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過去

「はぁー」

「どうしたのですか、大きなため息をついて。」

「あの王子のことよ……。」

「王子がどうかしたのですか?」

「毎日毎日会いに来て………。」

「よかったではないですか………毎日会いに来るということはすごくアルセーラ様のことが好きということですよね?」

「だから好かれても困るんだって………。」



(私自身あの物語で王子に嫌われる悪役令嬢がどんな行動していたか、だんだんと思いだしにくくなっているし………これから死刑が待っていると思うと。)


そんなことを考えているとぶるぶると寒気がしてきた。



「私なんて王妃なんて器じゃないし………。せっかく嫌われる計画をたてたのに……。」とイレーヌにぐちをいっていたら、ノックの音がしてマリアが早足で部屋に入ってきた。



「失礼いたしますお嬢様。」

「ああ、マリアどうしたの?」

「それが………少し大変なことになりまして。」とマリアは一枚の封筒を取り出し中身を見せた。

「これは?」

「これはお父上様の手紙に同封されていたものです。送り主はドナデュウ様です。」

「ドナデュウってどこかで聞いたことある名前ね。」とクスリと笑うとマリアは真剣な面持ちで「あのロジエール様ですよ。」

「………まさか。」と私は封筒の差出人の欄を見た。




(確かにロジエールって書いてある………。)

私は恐る恐る封筒から中身を取り出し、手紙を読み始めた。



「何がかかれていたのですか?」

「久しぶりに会いたいからこちらに立ち寄るって書いてある。」

「それは………問題ですね。」とマリアは腕を組ながらあごにてをやり考えるような仕草をとった。




「マリア様……ドナデュウ様って誰なんですか?何が問題なのです?」

「ドナデュウ様はアルセーラ様の幼なじみです。」

「その幼なじみが何か問題でも?」

「……確かあなたはあの時まだここで働いていなかったわねイレーヌ。」

「あの時とは?」

「二年前のことです………お嬢様が乗馬の稽古の時に大怪我をされて、その後一方的にドナデュウ様から婚約の破棄の申し入れがあったのです。」





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