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第20話 テオとニナの家にお泊りします

「テオ君のローストチキン、美味しかったです!」


「専門家には叶わないけどね、陛下のところには専門の料理人がいるのだろう?」

「唄子ちゃんのごはんも美味しいですけど、テオ君のごはんは特別ですから!」


今日はテオとニナの家にお泊り会だ。もちろん夕食もごちそうになっている。兄であるテオの作る料理は、食べなれた味で実に美味しい。


「ふふ、嬉しいね。エマのデザートはレモンポセットだよ。好きだったよね。」

摺りおろしたレモンの皮をダブルクリームとカスターシュガーと一緒に温め、濾して滑らかにしたものにレモン果汁を加えて冷やしたレモンポセットは濃厚なレアチーズケーキのようでエマの大好物だ。


「わあ!嬉しいです!!」

「ニナにはシラバブをどうぞ。シラバブは白ワイン入りのレモンポセットだね。」

「ありがとうテオ。」


レモンポセットは冷やすと自然と固まるのだ。

ぷるんと掬って一口・・・。

「美味しいです!」


同棲中のニナとテオの生活で料理は主にテオの担当だ。ニナはちょっとだけメシマズなのだ。

お泊り会の日はエマが加わり手間は増えるが妹たちが喜び、はしゃぐ姿が可愛くてならない。お泊り会を一番喜んでいるのはテオだった。



チャッカ、チャッカ、チャッカ。

エマを迎えに行くデイモンの爪音が響く。昨日の夕方から出かけているエマに早く会いたくて小走りになる。


「エンマー、お迎えですよー。」

ピンク色の舌を垂らし、尻尾を振りながら呼びかけるとテオが招き入れてくれた。


「いらっしゃい、デイモン。」

リビングに通されるとニナとエマが寄り添って、うとうとしていた。


「夕べお喋りが止まらなくてね、今日は土曜で休みだし僕も止めなかったんだ。」

ふーん、と頷きながらエマの足元に伏せてエマの膝に顎を乗せる。


「どうぞ。」

コトリと置かれたのは、お茶の入った犬用水入れだった。


「・・・・・・・。」

眉間にシワを寄せ、半目で水入れとテオを交互に見る。


「その姿の時はこの方が飲みやすいと思うよ。」

テオがにっこりと腹黒く笑う。


「僕も寝不足なんだ、横でずっとニナとエマがお喋りしていたから。」

エマと同じベッドで眠ったアピールにデイモンの顎が外れた。


「エマは寝相が良くて助かるよ。」

尻尾を膨らませながら驚愕に目と口を見開いているデイモンにとどめを刺した。


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