-01 物理防壁
状況の説明です。 読み飛ばしても差し支えないと思います。
物理防壁
王国の周囲を囲む国境線は物理防壁で守られていて、かつて、その防壁の円周は6000㎞にもなった。
物理防壁の高さは、海抜10.000mに届く。 だが、その幅は僅かに3m程で、高さに比べると厚みは薄い。
物理防壁は半透明で、気体や液体以外のものを完全に遮断する。
王都から供給される高圧の電力をエネルギー源にして結界印が組まれており、呪印によって集められる性質変化系の魔素が“空気”をクリスタル状に高質化させている。
もし仮に、この壁を無理やり突破しようと試みるなら、最初に障害となるのはエネルギーが供給されている防壁の土台部分から漏れ出る電流だ。 それは、とても生身で近づけるレベルのものではない。
方法としては、相当のアースを体に繋いで壁に近づくか、大地のアースの影響を受けない高度で近づくか、呪印を書いて漏電する電流を迂回させるなどの方法があるが、いずれにしてもハイリスクで、その作業をするとなれば、軍の小隊くらい粒のそろった人材が欲しいところだろう。 その上で幅3mの最高レベルの硬度の防壁を破壊するだけの武力も要る。
リスクを取ることの選択と、仮に時間の制限がなかったとすれば、実は、ダンテたちだけでも、やり方によっては防壁を破ることは不可能ではないかもしれない。 だが、そのためには結界魔法を扱える淑女の力が不可欠で、淑女はその力のほとんどを使い切ってしまうことになるだろう。
しかし、彼女の力は、壁を越えた先も続いていく旅路の安全の要でもある。
魔導師の力は時に戦力にもなるし、もっと重要なパーティー全体の防御力にもなるので、防壁を破るために無理をしてまで消費させたくはない。
それに、ダンテたちは、優と2人の兵士たちがケガから動けるようになるまでの時間も欲しい。 戦力は多い方がいい。 何しろ壁を越えた向こう側はダンテたちには未知の領域なのだから。
無理をする必要はない。
王都の陥落が秒読みに入ったとまで予測できる今、待ってさえいれば道は開かれるのだから。