第十話 キリアの決心
あれから、2日後、1つの事件が起きた。
それは、放課後になって起こった。突然、キリアが呼び出された。そして、帰ってきたと思ったら、キリアの様子が変だった。その原因は、キリアの家族が死んだということだった。私は、今、キリアを慰めるためにキリアとアオノの部屋にお邪魔してます。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁん」
「キリアさん……………」
キリアは部屋につくと私に抱きつき大泣きしてしまった。アオノは、そんな様子のキリアの頭を撫でて落ち着かせようとしていた。
しかし、私には、キリアの家族の死に何処か疑問点があった。
「ねえ、キリア」
「何ですか?」
「先生は、本当に死因は事故だって言ってました?」
「うん、そう聞きました」
「やっぱり、不思議です」
「アインさん。ど、どうしたのですか?」
「だって、商品を運んでいたときに、魔物に襲われたんですよね」
「うん、そうと言ってました」
「ならなんで、キリアの家族の方は、護衛を依頼しなかったのかな?」
「…………確かに、普段お父さんは、護衛を頼んでいるのに」
「ええ、今回は、『キリアの家族が死んだ』つまり、護衛の人は死んでないってことになります」
「で、でもそれだと」
「それなら、依頼は達成されるどころか、罰則があったはずです」
キリアの言う通り、私はその点に疑問を覚えました。ハートベクト様のお母様に勉強を教えてもらうときに護衛の依頼についても教えてもらいました。罰則はとてもやばいかったはず。
「だから、元から護衛なんていなかったと言うこと」
「お父さんはそんなことしない」
「だから、キリアの家族の死は、事故ではなく殺されたのだと思う」
「なら、誰が…………」
今のキリアにはできない。アオノも偵察とか情報集めには向いていないなら。
「今から、私が調べてきます。キリアとアオノは部屋の中に居てください」
「私も行きたいです」
やっぱり、キリアも行きたいと言ってきたな。
「キリアの今の精神状態だと危ないですよ。だから、連れて行けません」
「わ、わかりました」
案外素直だったな。
「アオノ、キリアを頼みましたよ」
「う…ん………任せて」
「じゃあ、行ってきます」
私は、寮を出て、キリアの家族の死因を探しに向かった。
―――――――――――――――――――――――
私は今、キリアの家族の方がやっている。商店に来ました。確か、キリアの家族の方が営んでいる商業は凄いと聞きましたけど、ここまで凄いとは思わなかったな。
「デカすぎるでしょ。この店」
そう文句を言いながら入っていった。
店の中に入ると凄い人がいた。この店の店長が亡くなったということなのに休みではなくて営業をしている。これは何かあるな。
私は、一通り商品を見たあと、1度店を出て、路地に行った。
『薄霧化』
薄霧化。霧の中でも、他の魔法の使用や武力の行使ができなくなる限り、誰にも察知されなくなる技。便利だ。
私はもう1度、店の中に入っていった。
確か社長室って、1番上の階だっけ。ここかな。明らかにデカい扉、ここが社長室に違いない。私の目には、扉から、魔力が流れてないから、誰も居ないな。下から来る気配ない。
薄霧化を解いて、社長室に侵入していった。
「やっぱりな」
社長室には、誰が入った形跡があった。
「ここに来たのは、誰だ?」
私は情報を集めるため、社長机を見に行く。
「机の上には、何もないな」
「引き出しの中はどうだ?………ん?」
引き出しを開けると、何も入ってなかった。でも、明らかにおかしいだろ。私は引き出しの中が小さすぎることに気がついて、引き出しを取り外した。すると、金庫が出てきた。
「どうやって、開けるの?」
金庫は全部で5桁の番号式。当てずっぽうでやったら当たるけど、それだと時間がかかる。なら、キリアの家族の情報から、導こうか。
まず、3人家族で、構成はキリアとご両親。まずは、お母さんからか。特に情報はないな。お父さんは、護衛は必ず依頼することと社長ってことだな。最後にキリアか、礼儀正しい、友達思い、家族との仲は良い、魔力量が10000、魔法適正が光と闇、あと背が小さいなどがあるか。私の予想だと、多分、金庫のパスワードはお父さんの情報ではないな。バレやすい。金庫だぞ。もっとわかりにくいはずだが。なら、お母さんのことでもなさそうだな。これは、あくまで予想だが。最後に、キリアか。1番ありそう。わかりやすいのは除くとしても、魔力量か魔法適正のどっちかだと思うけど。これなら、他の情報よりかわかりにくいし。とりあえず10000としてみるか。
「うん、違ったか……………」
なら、魔法適正の方だけど、何か数字の情報なんてなさそうだが。やっぱり、キリアではないのか?
いや、1つあるな。光と闇か。文字って数字で表すことができた気がするし、家族の仲がいいんだろ、なら、闇魔法はお父さんが知っていても隠したいそうだし。光と闇は、それぞれ156と83だっけ、ちょうど5桁だし打ってみるか。
「開いた……………」
15683と打ったら開いた。金庫の中からは、3枚の紙となんかの魔道具が入っていた。とりあえず、手紙から見るか。
「えっと、何々」
手紙の内容はこうだった。
1枚目は
最近、よくわからない連中が私に脅してくる。商業をやめろとしかし、私は愛する妻と子を豊かにするためにやめることはしなかった。
私にはわかっていた。このまま行ったら確実に殺されると。けれども、私が死んでも妻と子さえ、生きていればそれでいい。
2枚目は
4月11日、私は従業員から手紙を渡された。その手紙では商品の展覧会のご案内だった。しかし、私の情報ではそんな展覧会はなかったはずだが。私と妻が参加できるようだ。私は1度、妻に相談した。妻は参加することに反対した。明らかに罠だとわかっていたからだ。でも、私にはわかっていた。この手紙を送ってきた主と私を脅してきた連中は同じ仲間だと、私の予想だと私はここで殺されてしまうかもしれない。けれど、断ると何をされるかわからなかった。私は参加すると妻に伝えた。そしたら、妻も参加すると言った。私は説明した。死ぬかもしれないとでも、妻は私を1人にはしないと言って一緒に参加すると言った。
もし、この部屋が荒らされてもいいように、この手紙は、金庫に入れる。この金庫を開かれる者はキリアか、そのご友人だけだと思う。そしたら、この魔道具をキリアに渡してほしい。もちろん、この手紙を読んでいる者も一緒に聞いておいてくれ。どうか、キリアの無事を願っています。
3枚目は
4月12日、午後10頃、プートブス子爵家で商品の展覧会がありますので、ハーズトロコモア様を招待します。参加、ハーズトロコモア夫婦。
と書いてあった。
これは、プートブス子爵と言う方に殺された可能性がありな。4月12日って昨日のことだな。だいぶ近づけたな。しかし、一つ疑問点がある。展覧会に招待するのは招待状みたいな手紙がいるってことだよな。その辺を考えたって意味がない。それと、この魔道具についてわかったな。あとから、キリアにこの手紙と共に渡そう。とりあえず、その商品展覧会があったプートブス子爵家に行こうか。
私は元あった状態に戻し、誰もいないことを確認して社長室から出て、薄霧化を使い、プートブス子爵家の場所に向かっていった。
―――――――――――――――――――――――
これより先は魔力を持った者が入ると反応するような結界がプートブス子爵家の周りに貼ってあった。
まあ、薄霧化は魔力すらないから、大丈夫なんだけどな。
私は窓が開いていたため、そこから侵入した。プートブス子爵家は間抜けの殻だった。誰もいなかった。子爵家だから、誰かしらいると思ったけど、警戒はしていこう。
ここだな。
私はいかにも怪しいところを見つけた。屋敷には、いないかったがこの隠し扉の中に人がいるようだった。そこから、異様な魔力が流れてきていた。この目を持っていてよかった。改めて便利だ。
開けるのは手動だが、安心しきってるいるのか開いているし、バカかな。
私は、隠し廊下に入っていった。
「おい、上手くいったらしいな。ハーズトロコモア夫婦を殺すのは」
声が聞こえてきた。この声は、ヤギスケ。クソ転生者の一人だな。
「ええ、そうですね。トスモロッコ君も喜んでましたよ」
誰だこの声、それにトスモロッコとは、私のまだ知らないクソ転生者共か。
「それにしてもよろしいのですか? ハーズトロコモア夫婦に渡した手紙を回収しなくて?」
これは、ただ単純にやらかしたやつか。
「それが探したのですが、一向に見つからなくて………」
この声の主が社長室に侵入したやつってことか。
「まぁ、大丈夫でしょう。手紙を渡してから、監視してましたが、誰かに渡している様子はありませんでしたので」
そりゃあ、金庫に入ってからな。見つからないやけか。
「それにしても、アイン・ドールネーヴェルとは何者なんでしょうか?」
ん? 私のこと。
「調べても何も出てこなかったんだっけ」
「はい、そうです」
なんか下っ端もいるんだ。
「あいつが1番ムカつく!」
「そうよ。あいつ、腹が立つのに何も情報がないってどういうことなの」
この声、マーティサスだ。なら、学園にいるクソ転生者共もいそうだな。
「それにしても、滑稽だったな。キリアのあの表情」
「アオノをいじめているのを邪魔したからな。その罰だ」
クソ転生者共が嘲笑っている。今すぐにでも殺してやりたい。けど、今は我慢だ、我慢。落ち着け、落ち着けよ、私。
「まあ、ハーズトロコモア夫婦は、トスモロッコが殺すって決めていたから、早死にしただけどな」
トスモロッコは、何がしたいの?
「もう夜も遅い、そろそろ解散するか?」
「先生そうしよう」
え? 先生ってことは、あのクソ教師ってこと。
とりあえず、今はここから、逃げないと。この人数差でバレたら、終わる。猛スピードで寮に帰っていった。
―――――――――――――――――――――――
私は寮に帰るとキリアに家族の死の原因を伝え、手紙と魔道具を渡した。アオノは死因が自分のせいだと謝っていた。キリアは、アオノを抱きしめて、「大丈夫だよ」と伝えていた。手紙を読み泣いていた。
「では、魔道具を起動しますよ」
私とキリアとアオノで魔道具で録音されている内容を聞くことになった。
『あ、あーあ、録音できているのかな』
『ええ、できていますよ』
『これを聞いているってことは私と妻は死んでいるだろう。キリアとその友人がこれを聞いていると思う。この魔道具は1度聞いたら消滅してしまう1度だけ聞ける魔道具だから、よく聞いてほしい。まずは、キリア、すまなかった。先に死んでしまって、だが、どうにか許してほしい。私と妻は、キリアに幸せになっていてほしい。友達を大切にしていってくれ、そして、昔から、手伝いさせてしまって申し訳ない。愛情をうまく与えてやれずにすまんかったな。学園では、上手くいっているのかな。まあ、言えることは、頑張ってくれよ。次に友人君だね。どうかキリアをよろしく頼む。キリアの魔法適正は特殊だ。どうか嫌わないでくれ。私からは以上だ』
『次は私ですね。キリアごめんなさい。あなたを残してこの世を去ることになってしまって、私は親らしいことはできたのだろうか? できていなかったらごめんなさいね。頑張ってね。そして、友人さん。キリアの友達になってくれてありがとう。キリアには、あの子なりの気持ちがあるから、理解してやってね。友人さんも頑張ってね』
『『最後に、私達は、キリアのことが大好きだよ』』
録音が終わった。私から涙が出てきていた。泣いたのは久しぶりだな。
「私、頑張っていくよ。お父さん、お母さん。だから、ゆっくりと休んでください。大好きです」
キリアは天国にいるご両親に宣伝した。優しい子だね、キリアは。キリアのことは任せてください、キリアのご両親さん。
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