過去と現在
「ロジエール様どうなさいましたか?お顔色が優れませんが……。」
「いや、アルセーラの父上からアルセーラが流行り病にかかったと……。」
アルセーラは以前結婚を前に私から願い出て結婚を取り止めにしてもらった。
(あのときは、15も年の離れた僕と結婚するのはかわいそうだと思い結婚をやめてもらった。)
彼女は、僕よりも若くこれからだって色々な恋ができる、僕よりも素敵な人が現れると思い身を引いたのだ。
(本当に好きだからこそ幸せになってほしかった。それなのに……病なんて……。)
「ロジエール様どういたしましょう?」
「……会いに行こう。」
「ですが、以前結婚をお断りした間柄です……領内にもいれてもらえるかどうか……。」
「だけど……」
(だけど、ここで会わなければ、確実に後悔する……あのときも……結婚を取り止めた最後の日…彼女に会った最後の日……。)
泣きそうな彼女に僕は土下座をした。もちろんそれが正しいと思ったからだ。しかし、彼女は目に涙をためて「あなたに謝ってほしい訳じゃない。私はあなたのことが好きだったのに……それじゃダメなの?」と震える声でいっていた。その光景が、頭から離れなかった。あの時、年のことを気にして結婚を辞退した自分の判断が間違っていると思った。しかし、一度動きだした歯車は止められず、後悔はできても再び婚約者になることはできなかった。
「私は……どんな状況になっても後悔だけはしたくないんだ。」
「ロジエール様……わかりました。行くだけいってみましょう。その後どう転ぶかはわかりませんが後悔はしないと思いますから!」と側仕えが励ましてくれたので、私は、アルセーラの父上に見舞いにいく胸を伝えた。




