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俺とあいつの秘密の七日間  作者: シソ熊
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3日目②

よろしくお願いします。


案の定担任の先生には叱られてしまった。


しかし、遅刻と言っても2分程度のものだったので受験で失敗にしないためにも遅刻癖を付けないようにとだけ言われておとがめは終わった。


1限は古典だ。面白い女性の先生だからか、寝る生徒も少ない。しかし一方で世界史の授業では寝る生徒が続出するのだから、やはり生徒がまじめというわけでもないんだろう。


「おーはよーう。小テストの勉強してきた?」

先生はのんびりとあいさつをしながら教室に入ってきた。


教室から、「あ、やべ。」という男子生徒の、もっと詳しく言えば俊の声が聞こえた。


「はああん?まあまあ勉強してないのかしらあ。悲しいわ、どうせ理系に進むんでしょうねえ。それで古典を捨てちゃった?ああ、別にいいですよ。」

「そんなことないっすよ!俺、文系選択予定なんで!」


おい、今の流れでよく言えたな、俊。

先生の嫌味に対してこの返答をできる俊のメンタルは一周回っておかしいと思う。


「あらそう、まあ今回も10点満点で5点以下なら補習だから、先生に昼休みに休ませてね。」

「え、昼休みは俺、陽ちゃんと素敵なランチがあるから、先生ゴメン!」


古典の先生は熱心な方の先生で、小テストで半分取れなかった生徒に対してはわざわざ補習を開く。その補習の最後の小テストで8点以上取ればOKだが、7点以下の場合は放課後に再度小テストを受けることになっている。

俊みたいに部活に入ってるやつにとっては致命的だ。


それは置いておくとしてだ。


「おい、陽ちゃんって俺じゃあねえよなあ…?」

「なんで先生がフラれたみたいな言い方されなきゃいけないのよ。普通に10点取って補習を受けなければいいでしょうが。」


陽子と言わなかっただけましだが、陽ちゃんってなんだ、ちゃんって。

そのうえ素敵なランチっつっても弁当食うだけだろうが。


「やっだあ、陽ちゃんテレ…。」

「言わせねえぞコラ。」


小テストを解いてから回収される。明日の2限目の時間に返却されるから、補習があるならば明日だ。


「それじゃあ昨日の続きからね。」

古文を読み進め、現代語訳をしていく。


「ほらあ、夢の国までトリップした子はトリップ先の物語を話してもらうよ。」

それってワンチャン痛い奴じゃないか。


例えば、妖怪のいる世界で妖怪から人間を守る陰陽師でした。という夢でも見たと話す羽目になったら、俺は昼休みは教室から雲隠れしてやる。


「図書室とかに、現代語訳もある源氏物語とかの古文の本があるんだから、そういうのを読んでみなさい。ハマるから。


ハマらなかったらあんたらの感性が乏しいだけだわ。」

古典の先生は授業の締めにそう言って、1限目は終わった。


「はよ。俊、小テストできたのか?」

俊の元まで言って聞いてみる。


そう、俊の元まで行かなければならない程度には俺と俊の席は離れている。にもかかわらず、授業でツッコミを入れなければならない俺の身にもなってほしい。


「おっはよう!いやあ、きびいかも。陽は?」

「補修にならない程度にはってとこ。」

「おお、さすがあ!頭いい陽子ちゃんも魅力的だわあ。」

「おし、明日お前は昼はいねえんだな。」


昨日の陽子発言から、コイツ、俺に対して陽子って呼ぶことがブームになってないか…?


「そんな冷たい事言わないで!」

冷たいことと言っても、ありえそうな話である。文系選択と言っている割には得意科目は数学と化学だ。


「いや、普通に補習じゃねえの?てか、俊はマジで理系選択のほうがいいんじゃね?」

「俺は今できる科目で選ぶんじゃなくて、夢で選びたいの!」

「お…、おう、そうか。」


驚いた。俊に夢があったことではない。いや、それも地味に初めてだから驚いたんだが、何より正論を急に言うこいつに驚いた。


「俺はイケメン警官になってモッテモテになんの!」

「あ、俊だ。」


よかった、こいつはコイツだった。俊だってどういうこと?と聞かれているが気にしない。


「まあ、まず前半が厳しいな。」

「相変わらず手厳しい!」


◇ ◆ ◇

授業も終えていき、昼休みとなった。


「陽、今日もいいよな!」

「んな毎度律義に聞かなくてもいいけど。」

別に追い払おうとも思わない。


なぜか返答をしない俊のほうを見た。

「陽子ちゃんがデレたあ!」

飛び跳ねている俊がいた。


「あ、今日もお邪魔なタイミングで来ちゃった…?」

「あの陽子さんが?よかったじゃないか。」

だからなんでお前らはこのタイミングでくるんだよ。

穂乃香と優弥が来ていた。


「おお、優弥君と穂乃香さんじゃん。」

俊は落ち着いたようで、俺の前の席に座る。


「やあ、田中君。」

「今日もお邪魔するね。」


それぞれ優弥と穂乃香が俊に挨拶をしてから、椅子を持ってきて座った。


「ああ、俊でいいよー。田中って言われると、怒られるんじゃないかってドキドキする…。」

「あはは、もしかして山崎先生のこと?」


確かに俊はよく体育の授業で田中ああ!と言われている。しかし自分の苗字に苦手意識とは大丈夫だろうか。いや、しらんけど。


「にしても見事に仲直りしたのなあ。」

「俊君知ってたの?」

急に俊がぼやいた。まあ、二日前なんて、俺は俊に優弥のクラスをぼこぼこにすると言ってビビらせたばかりだ。

優弥が俊のボヤキに答えたので、俺は気にせず弁当のからあげを頬張る。うん、うまい。


「まあ、あからさまだったからなあ。」

「うわあ、恥ずかしいね。」

俺のことを言わないでくれたことには感謝するが、いずれにせよ俺に分が悪い話題なので早く終わってほしい。


「まあ、良かったよ。もう、俺のハニーの陽子ちゃんを不安にさせないでくれよ…?」

「え、ひどいよ陽!私たちを捨てて向こうを選ぶっていうの!?」

「選ぶんじゃない、僕たちのほうに戻ってくるんだ。」


ウソだろ…、俊が三人に増えた…。

「とりあえず俊、俺のことを陽子ちゃんっていう限り、てめえはモテないぞ。」

顔を青ざめる俊を見捨てて、次に穂乃香と優弥を見る。


「お前らはあれだ、変わりすぎて俺の戻り先がなくなったから無理だわ。」

 えー、心狭いぞー!と騒ぎ立てる穂乃香を無視してウインナーを食べる。え…、こいつタコさんウインナー…だと?


「あ、タコさんウインナー!いいな、俺にも頂戴!」

「ほれ、口開けろ。」

俊の口に放り込んだ。母さん、タコさんウインナーは勘弁してくれないだろうか。この年では恥ずかしい。

 

「いやあ、にしてもタコさんウインナーってかわいいな。ギャップ萌えってやつ?」

「やめてくれ、それにギャップ萌え狙うなら優弥先生にご教授願え。こいつ、ギャップ萌えで影で騒がれているからな。」

「え、ちょ。どういうこと?」

格安で優弥を売り飛ばし、俺は平穏な昼休みを手に入れた。



「あっ。」

「どうしたの?」

「いや、野暮用。」

美来にポケベルについて聞かれていたことを思い出した。

三人の前でスマホをいじるのもどうかとは思うが、次に思い出すのが電波のない山で困る。

さっさと検索してスクショをとっておいた。


「あ、終わった?」

穂乃香が聞いてきたので頷く。

「よかったあ。向こうの二人は二人で話しちゃうから暇になっちゃって。」

「ごめん、調べ物をしとかかねえといけないのを忘れてたんだよ。」

「ネットでいいの?図書室とかの参考文献じゃなくて。」


別にそこまでかっちりとしたものでなくて構わないだろう。俺はうなずいた。


ありがとうございます。


あああああ、設定をいろいろ書きたい…。

というか、たくさんの舞台裏を書きたい!

別の話で必ず書きます!


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