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5. 3歳児の日常 〜食事編〜

3歳児生活 初日、3、4部位の構成でupします。

母であるマリアに抱っこされ、

広めのリビングを通過して、

ダイニングルームの指定席に座らされる。


「今準備するから待っててね〜」


子供用の脚の短い踏み台の様な格好の椅子。

食卓の中央にはタッセルが掛けられその上にはアレンジされた花籠が飾られている。

マリアは(せわ)しなくキッチンを動き回って〝世良〟の朝食を作っている。


熱が下がって初めての食事、乳児期をすっ飛ばして

3歳児になってしまったマルズにとっては、今世で食べる初の普通の食事だ。


あらかじめセットされているスプーンとフォーク

大きさ的にも自分専用のモノだろう、それを手に取る。


『材質は硬質シリコン?』


鑑定(アナライズ)】で材質のチェックをしてみたが、未知の素材過ぎて

何で出来ているのかが、全く分からない。

触って確認しても、木製や金属製で無いことが分かっただけだ。


他にテーブルの上に置かれているものが無いので

待つのが少々、苦痛になって来た。


しかし、幼児用の椅子には足をはめ込んでからロックを掛ける機能が付いて居て、

椅子から降りることが出来なくなっている。

仕方なく、マルズは、


「ママ ごはん〜」


と、母に声をかける。

5分程度の時間を待てないのは、この身体が3歳児だからか

体感として、初めて食べる日本での食事だからか・・・


「ハイハ〜イ お待たせ〜」


丁度、準備が出来たのかマリアが、トレイに自分用の朝食と〝世良〟の朝食を乗せて

キッチンから現れた。


「熱は下がってるけど、気持ち悪いようなら残して良いからね」


そう言ってマリアが世良の前に朝食を置いて行く、

パンとサラダ、スクランブルエッグ、小さめのソーセージ2個が

皿に盛って有る。

コップに入れたミルク。

深めの皿には野菜のスープが入れられていた。


一方、母の方の皿は単純に自分と同じメニューで、量が倍になっただけだ。

自分の分も置き終えると、マリアが世良の隣の席に着く、


「ハイ じゃぁ 両手を付けて」


マリアは自分の掌を合わせて、同じ様に世良が両手のひらを揃えるのを待つと


「頂きます」


と言った。


「?あれ?世良ちゃんも頂きます。でしょ?」


一瞬、キョトンとしてしまったが、マルズも


「いたあきます」


と言う。幼児の口で頂きますは、ハードルが高い。


それが食事の前の挨拶?礼儀?なのか

マリアはマルズがキチンと『いただきます』と言うと、

ニコッと笑って「よく出来ました」マルズの頭を撫で

朝食を食べ始めた。


マルズもマリアのマネをして食べ始める。


最初に食べたのはスクランブルエッグ、スプーンで掬って一口食べる


「おいちいい・・」


トロトロの半熟の卵にちょっぴり塩が入っただけの卵料理。

それがここまで美味しいとは・・・


体感ではエンデバイヤでの食事から3ヶ月程しか経っていないが、

今世では高熱の所為でまともに食事が出来ていなかったのだ。


久しぶりのまともな食事が涙が出るほど、美味しかった。


「世良ちゃん、泣いてるの?又、お熱出ちゃった?」


あわあわするマリアに、マルズは


「らいじょうぶです」


と、キッパリ言って、食事を再開した。


スクランブルエッグを平らげて、パンに手を伸ばす

長方形のパンを【鑑定】してみると、【トースト 1/2】という表示が見えた。

確かに、母の皿に乗っているパンは正方形だ。


両手で持って口に運ぶ、

サクッと良い音がして、焼けたパンのいい匂いと、塗ってあるオレンジのジャムの

爽やかな甘みが口一杯に広がった。


「おいちい」


今度は泣きこそしなかったが、感動で天を仰いで目を閉じ、ゆっくりと咀嚼した。

二口目以降もじっくりと、味わいながらトースト1/2を食べきった。


ふと、母の方を見ると、自分の3倍の速さで食事を取っていたマリアが、


「お野菜もちゃんと食べてね〜」


と、皿に残ったサラダを指した。


うむ、確かに熱前迄の〝世良〟は、余り野菜が好きでは無かった。

特に、人参やピーマンが苦手で、よく皿の端に避けていた。


今日のサラダにも薄く切ったオレンジ色のピーマンーパプリカーと、

細くした人参が乗っている。

熱前の記憶が、どこまで自分に影響があるものなのか・・・

意を決してフォークでサラダを口に入れる。


「美味しい」


「アレ?世良ちゃん人参さんとパプリカ美味しいの?」


「うん おいちい!」


どうやら味覚は前世寄りの様だ、色付きピーマンも、人参もシャキシャキしていて

とても美味しい。

特にこの上に掛かった白いソースととっても相性がいい。


ソースだけをフォークに付け、【鑑定】してみる

〝マヨネーズ〟と表示された。

コレのお陰で生の野菜が、苦味を感じずに楽に食べられる。


そもそも前世では、野菜も肉も火を入れるのが当たり前で、生の野菜など余り口にした事が

無かったのだが、今世の食事は本当に贅沢だ。


サラダを平らげ、野菜のスープを飲んでいよいよメイン!


ソーセージです!

前世でも腸詰はマルズの好物だった。香辛料を効かせ、燻製にした腸詰は保存食にもなる。

引き篭もり生活をしていたマルズの、唯一と言ってもいい好物の肉料理だ。


そういえば、召喚勇者の勇人が帰ってからは、研究尽くしで殆ど外食にも出ていなかった。

エルダーエルフのマルズは食事など3日に1食でも問題無かったからだ。


食べたいと思うような料理も無かったし、干果物と腸詰があれば、幾らでも引き篭もって

いられたのだ。


前世の記憶に浸っていると、マリアが突然、世良の皿の上のソーセージを

突き刺した。


「世良ちゃん お熱下がったけど、お肉はチョット重かったか」


マリアは自分のフォークに刺したソーセージを

そのまま口へ運ぼうとする


「ダメ!それ世良の!」


咄嗟に出たのは〝世良〟の言葉だった。

マリアの手を掴んでフォークを自分に向けると、そのままソーセージにかぶりついた。


「ごめん ごめん 世良ちゃんが、美味しいもの最後に食べる派 だったとは」


何派に属したつもりも無いが、ケラケラ笑うマリアを睨みながら

ソーセージの乗った皿を自分の方に引き寄せ、今度こそ自分のフォークに刺して、

ゆっくりと咀嚼した。


前世で食べた燻製の腸詰は、味こそ好みだったが、今世のソレとは一線を画す。

香辛料こそ控えめだが、このソーセージは噛むと肉汁が溢れて、口の中一杯に広がる。


乳児に転生してしまい、ちょっと後悔していたが、

やっぱり日本に来れて良かった。


コレからの日本での生活に、期待で胸を一杯にして


「「ごちそうさまでした」」


と、マリアと声と両手を揃え、朝食を終了した。


もしも自分が今、幼児になったら?

的感覚でupしてます。

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