手紙と側近
「書き出しはどうしよう?」
【拝啓 この前あったばかり変人王子さまへ】
「それはいけません…不敬罪にあたります。」
とマリアがら注意点されたので、タイトルは【拝啓 アレクシス王子へ】に変更した。
「あとは理由よね……なんかいい文章ない?」
「そうですね………。」と私達三人が知恵をだしあった結果こんな文章が出来上がった。
【拝啓 アレクシス王子へ 先日はありがとうございました。突然ですが私は急な流行り病にかかってしまい、ベッドにふせっております。 申し訳ありませんが、体調の関係などもあり婚約は受け入れられないように思います。そのため、ご辞退させていただきます。】
「これでどうよ!」
「ご辞退が気になるのと……急に婚約を拒否するほどの病にかかるというのが少々苦しい気もしなくはないですが……。」とマリアがため息をつきながら文章に目を通す。
「でも……病気になったといえばお見舞いにくるのではないのでしょうか?」
(そっか……病気=お見舞いか……めんどくさい。)
あのアレクシスとこれ以上関わる気はない。そのため、これで関係を精算できればいいのだが、お見舞いになればその話もなくなるかもしれない。
【追しん うつすかもしれないので絶対にお見舞いには来ないでください。】
「これでいいでしょ」とわたしは封筒に入れてワックスで封じをした。
「これで終わり!はぁ、これでフラグもポッキリね。」と私は横になった。
(あの王子もまさか身をていしてまでお見舞いなんか来ないでしょ。)と私はたかをくくっていた。
数日後に王子から手紙の返信が届いた。
私は【そうですか…では婚約はなかったことで。】という文章が書いてあると信じて手紙を開けた。
「うそ。」
「お嬢様……目が点になっていますがなんと書いてあったのですか?」
「はい。」と私はマリアたちに手紙を見せた。
【拝啓 愛しいアルセーラ 君が病気になったと聞いたら、婚約者のためならと公務先を抜け出す許可をもらいました。今そちらに向かっています。君のことを思うと夜も眠れませんはやく会いたい。】
(何してくれてんの国王陛下………そこは公務優先でしょ。て言うかまだ婚約してないし。)と国王と王子にツッコミをいれながら私はマリアに命じてお父様に王子がくることを知らせてもらった。
「さて………困った病名どうしよう?」と私は頭を抱えて崩れた。
(罪に問われるのは困るけど、王子にすかれるのはもっと困る…………どうすれば。)
「イレーヌ、マリア助けて。」
「………」
「イレーヌ、先輩として言います。ここで助けてはお嬢様のためになりません。ここは側近としてぐっと拳を握り我慢するのです。」としれっと逃げるアドバイスをするマリアに真面目なイレーヌは真剣な表情で「そうなんですね。」といいながら二人は部屋を出ていった。
「逃げられた……私一人で……どうすればいいの?」私は再び頭を抱えた。