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今回は短めです。
放課後。
私は勇気を振り絞って咲の居るクラスへ向かうと、教室の入口付近に居た子に咲を呼び出して貰った。
暫く待つと咲がやって来たが、その表情は硬く素っ気無かった。
「何か用?」
「一緒に帰りませんか?」
私は咲に断られないか怯えつつも、平静を装いそう訪ねた。
「はぁ……いいけど」
「有難うございます。それでは帰りましょう」
咲が自分の席まで鞄を取りに行っている間、私は相変わらず平静を装っていたが、心の中では咲が断らず一緒に帰れる事が出来るとあって、嬉しさでいっぱいだった。
帰り道に咲から、私が男子や女子に人気が有るから “一緒に帰りたい” と言う子が居るのでは? と聞かれたが、私は咲以外の人には興味が全く無いので、他の人の事なんてどうでもよかった。
家に帰ってからも、咲と二人きりで居られるのが本当に幸せで、このまま時間が止まって欲しいと思うけれど、好きと言う気持ちが溢れてしまいそうだったし、何度も体が触れそうになった時は、心臓が爆発してしまうのでは? と言うほどドキドキした。
ただ、この気持ちを気付かれない様にしなくてはならないのが辛くて、その度に胸が締め付けられた。
お風呂の準備の為リビングを出て行く恋を見送って、私はスマートフォンを使い宅配ピザの注文を手早く済ませた。
宿題をしていた時に、何度か恋を盗み見したけれど、双子であるはずなのに、私と恋は全く似ていないと改めて思った。
そんな恋は異性だけでは無く、同性からも好かれていて、何時か私の知らない誰かと付き合って結婚をするのかと思ったら、何故か胸が締め付けられ、今まで感じた事の無かった “寂しい” という気持ちが一気に押し寄せてきた。
その感情が未だに何なのか分からないけれど、恋とは一生離れたくないと思った。