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拝啓
わたしはてる。
わたしのことを知るひとはもうだれもいない。
いなくなってしまった。
わたしはあの子の記憶が見える。
それはきっとわたしが起きているからだろう。
あの子はわたしの記憶が見えない。
それはきっとあの子が眠っているからだろう。
そろそろ目を覚ますあの子へ最期に手紙を送ろう。
目覚めたらきっとあの子は驚き恐怖してしまうから。
この砂時計の砂がすべて落ちきってしまう前に…。
拝啓 テル様
いかがお過ごしですか――――
数ある中から選び、そしてご愛読いただきありがとうございました。