第十四話 学園最後の日
アル様とシド様と会ったときから、3日が経っていた。つまり、今日、魔王軍は、この学園を壊しにくる。私は、今、寮の自分の部屋の中にいる。私は、正直言って怖い。
「アインさん、どうかしましたか?」
そんな中、変化が1つあった。それは、ムキリの変化だ。私達が教会から連れ出したときは喋ることができなかったが3日も経った今なら、普通に喋ることができるようになっているし、元気な子に変わった。なんか、ムキリを外に出すことができないのは申し訳ないレベルだ。ムキリは、普段ミワさんと話しているらしく。楽しい毎日を過ごしている。
「いや、何でもない」
私はもう1つのベッドの方を見る。そこには、パムトリアさんとミワさんの2人が仲良く遊んでいる。2人は再開してからは、毎日のように部屋で遊んでいる名のイチャイチャしている。そのため、必然的に私は、ムキリの相手をすることが増えてきている。
ドゴォォォォォン!!
地響きのような音が聞こえてきた。私は窓の外を見ると学園が破壊されていた。私はこの瞬間、魔王軍が学園を破壊しにきているとわかった。
「何が起きているの?」
「えっと、わかりません」
「私もです」
ミワさんとムキリ、パムトリアさんが戸惑っている。
「今、魔王軍がこの学園に攻め込んでいる」
「え?」
当然のように驚いている。このまま、魔王に会いにいってもいいだろうか。いや、そんなことはない。そして、学園に教会の奴ら来る可能性が高い。
「パムトリアさん!!」
「な、何でしょうか?」
「ムキリとミワさんを連れて学園から……………いや、王都から逃げてください」
「え?どうしてでしょうか?」
「説明はあとで合流してからします」
「わかりましたから、アイン・ドールネーヴェルさんは?」
そんなこと決まっている。
「キリア達を探しに行きます」
「ええ、わかりました。お互い無事で会いましょう」
「うん」
私は、キリア達の部屋に向かった。
「キリア、アオノいる?」
返事がなかった。それは、つまり…………
「まだ、学園にいるってことですか!!」
私は急いで学園に走っていった。
―――――――――――――――――――――――
… 時は少しさかのぼり、学園校舎周り…
そこでは、キリア、アオノとゴトウ・ヤギスケを中心とする転生者7人が対峙していた。
「何のようでしょうか?」
「それは、自分達の方が詳しいだろ」
キリアの問いに対して、ヤードバッハが答えた。キリアとアオノのは、言われた言葉に体が一瞬、震えた。2人はもしかして、教会にある実験室に入ったことがバレたのだと思っていた。
「………何のこと?」
「はん、しらばっくれる気か?」
「ほら、これを見ろよ」
ペルテックノアとトーモニアの2人が筒を見せてきた。その中には、白銀色の髪の毛と黄色の髪の毛、青色の髪の毛が入っていた。
「これは、何だろうなぁ」
「確か、あの実験室の廊下に落ちていたっけ」
「そ、それは…………」
その髪の毛は、決定的な証拠だった。アイン、キリア、アオノが実験室に入ったと言うことがわかるようだった。しかし、幸いにも、アリシアの髪の毛は落ちていなかった。
それを見た2人は、ここで、こいつらに殺されると感じていた。
『爆拳』
サイハワ・コルノニアが何も躊躇いなく攻撃してきた。サイハワの攻撃は、爆発の衝撃を放てる拳を出すようで、ガードもしてないキリアとアオノは直でダメージを負った。
2人は何とか体勢を持ち直した。
「もう1発、『爆拳』」
『アイスバリア』
今度はアオノが上手く防ぐことができた。アオノはすぐに解除した。アオノは、水と氷の2属性持ちだった。
『ダークキャノン』
キリア、出し惜しみなんてしていたら、ここで死ぬと悟って、解除した瞬間にキリアは速攻で全力の一撃を放った。
『ハイパーガード』
「はぁ、はぁ、はぁ…………」
それに反応したコロモックリが前立ち、キリアの全力の一撃を防いだ。キリアは、すでに魔力が切れかかっており、1番簡単な魔法すら、使えない状況になった。そして、サイハワ、ペルテックノア、トーモニア、ヤードバッハがキリアとアオノを囲むように4方向に飛んだ。
「これで終わり『爆拳』」
『ファイヤーブレス』
『ハンマーストライク』
『百万打撃』
『アイスドーム』
アオノはキリアと一緒にアイスドールの中で耐え続けた。アオノの魔力が切れるか、4人の魔力が切れるかのどっちかまで、続きそうだった。しかも、キリアとアオノには、盾の魔法を使うコロモックリと回復魔法のマーティサスと何もわかってないゴトウがノーダメで残っている。
約3分が経った頃、アイスドームにヒビが入ってきた。アオノの魔力が切れてきたからだ。転生者4人の攻撃は重く、約3分も耐えられたことに賞賛があるだろう。
2人は4つのオリジナル魔法をモロに喰らった。
そこには土煙が立つ。やがて土煙が消えると、瀕死の状態のキリアとアオノが現れた。もう立ち上がるための体力も、魔法を放つ魔力もなかった。
本来なら、このような光景には、先生や生徒が駆け寄って来て止めるが今回は、『勇者の素質』を持つ者が行っているため、誰も来ない。更に寮に入るアインには、角度的に見えなくて、距離的にも爆発音は聞こえない位置だ。そのため、アインの加勢もない。
2人にとって絶望的な状況だった。
「ハーズトロコモアの闇魔法とフロウテリナの魔力量には、驚いたが所詮、こいつらは、ただの学生。俺達とは、格が違う」
転生者達は、嘲笑う。誰もキリアとアオノを助けには来ない状況。転生者共は、勝ちを確信していた。
「それにしても、ハーズトロコモアの闇魔法は、上の者に突き出すとなぁ。報酬がたんまりと入るなぁ」
キリアが持つ闇魔法は、使える者がごく僅かのため、国王や貴族、教会までもがほしいと願っている。そのため、闇魔法を使える者を突き出すとたんまりと報酬が貰える。
「アオノは、どうする?」
「そいつは、お前の自由にしろ」
「じゃあ、躾けをしっかりとしないと」
サイハワがそう言いながら、アオノに近づこうとした瞬間
ドゴォォォォォン!!
キリア、アオノと転生者達の間に人、いや、金色の髪に青色の瞳を持つ魔族が飛んできた。
ゴトウは飛んできた魔族について知っていた。
「へーお前が、魔王軍幹部の内の1人、リーア・ホワイトか」
「知ってるんだ。あはは!」
魔族は、どこか笑いながら答えた。
「あーもちろん、なあ、愛野咲」
「知ってるんなら、話が早いじゃん、赤木君」
魔族は、アインが転入する前に転校していった、愛野咲の転生した後だった。
「コリ、俺以外を守れ」
『エリアシールド』
コリ・コロモックリは、ゴトウの言う通りにゴトウ意外のメンバーをバリアで覆った。
「俺は、あのバカ3人のようにはいかないからな」
「へー、それは楽しみだね」
リーア対ゴトウの対決が始まった。
「なかなかやるじゃねぇか」
「ふぅ、ふぅ、ふぅ………」
「疲れてんのかぁ」
「はぁ?まだまだ行けるし」
戦い合うほど、5分、お互いに決定だを繋がる攻撃ができなかった。
リーアの得意な攻撃は、魔法創造で剣を生み出して戦うことであり、ゴトウが持っている槍に当たると全て消滅していっていた。
逆にゴトウは、使用する技を魔法創造によって、上手い感じにかわされていた。
そのため、2人は、一向に決定だを当てることができなかった。
「仕方ねぇ、カレバ!!」
ゴトウは、カレバ・マーティサスに声掛けた。
「わかってるよ『ハイアップヒール』」
カレバがゴトウに何かをかけた。その瞬間、リーアはより一層警戒した。
「今度は、どんどん行くぞ」
リーアにゴトウの連続ラッシュが襲ってくる。リーアの魔法創造で生み出した物は次々と消されていく。ゴトウに攻撃が当たっても、その瞬間、回復されていく。しかし、リーアは、回復させてくれる時間すらないほど、ラッシュ攻撃をかわしていた。しかし、全ての攻撃をかわすことはできずに段々とダメージが蓄積されていった。
「クッ!しまっ」
リーアはダメージの蓄積のせいで一瞬防御が緩んでしまった。ゴトウは、そこを逃さずに渾身の一撃を喰らわした。
「やらかした」
リーアは喰らった場所が悪く、そこを押さえないといけない状況になっていた。
「これで、終わりだな」
ゴトウは、リーアに対してトドメを刺そうとしていた。
「みーつーけーた」
白銀髪の少女、アインが天から降ってきた。




