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二人Ⅱ
「やっぱり来たか、てる。どうした。」
病が発覚し余命宣告を受けたとは思えないほど元気な祖父の姿がそこにはあった。
『てるって言った。どういうこと。』
「お前さんは言うてもまだ子供じゃのぅ。簡単なことだ。お前さんはそう思っていなくても、実際はまだ小さな子供だ。大人の保護が必要じゃ。それにテルが起きたとき、もしお前さんの声が届かなかったらどうする?きっと混乱するぞ。そんな時にのぅ、一人くらいは大人が居るべきじゃ。わしは居れば良いがあいにく長くはない。考えて託すならあいつと思った。心配するな、わしが惚れて愛した女、大丈夫。そして一つわしと約束してくれ、――。」
祖父にとってはわたしも孫だったのだ。また心が温かくなった。
少しして祖父は永いながい眠りについた。悲しむ祖母の背中にわたしはなにを思ったのだろうか。
『わしが惚れて愛した女、大丈夫』
気付けば祖母にそう話しかけていた。その言葉を聞いた祖母はこちらを向いて
「そうね、てるちゃん。ありがとう。」と言ってまた泣いた。