Ⅴ 『now』
ライ「お久しぶりです。」
ライ「かなり時間が経ってしまいましたね…」
ライ「クリスも、ソラも、ギルも…」
ライ「どうやらもうここには来れないようです。」
ライ「今回は、私だけで」
『now』
ライ「変わらなかったのは、どうやら私だけみたいです。」
ライ「あの子は…変わった。」
ライ「自分の幸せだけを考えて、綴っていた。」
ライ「好きな物語から、好きなキャラクターから、少しずつ切り取って綴っていた。」
ライ「あの子は、きっと…何年も、私たちのことを忘れていた」
ライ「ねえ。」
ライ「私、とっても嬉しいんです。」
ライ「あの子が、自分の幸せしか欲しくないって…そのために楽しむ物語を作って、ストレス発散していたのを知っている。」
ライ「場面があっちこっちに飛んで、好きなところしか書き綴らず、キャラクターは対立させて…。」
ライ「あの時は、大変でしたもんね。」
ライ「好きな物語でありながら、私たちはあの子のコンプレックスで出来ていた。」
ライ「クリスには、人を信じない心を。何よりも強くさせて、その狂った心をそのままでいさせようとした」
ライ「ソラには、辛かった過去を。ここは物語になっていないけど…ソラは、外国でストレスを抱えたのだと、そう書こうとしていた。」
ライ「ソラを書けなかったのは…どうしてかな。忙しくて書かなくなって、元の場所に帰ってきて、辛い思い出を見たくなかった?」
ライ「ギルは、救いだった。あの子の、幼なじみみたいに、強い言葉ですくい上げる子。…でも、書けなかった」
ライ「今は、あの子は全員を救おうとしている。」
ライ「辛かったあの子が書いた、不幸せにさせて殺してしまったキャラクターを。」
ライ「もう一度、最初から」
ライ「丁寧に、丁寧に、救いあげて。」
ライ「ストレスで記憶が3年分までしか持たなくなったもの。」
ライ「きっと、いつか過去のあの子の辛さを、忘れてしまう。忘れてしまうけど、辛かったから救って欲しい。いつかも分からない未来に託した。」
ライ「大人になってからでも良かった。おばあちゃんになってからでもよかった。」
ライ「いっそ、忘れてしまっても良かった。」
ライ「私は…まだ物語として公開していない。」
ライ「私のことを物語で書いたら、多分あの子は救われた」
ライ「完結しないかもしれない。」
ライ「今だって辛い。」
ライ「私は、ライは、英語で嘘という意味。」
ライ「この世界は、私のため。」
ライ「あの子が、幸せの像としてライを作った。幸せになったあの子の姿が、私。」
ライ「だからね。」
ライ「誰にも届かなくていい。」
ライ「これは、忘れてしまうあの子のため。」
ライ「どうか、私たちを」
どうか、未来の私へ。
幸せになってください。