IV 『Sky』
クリス「やあ、また会ったね」
クリス「随分と時間が経ってしまったね」
クリス「忘れてしまったかな?別に構わないけど」
クリス「ここは嘘がつけない世界。」
クリス「今日はソラさんがいないよ。何でだろうね?」
『Sky』
クリス「sky...空だよね?僕ってばてっきり、ソラさんが出した出題だと思ったんだけど」
クリス「そうだね…空か。僕はそんなに、空は見ないなあ」
クリス「上を見るのが嫌なんだ」
クリス「どうしてだろう?仲間しかいないのに」
クリス「…仲間、って言えるのかな」
クリス「僕なんかが」
ライ「お久しぶりです」
ライ「忘れてしまったでしょうね。そもそも、ここに来る人なんているのでしょうか」
ライ「来るのは私たちぐらい。見ているのは…そうですね、あの子ぐらいかな」
ライ「自分のために作り出した世界なのに、いつのまにか手を離れてしまっている」
ライ「それでも、書く力は失ってない…なんとも、変な話です」
ライ「クリス?珍しいですね、あなたがそんなふうになっているのは」
ライ「あの子も、落ち込んでしまっている…?」
ライ「ああ、その前に…空についてですね?私は見るのが好きですよ」
ライ「雪が降ってる時なんかはとくに」
ライ「きつねさんと、会えますから」
ギル「馬鹿みてえなもの背負うなって、あれだけ言っただろ」
ギル「ほら、早く来やがれ」
ギル「何百年待たせるつもりだ、バカヤロウ」
ギル「俺は、お前が死んだ真っ青な空が大嫌いになっちまってな」
クリス「…え?」
クリス「ギル…?」
ライ「ああ、今の子が…ギルバート」
クリス「どうやって、ここまで」
ライ「あなたは性根が腐りきってますから、誰一人として信じていないんでしょうけど」
ライ「考えてみれば、すぐに分かるでしょう?クリスなら」
クリス「真っ青な空か…そう、だったっけ」
クリス「覚えてないな」
クリス「でも、どうりで…ソラさんがここにいないわけだ」
クリス「真っ青な空みたいなソラさんがいたら、僕は八つ当たりをしてしまいそうだね」
ライ「…あなたは、どうしてそんなにも抱え込むの」
ライ「あの子が一番に綴ったとは思えない」
ライ「なぜあなたは選ばれたの?…それに、ここは」
ライ「あの子の気持ちなんて、考えていない」
ライ「全部の物語は、あの子が好きな、現実から逃げ込む場所だったのに」
ライ「ここだけは、あの子が見てる世界そのもの…」
ライ「私や、クリスや、ソラは…あの子に現実を見させる人」
ライ「あの子のことなんて、助けてあげない…」
ライ「でも、好かれてるみたいね。じゃあ、なぜギルバートはここへ?」
ライ「クリスを、助けたかったのかしら」
ライ「あの子は、なんでこんなにも苦しみながら文字を綴るの?」
ライ「私たちのことは好きで、でも…私たちを綴るのは、死にそうになりながら?」