さいご
「テルちゃん!良かった、間に合った。おばあちゃん、聞こえる?テルちゃんも来てくれたよ。起きてお話でもしたら? テルちゃん良かったら手を握ってお話してあげて。」
久しぶりに見る祖母はすっかり痩せこけており手は握ると折れてしまいそうなほど細かった。私は恐る恐る祖母の手を握り話しかけた。
『おばあちゃん、聞こえる?テルだよ、おばあちゃんのために帰ってきたよ。積もる話もあるからさ、すこし起きてお話しよう?』
すると私の声が聞こえたのか祖母はうっすらと目を開け、
「……テルちゃん、…おかえり。……てるちゃん、…よろしくね。」
そう言うと眠ってしまった。
「ずっと一緒に暮らしてたテルちゃんの声はわかるのね、私たちは反応もなくて…。お医者様がもう長くないって言ってたから最期にって…。本当に良かった、間に合って。おばあちゃんもテルちゃんを一番気にかけていたから…。ふふっ、昔からお転婆で危なっかしい子だったからかしらね…。」
祖母の葬儀は生前の意向を考慮し家族葬にて執り行われた。わたしは一人で遺影を眺めながら祖母に語りかける。
『久しぶりだね、おばあちゃん。少しの間帰ってきたよ、よろしく任されたからね。これからも大丈夫だから安心してね。』