクト様は、アールノット様に文句を言いながら、掲示板の元までいった。人混みを掻き分けて掲示板の前まで行って、私も自分の番号を探す。お、あった。
「ドールネーヴェルさん、どうでしたか?」
「番号あったよ、あっ!!」
私はつい気が緩んでいたため、素のまま反応してしまった。
「大丈夫ですよ。それでいいですよ」
「ありがとう」
許してくれた。やっぱり、優しいですね。ハートベクト様は。
「カヨもあったよ〜」
「なら、これで3人共合格しましたね」
3人とも無事合格したようだ。アールノット様とハイタッチをした。ハートベクト様は恥ずかしがってハイタッチしてくれなかった。そのあと、合格者受付に並ぶ。ここで教科書と制服を受け取る。クラスもここで発表されるようだった。
列はスムーズに進み、すぐ私の番になった。隣の列ではアールノット様が並んでいて、私の後ろには、ハートベクト様が並んでいる。
「はい次の方」
受付のお姉さんに受験票を見せる。
「はい、確認しました。アイン・ドールネーヴェルさんですね」
「はい」
「クラスはSです。はいこれが教科書です。これがリストだから確認して、もし抜けがあればすぐに言って下さい。それと、あなたの制服はこれです。受験票に記録されてるサイズにしてます。サイズが合わなければ必ず言って下さい。取り替えしますので」
お姉さんの説明を聞いて教科書と制服を受け取る。入学式の日取りや時間、入学式に持ってくる物を記載したプリントを貰って、ハートベクト様とアールノット様を待った。ハートベクト様とアールノット様は、私と同じSクラスだった。とりあえず、ぼっちではなかった。安心した。それにSランクってことは、クソ転生者共もいそうだな。
ちなみにこの学園のクラスはS、A、B、C、D、Eの6クラスある。全クラス30人づつ、300人で1学年だ。入試の成績がそのままクラスになっていて、Sクラスは、所謂特進クラス。一番下がEクラスだけど、皆超倍率の入試を潜り抜けて来ているため、毎年学年が上がる毎にクラス編成がある、入学した時はEクラスでも卒業する時にはSクラスになっていたなんてことはたまにあるらしい。その逆もあるようだ。アル様の顔に泥を塗らないようにしないと。私の場合は、多分実技試験のおかげだと思うから、勉学も頑張らないとな。
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ハートベクト様の家に行くと、見知らぬ貴族の夫婦の方とお嬢様がいた。どうやら、アールノット様のご両親の方とお姉様だった。確かに雰囲気は似ているな。私にとっては更に肩身が小さくなった。ハートベクト様は、合格したと伝えると今夜は晩餐だと言っている。
「ネロア、カヨラちゃん、アインちゃんの合格を祝って乾杯」
「「「乾杯」」」
「か、乾杯」
私は、小声で乾杯と言った。一歩出遅れた。やらかした。私の隣には、アールノット様のお姉様が座っている。
「アインちゃん、カヨラとは仲良くできてる?」
「はい、アールノット様とは、仲良くさせてもらってます」
「そんな改めなくてもいいのよ。もっと楽な感じで」
「あ、はい」
「素直で可愛い、ねえ、ハヨの妹にならない?」
「ハヨラお姉様!!」
「ごめんなさい、それはちょっと…………」
私はアル様の娘だから、そのお願いは無理かな。
「いいのよ、ごめんね。無理難題を押し付けて」
「あ、はい」
そのあとは、貴族らしい会話をしていた。そのため、私はついていけなかった。たまに、ハートベクト様が気を遣って、私に話しかけてくれた。やっぱり優しいです。
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…とある貴族の屋敷…
その一室に先程魔法学園の合格発表から帰ってきた少年がいた。
「俺がAクラス?SではなくAだと?そんな馬鹿な、その上、俺に恥を掻かせたあの無礼者がSだと?ふざけんな!何か不正を働いたに違い無いんだ!学院の教師もグルに違い無い!クソが、クソが!でなければ俺がこんな目に許せない、許せない、待っていろよ、あのときはビビったが次に会ったときは確実に叩きのめしてやる!」
真っ暗な部屋の中に憎しみと怒りの叫びが部屋の中に響き渡った。
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