決戦前夜……?
「王子!」
「どうしたそんなに急いで……。」
「………何をしているのですか。」
「ああ、ちまたで流行りのものを調べているのだ。」
「なんのために?」
「もちろん………アルセーラのためだが?」
「左様で。」
「それで、話とは?」
「それが………。」と爺は近づいて私の耳元で話し出した。
「なにロジエールが………なんのために……。」
(ロジエールは元婚約者だと調査した資料にはのっていたが……。なんのために……。)
「ロジエールは以前の資料で……。」
「ああ、王直属の調査部隊が調べたものだろう?」
「ええ、王族や関係者と接点を持つ方は全ての関係を調査しますが………ロジエール様は非の打ち所がないほど好青年とかかれていました。」
「そうだ。」
調べた資料には孤児の支援や環境問題にたいしてのチャリティーなど慈善事業にも精力的に取り組み、前領主のあとをついで安定した経営をしていると評価されていた。
(だからこそなぜロジエールがアルセーラとの婚約を断ったかわからないのだ。そして何をしに来たのかも……。それに断りをいれた側は悪評が立つ恐れもあるから、婚約解消や婚約辞退はあまりしないのが暗黙のルールなのになぜ婚約辞退を……。)
「王子……。」
「まさか、またアルセーラに求婚を……。」
「それはありません。」
「なぜそんなことが……。」
「王子はふられた相手と再び結婚したいとお思いですか?」
「………ああ、現に私はアルセーラに冷めた目で見られるが。」
「アルセーラ様はまだ王子を振ってはいませんよ。」
「そうか、まだ振られてはいないな。振られそうな勢いだが……。それはさておきどうする?」
「どうするとは?」
「決闘か?」
「なぜそうなるのですか………普段は冷静沈着で的確な判断を下せるのにアルセーラ様のこととなると………いいですかいくら王族とてすぐさま決闘とはいきませんよ。」
「そうだな、まず相手の真意を探らないと。すぐに調査部へ連絡をとるように。」
「はい。」
「それから、私のもっているお金をいつでも動かせるようにしておけ。」
「かしこまりました。」
(あとは調査部の連絡待ちだな……はやく届くといいのだが。)




