第15話 メイと才蔵の結婚式
今日は才蔵とメイの結婚式だ。
滅多に子供の生まれない魔界ランドではページボーイやブライズメイドという役割はないのでエマも招待客の一人として出席している。
デイモンお手製の水色のワンピースが似合っている。
「メイちゃん綺麗ですねえ!」
「メイの故郷の衣装ですね、白無垢というものだそうです。才蔵さんの衣装は黒五つ紋付き羽織袴というものだそうですよ。」
小さな羽をパタパタさせながらデイモンと同じ高さでホバリングするエマ
「二人とも似合っていますね!」
「民族衣装ですから、ぴったり決まりますよねえ。」
式の後は立食形式のガーデンパーティーだ。メイは着物をリメイクした華やかなドレス姿だった。
「メイちゃん、とっても可愛いですね!」
「おめでとうございます。」
「ありがとうエマちゃん、デイモン君。」
「とっても素敵です、メイちゃんに似合っていますね!」
デイモンが隣でうんうんと頷いている。
「ありがとう、二人ともゆっくりしていってね。」
メイと才蔵は挨拶で忙しそうだ。
「エンマ、せっかくだからいただきましょう。穴子ですよ、はいあーん。」
あーん。もぐもぐもぐ・・・美味しいです。
パーティーでは立食でも食べやすいお寿司が中心のメニュー構成だった。
ホバリングするエマに給餌するデイモンという組み合わせは実に可愛らしかった。
「エンマ!二人の退場ですよ、お見送りしましょう。」
才蔵がメイをお姫様抱っこで退場した。
「いいなあ、エンマもお姫様抱っこしたいです!」
デイモンの耳がピコンと立った。
「さあ、どうぞ。」
エマに向かって両手を差し出す。
「うん!」
元気よくデイモンの手を取るエマ。
ころり。
エマが小さくてお姫様抱っこにならなかった。
「これ違います!」
理想と違うと抗議するエマ。
これでは、まるで揺りかご抱っこである。
せっかくのお祝いの日に癇癪を起こす訳にもゆかず、ぐぬぬぬぬと堪えるエマだった。