発覚
またしばらく大人しくする日々が続いたある日。
祖父母の家にいたわたしは祖父と二人きりでお留守番をしていた。
テレビを見ていたわたしに祖父は突然話しかけてきた。
「今なら誰も居ねぇし聞いちゃいない。わしの質問に答えろ、お前は誰だ。」
…あぁだから祖父は少し苦手なんだ、厳格で正しくてこうやってはっきり聞いてくる、どうしようもないじゃないか…。
『わからない、気付いたら居た。』
わたしはそう答えるしかなかった。納得されなくてもそれが事実だ。
「…そうか、ならお前さんを‘‘てる‘‘そう呼ぶことにする。」
思いがけない言葉にわたしは思わず祖父を見た。
「おぉ初めて目を合ったな。テルは悪いことして叱られてる時も相手の目を見ていたが、お前さんはいつでもちっとも目が合わさねぇ。それにお前さんはお転婆と呼ぶには行動に狡賢さがあった。なぁに、わし以外誰も気づいちゃいねぇよ、安心しな。…そうか、ありがとな、守ってくれて。」
受け入れられない、密かにそう思っていたわたしは驚いた。この頭おかしくなったとしか言えない状態を受け入れることができるのかと。
そして同時になぜが心が温かくなるのを感じた。あれはいったいなんだったのだろう。