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拝啓  作者: Say
16/16

拝啓


わたしはてる。

わたしのことを知るひとはもうだれもいない。

いなくなってしまった。


わたしはあの子の記憶が見える。

それはきっとわたしが起きているからだろう。


あの子はわたしの記憶が見えない。

それはきっとあの子が眠っているからだろう。



そろそろ目を覚ますあの子へ最期に手紙を送ろう。


目覚めたらきっとあの子は驚き恐怖してしまうから。


この砂時計の砂がすべて落ちきってしまう前に…。



  拝啓 テル様

 いかがお過ごしですか――――



数ある中から選び、そしてご愛読いただきありがとうございました。

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