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ときめかない!

「げふぉごほごほ」

外でお待ちの王子様に聞かせるために、私はわざとらしいほど大きな咳をした。


「お嬢様もう少し自然に。」

「そっそうね。」

「では、王子にお入りいただきますね。」とマリアは扉をあけて王子達一行を向かいいれた。



「私の愛しいアルセーラ……病にかかっているということだが……大丈夫か?」

「ええ、ですがうつすといけないのであまりベッドの近くに来ないでください。」

(来ると仮病だとわかってしまうから……。)

「いや今日は王家の医師をつれてきたからそちらにいかねばならない。」

(えっ、嘘でしょ……。)



王子は私のベッドの近くに来ると布団の上におかれた私の手をとって握りしめた。



(マリアに汗だくに見えるように霧吹きをしてもらったのは正解だったわね……ってそれよりも……!)



「私はそなたが心配だアルセーラ…………今も顔が真っ赤になっているではないか………。」

(そりゃそうよ………そんなきれいな顔で見つめられたら……別の意味で心臓がドキドキしちゃう。)





「王子………お嬢様はあまりお加減がよろしくないご様子ですので………。」とマリアが王子との間にたち、なんとかセクシービームで心臓が撃ち抜かれるのは回避することができた。




「王子は公務でお忙しいご様子ですので、私なんかのもののところにいるのではなくはやく帰った方がよろしいのでは?」

「いや、君の父が今夜はゆっくり休むようにと部屋を用意してくれたのだ。」と王子は部屋の入口で立っている父に視線を送った。父は満足げな表情を浮かべながらこちらを見ている。




(なんってことしてんのあの親父……あたおかか?

あの満足げな表情……さては隣町のゼッテペン伯爵に婚約者になったと自慢でもしたか…やれやれ。)と私は心のなかで頭を抱えながら父親をにらんだ。





「王子……お嬢様は現在体調が優れませんのでいったんお部屋にお戻りくださいませ。」

「しかし、まだアルセーラとそんなに話していないのですが……。」

「王子の身に何かあっては大変です。」とマリアは王子の背中を押しながらドア口へと向かった。




(ナイス、マリア!)



「イレーヌ悪いけど王子たちを客室へご案内してさしあげてください。ごほごほ」

「わかりました。」

「では、私も王子達と一緒に。」

「ああ、お父様はこちらにいらして、ごほごほ。」

「えっ、……ああわかった。」と王子達に退室してもらい私達は会議を始めた。








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