愛する人から捨てられたら君は?
第1話 雪原のお姫様
高校1年の秋
金田 一輝かねだ かずきこと金田は県内の工業高校に進学した。「金田さんや、クラスの数少ない女の子達を見てもまだそんなこと言っとるんかい?」
「何回も言ってるだろ、俺は恋愛なんかしない。学生の本分は勉強だ、少なからず恋愛に現を抜かすお前とは違う」
周りに話しかけるなとオーラを放っているのに話しかけてくるこいつは同じクラスの武田裕也たけだ ゆうや
裕也は中学からの藤宮桜ふじみや さくらと言う彼女がいる。
桜と裕也は俺の数少ない友人で、俺が心を許して信用している人間だ。
「そんなこと言って、お前だって雪原のお姫様は可愛いって言ってたろうが」
「確かに可愛いとは言ったが、それは別に恋愛的なものでは無く、ただの目の保養だよ」
「なんでそんなお前に雪原のお姫様は笑顔を向けるかね」
「知らねぇよ」
雪原のお姫様と裕也が呼んでいるのは俺らとは違うクラスの優等生の崎原美咲さきはら みさき雪原のお姫様と呼ばれている理由は、雪のように綺麗な銀髪で触ってしまえば雪のように消えてなくなってしまいそうなお姫様のような存在だからだそう
「ていうかいつも思うが安直すぎるよな雪原のお姫様って、雪原の原はどこから来たんだよ」
「あれじゃね?雪原って積もった雪がいつまでも積もってる地域みたいな意味だったよな?雪原のお姫様の雪がいつまでも溶けそうにないからとか?」
「でもまぁ痛いあだ名だってのは変わらないだろ」
「それより話を逸らすなよ、雪原のお姫様とどこで知り合ったんだ!なんでお前にだけ笑顔を見せる!」
「ただ1度助けてもらっただけだよ」
「助けたんじゃなくて助けてもらったって、お前それ普通逆だろ」
「道に迷ってたんだから仕方ないだろ」
金田は数ヶ月前の入学式の日に生徒が集まる集会所とやらが分からずに迷子になっていた。その時に声をかけててくれたのが美咲であった。
「集会所なら私も今から行くところだから、着いてきて」美咲は金田に集会所までの道を案内してくれた。金田自身あまり美人すぎる人は怖すぎて信用出来ずにいたがちゃんと目的地に辿り着き「じゃあ、私はこのまま行くから後できて、多分一緒に入るとあなたに迷惑かけるから」今更ながら美咲の立場を考えればこの時の言葉がどういう意味なのかが理解できるが、その時の金田は美咲の立場を理解出来ていなかったので「ありがとう」ただそのひとつの言葉を彼女に返した。彼女は目を見開き驚いた素振りを見せながら「これくらい普通だから」と穏やかな顔で集会所に入っていった。金田と美咲の関係はここから始まった。
「今思えばほんとに道に迷った俺を助けてくれただけの関係なんだよなぁ」
「ほんとにそれだけか?それだけだとしたらなんでお前にだけすれ違う度に笑顔見せてるんだよ!」
「だから知らねぇって、ほら授業始まるぞ」
「いつか絶対に聞き出してやる」
「お前には桜と言う彼女がいるだろうが」
「桜は俺にとってかけがえのない存在だからな。雪原のお姫様はあくまでお前とは絶対に釣り合わないって思ってるから聞き出そうとしてるんだ」
裕也はそう言って自分の机に戻って行った。
学校が終わり帰宅の準備をしてると教室のドアの向こうでクラスの生徒達が集まっていた。
「何があったんだ?裕也」
「それは俺がお前に聞きたいんだが?なんで雪原のお姫様が俺らのクラスを見に来てるんだよ!」
金田は恐る恐る教室のドアを見ると、そこには1人の学年1いや学校1と言っても過言じゃない、1人だけ世界観が違いすぎる美人がそこにいた。美咲だ。金田が美咲のことを捉えた瞬間美咲の視線も金田を捉えた。
「金田さん、今日少しお時間ありますか?」と少し笑みを零しながら美咲は金田に向かってそう言うと、
「えぇぇぇえ!」教室中に生徒たちの驚きの声が響いた。
初めまして。ナナシイナです。今回初めてカクヨムさんとなろうさんにて私の書いた物語を連載しようと思い投稿させてもらいました。不定期になってしまうと思いますが、どうかこのまま金田くんたちの物語を応援してくれると嬉しいです。