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小競り合い

 その時、遠くから「アニキいいいいいい!!」という叫び声が微かに聞こえてきた。

 「ん?」「石田か?」

 特攻服を着たヤンキー集団が校門から怒号をあげ松平達に近づいて来る。

 「おのれら!アニキに何してくれとんじゃあゴルあ!!」

 特に、先頭にいたドラム缶のような巨大リーゼントを頭につけたステレオタイプのヤンキー青年、石田一成が鬼の形相で松平を睨みつける。

 「この紋所が目に入らぬかゴルあ!」

 石田のリーゼントの先端から「五七の桐」の紋所がヌルっと浮かび上がる。

 「それこっち側のセリフぅ!」

 「こちらにおわす御方をどなたと心得る!畏れ多くも先の副関白、羽柴秀樹公にあらせられるぞゴルぁ!!一同、御子公の御前である……頭が高いっ!控えゴルあ!!」

 しかし当の羽柴は縛られたまま芋虫のように地面を這いつくばっている。

 「羽柴君の頭が低すぎるんだけど!」

 「だとゴルあ!!」

 石田は松平に掴みかかるが、近くにいたTDK2が割って入る。

 「貴様こそこのお方を誰と心得る!?徳川家康大統領の嫡子、松平HIDEKI様だぞ!」

 「ほえ!?お主、松平HIDEKIだったのか!?」羽柴が口を大きく開けて驚く。

 「誰だと思ってたのよ!?僕のことを有名人って」

 「喜助という弟を殺して後世に語り継がれる――」

 「それ「高瀬舟」に出てくる罪人じゃないか!?島流しから離れろ!」

 「てめえが松平秀喜か……アニキを縛り上げて何をするつもりだった言えゴルあ!」

 「いや、これはそっちの真田幸国さんが……」

 「言い訳なんか聞きたくねえゴルあ!」

 「そっちが言えって言ったんじゃないか!」

 「貴様いい加減にしろ!今度こそ若への侮辱罪だ!」

 「そっちがその気なら容赦しないぞゴルあ!!」

 石田とTDK2は睨み合い、遂に二人同時に飛び上がり距離を取った。

 まず石田が、「だいまあああっくす!!」と雄たけびをあげると、リーゼントは三回に分けて飛行船程の大きさに巨大化し、ズドおおおおン!という地響きを鳴らして石田の頭に降り立った。

 「聞いたことがある。令和の妖術の一つだな。だがこの本多TDK2、それぐらいでは怯まぬ!ATフィールド、展開!」

 巨大リーゼントは桜の木を巻き込みながらTDK2を押しつぶそうとするが、TDK2は腕からバリアを展開しそれを受け流し、巨大リーゼントが校舎を半壊させた。

 「平成の時代から地球を何度も救った人類の希望、貴様などに破壊できるか!」

 「やってやろうじゃねえかゴルあ!!」

 「ああああああ二人ともやめろおおおお」

 松平の叫びは虚空へと消えた――


 その後入学式が盛大に執り行われる、はずだった。

 東西の緊張状態は熱校にも影響を及ぼしており、石田とTDK2の小競り合いをきっかけにして、ここぞとばかりに一族の仇をとろうと他の生徒の一部も暴れだしてしまった。

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