アルセーラと王子
「君が心配だアルセーラ。」
(彼女は病などではない。)
やはり私の思ったとおりだった。頬は不自然なほど一部分が赤く染まり、まるで水でもぶっかけたように顔にかく大量の汗。おそらく、汗は霧吹きかなにかで、頬は紅かチークで色をつけたのだろう。また、所々にお菓子や小説など病人らしくない品々が見受けられる。
(病と偽ってまで、私とそんなに結婚したくないのか………だがそこがまた………。)
今まで、私にときめかない人はいなかった。王子という立場を差し引いてもこの見た目だ。皆我先にと結婚を申し出てくる。
(お忍びで行った酒場の女たちはすぐによって来ていたが…………。)と私はアルセーラの反応を見たくて、手を取り彼女を見つめた。
「お、お、お、王子」と言葉にならないと行った様子で口をパクパクさせる。
(嫌われていると思っていたが………どうやらそうではないようだな。)
でも嫌われていないのならば、他に何かしらの原因があるはずだ。
(なぜアルセーラは私をそんなに拒絶するのか。)と手をにぎりながら考えていると、私とアルセーラの間に使用人が入った。
「王子、お嬢様は体調が優れませんので………。」
(こいつは先ほどから私に立ちふさがってきた使用人……。)
この使用人も私にときめかない人間みたいだが、こいつはそもそも恋愛とか人間に興味がないのだろう。
(私もアルセーラと会うまでは同じようなものだったから……。)
同類ということもあり、彼女の思考が手にとるように理解できる。そして、先ほど私に言いくるめられたこともだいぶねにもっているようだ彼女は敵をみるかのように鋭い視線をぶつけてくる。
「だが、アルセーラが心配なのです。そばにいることができればと思って……。」
私の一番の関心事はアルセーラをどうやったら自身の妃にできるかということだ。それ以外の障害はすべて取り除く。辛いことがあっても、彼女のしろぬりの顔を何度も思いだし、笑うことで息抜きをしていた。彼女と結婚したなら、私は笑顔のたえぬ幸せな日々を遅れそうだと確信した。私は、笑顔のたえぬ幸せな家族を作ることが夢なのだ。
(そのためにも………歴代の王家の中でもトップの頭脳と言われたこの頭と自身の地位を使って必ずアルセーラを手に入れてみせる。)




