いま
そんな私も時が経てば成長し大人と呼ばれる年齢となっていた。当時怖かったことも、みんな自分より記憶力良いなと思う程度には精神力も鍛えられた。
社会人となった機会に一人暮らしを始め仕事も生活も慣れてきた、そんな矢先に祖母の病気が発覚した。私にとって親といっても過言ではない祖母は、私の成長とともに年を重ね、世間では高齢者に属する老い先短い老人であることを痛感した。
私は時間を見つけては帰省し祖母を見舞い、すっかり元気をなくしてしまった祖母を色んな所へ連れ出した。行きたいと言っていた場所、食べたいと言っていたものなど思いつく、思い出せる限り連れ出した。そのうち出かける体力すらなくなってしまったけれど、また行きたいと言ってくれた。孝行ですらない私の自己満足なのに祖母は相変わらず私に優しかった。
祖母の葬儀が終了しいつの間にか一人暮らしの家に帰っていた。
近い将来いつか来ると心構えはしていたが実際のショックは大きく、どうやって帰ってきたか、そもそも葬儀にきちんと出ていたかすら覚えていない。ひどく頭が痛い。胸にぽっかりと大きな穴が開いたようだ。
『…あぁ、もう無理だ…。』