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第32話 エマ、魔法で変化する

「そう、お母さんが来ているの。」

「はい!午後はママと過ごすのです!」

魔女の館で嬉しそうにレティの話をするエマ。


「ママは変化するとシュっとしてカッコいいのです。」

レティはシルバー&ホワイトのシベリアンハスキーっぽい。実際にはもこっとしているがエマにはシュッとして見えるようだ。


ちなみにカールは真っ白なボルゾイっぽく、デイモンはハスキーとコリーのミックスっぽい。


「エンマもシュッとしてみたいですねえ・・・。」

「あら、エマちゃんなら変化できるんじゃない?」

「そうよね、魔力量も充分だし・・・。」

がたっ!

「エンマも変化したいです!」


「そうそう、成りたい姿をよくイメージして・・・手と足と・・・具体的にイメージできた?・・・そのままエイっと変化して・・・」


ポン!

「あら可愛い!」

「上手に変化できたわね!」

「戻る時は身体に込めた魔力を開放するように・・・そう、上手よ。」


ポン!

戻った。


「何度か繰り返して練習してみましょう。」

ポン!

変化して

ポン!

戻る。

ポン!

変化して

ポン!

戻る。


「うん、問題なくできるわね。もしも戻るのを忘れても時間が経てば自然と元に戻るから大丈夫よ。」


「エンマ、ママに見せてくる!」

魔女の館を飛び出した。

「ママ!」

「エンマ!ちょうど迎えに行こうと思っていたのですよ。」

おやつの時間だったようでカールもダイアナもデイモンも揃っていた。


「あのね、エンマ変化できるようになりました!」

みてて!と言って集中する。


ポン!

「エンマ!なんて可愛いらしいのですか!」

感動に震えながらデイモンがエマを抱きしめる。

「えへへ、ママみたいにシュっとしてますか?」


シュっと?

カールとダイアナが微妙な顔をした。


「とっても可愛らしいですよ!」

デイモンはご機嫌だ。


「エンマ鏡みたいです。」

デイモンが変化したエマを抱いて鏡の前に移動すると、デイモンに抱かれた赤茶色の子犬が見えた。


シュっとしていません・・・これ違う・・・・。

ポン・・・。


「エンマ!どうして戻ってしまうのですか?とっても可愛らしいのに!」

「これ違う・・・。」

「エンマ?」

「エンマ、ママみたいにシュっとしたかったのに!これじゃ子狸です!」

変化したエマはポメラニアンぽかった。


「エ、エマちゃん?エマちゃんは子供だから変化しても子供のままなのは仕方ないのではないかな?それにレティは別にシュっとしていないぞ。」

ドカッ!

カールがレティに撥ねられた。


「エマちゃん、もう一度変化してみてくれる?」

・・・・・ポン。


ドカッ!

レティがデイモンからエマを奪って走り去った。


ダイアナがカールに走り寄り、フェンリル化したデイモンがレティを追う。


ペロリ。

サンルームのクッションの上で丸くなったレティが変化したエマを抱え込んで、爆舐めする。


「母さん!エンマを返してください!」

ぎゃんぎゃんと涙目で吠えるが、今回もデイモンが負けた。


「エンマ・・・。」

扉の影からハンカチを噛みしめながら二人を覗き込むデイモン。

「兄さん、母さんに戻るよう父さんから連絡してもらうことになったから・・・。」

薫がデイモンを優しく撫でる。


光から連絡を受け、この二日後にレティは帰った。

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