手紙ー王子の目線ー
あのお見合いのあと私はぎっくり腰になってしまった父の仕事を手伝うため公務に同行することとなった。
「はぁ~、疲れた。」
(アルセーラというあの娘は私に一切興味をしめなさかった………そこがまたいい。)
「よし、この思いを伝えるべく手紙を書こう。爺手紙を書く準備をしてくれ。」
私は爺に頼みアルセーラに向けて手紙を書いた。
(なんて帰ってくるだろう……返信が待ち遠しい……。)
数日後、彼女からの返信が届いた。返事を見ると流行り病にかかったことが綴られていた。
(流行り病とかかれているが、彼女の住む地域は気温も安定していて過ごしやすい環境だし………感染症が拡がっているなんて報告もない………。)
「爺、悪いが少し調べてくれないだろうか?」
私は爺にお願いして病気について調べてもらったが結果は白だった。
「なんのために………。」
(あの変わり者の姫のことだ………何かおこそうとしているのか?それとも……別の……ダメだワクワクしてしまう………そうだ様子を伺うためにお見舞いにいこう。)
手紙には感染症のためお見舞いに来ないようにと書いてあったが、来るなと言われれば人はいきたくなるものだ。
(しかし、父上が………。)
正直、私がいなくとも、宰相と父上だけで仕事がまわるため、お飾りである私はこの公務に必要ないと思う。
しかし、ぎっくり腰と言えど、病の中で父を放っていくべきか。
(アルセーラが病気なことを父上に伝えて判断をあおごう。)
「父上、この前話したアルセーラを覚えていますか?」
「ああ、お前が婚約者にしたいといった人物だな?」
「はい。」
「それがどうしたというのだ?」
「実は……彼女は病で床にふせっていまして。私としては愛する婚約者の身に何かをあってはいけないのでぜひとも見舞いにいきたいのです。」
「あの誰にも興味をしめさなかったお前が見舞いに!?」
父はびっくりしたはずみで、椅子からころげ落ちた。
「あっ、痛!」
(そんなにびっくりするほどのことか?)
確かに俺は今まで誰にも興味をしめなさかった。好意を持つこともそれ事態が政治利用される立場にあったからだ。だが、好意を持つことが許されたなら恋愛の一つぐらいも簡単にできただろう。
「父上大丈夫ですか?」
「おお、大丈夫じゃ。先程の衝撃のおかけで腰の痛みも緩和されたかもしれん。だから、婚約者のもとに向かうといい。」
「そんなことあるのですか?」
「そんなことあるのだ。私は大丈夫だから。」と微笑む父の笑顔に申し訳なさを感じながら、私は馬車が止まっている正面玄関へとむかった。
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