第11話 モテないトリオ
いつものように魔女の館で学習と仕事を終え、ランチに戻ると、窓辺でデイモンが待っていた。
「エンマ、今日はエンマに紹介したい人たちがいます。食事の前に紹介しますね。」
執務室に入ると、カールと3人の男性がいた。
「じいじ!」
駆け寄るとカールが抱き上げてくれた。
「エマちゃん、今日は儂の秘書たちを紹介するぞ。イブリースとモレクとアルコンじゃ。」
「こんにちは!エンマです。」
「はじめまして、エマ。私はモレク。」
「イブリースだ。」
「アルコンです。よろしくね。」
「エンマ、分かりやすく説明しますね。あちらのシスコンがモレクで、鬼畜眼鏡がイブリース、この2人はキャラ立ちしているので覚えやすいと思います。2人に比べてキャラが薄いのがアルコンですが、彼の特徴はラッキースケベですから、近寄らないようにしてください。あの顔をみたら逃げ・・・」
言い終わらぬうちにデイモンは3人の手で床に沈められた。
「ピクピクしてる・・・。」
降ろしてもらい、フェンリルの姿で痙攣するデイモンに駆け寄るエマ。
「ああ大丈夫ですよ、無礼なガキには容赦しませんが、お行儀の良い子供には何もしませんから。改めて、私はアルコンです。さきほどデイモンがシスコンと呼んでいた、そちらのモレクは200~300歳ほど年下の妹を溺愛しており、妹からウザがられているので、シスコンで間違いありません。」
「異議あり。家族思いと訂正します。あちらの眼鏡が鬼畜眼鏡のイブリースです。眼鏡キャラなので覚えやすいですね。」
「…鬼畜は誉め言葉だな、ここは魔界なのだから。」
「ちなみにエマちゃん、モレクのスキルには『シスコン』、イブリースのスキルには『鬼畜眼鏡』アルコンのスキルには『ラッキースケベ』がある。特にアルコンのスキルの『ラッキースケベ』は深刻じゃ。アルコンの側に寄るだけで、うっかり下着をチラ見せしてしまう危険があるため、幼女と老婆以外、アルコンに近寄ろうとしないのじゃ。
この通り3人とも男前で年収も高いのに、このスキルが原因で絶望的にモテない。なんと3人とも彼女いない歴200~300年じゃ。しかも哀れなことに称号ではなくスキルなので生きているだけでスキルがレベルアップして、ますますモテな・・・・」
言い終わらぬうちに魔王陛下が3人の手で床に沈められた。