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拝啓  作者: Say
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逃走Ⅱ


 施設から脱走できないならば家からも脱走を試みるしかない。わたしはそう考えた。

しばらく大人しくすると親も少しずつ監視を緩めてきた。もともと良い子だったあの子、すこし大人しくしていれば、すぐにお転婆が過ぎたことと思われるようになっていた。

そして千載一遇のチャンスがやってきた。


 その日は買い物に行くことになっていた。しかしわたしはテレビが見たいと駄々を捏ねていた。

買い物に連れて行ってもあれ買って、これ買ってと言われるのが面倒だったのだろう、案外あっさり許可はおりた。

 体感にして30分だろうか。テレビを堪能したわたしはこのチャンスを逃すまいと行動に移した。

 まずは玄関の鍵を開け、周囲を確認した。前回の反省は生かさねばなるまい。そして最大の難所である階段を下り始めた。一段、また一段と短い手足を使い懸命にかつ慎重に階段を下りた。何段下りたか、疲れ果ててもう数えるのをやめていたが、徐々に段差が明るく見えてきた。外が近い。そう感じたわたしは力を振り絞り、階段を下りきった。


 しかし脱走というものをわたしは甘く見ていた。幼いこの身体は階段を下ることに体力を持っていかれ、疲れ果てていた。おまけに準備不足だ、水分もエネルギー補給も何もない。

 時間もかなり経過しているからいつ家族が帰ってきて見つかってもおかしくない。

残された時間でそう遠くへは行けないだろう。あぁ今回も失敗だ。そう感じたわたしはその日は諦めて祖父母の家へ行き、『一人で遊びに来てみたよ、すごいでしょ!』と言って、出迎えてくれた祖母を驚かせ祖父にこってり絞られた。


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