3
家に着くと、其々の部屋に行き着替えを済ませ、宿題を持ってリビングへと向かった。
家に着く少し前、恋から「一緒に宿題をやらないか?」と誘われたからだ。正直、宿題をやるのは面倒臭いけれど、恋と一緒なら分からない所は教えて貰えるので、結果的には一緒に宿題をやれて良かった。
二人して宿題を片付けていたら、いつの間にか日は沈んでおり外は真っ暗だった。壁に掛けてある時計に目をやると、針は十九時を指していた。
「あら、もう二時間経っていたのね」
「二人で勉強していると、時間忘れちゃうよ。それに春とはいえ、日が落ちるとまだ寒いね」
「そうだね、言われると私も寒く感じるよ。処で咲、夕飯どうしよう?」
「今から作ると遅くなっちゃうから、ピザとか何か宅配頼む?」
「それで良いよ。でも私、頼み方とか知らないから、咲に任せちゃってもいい?」
「分かった。恋の分も適当に頼んでおくよ」
「有難う。その間に私は、お風呂の準備しておくね」
「はーい」
********
部屋に宿題を置いてから、浴室に向かった私は、昼休みにクラスの男子達が話ていた内容を、思い返していた。
「なぁ、うちの学校で、彼女にするなら誰が1番だと思う?」
「そりゃ、秋雨咲だろ。少し背が低いけど、あの容姿ならそこの所もカバーされるだろうし、何よりあの胸がいい」
「何だ、お前も同じか」
「そう言うって事は、お前も秋雨咲を狙っているのか?」
「そうだよ。まぁ、他にも狙ってそうな奴ら多そうだけどな。告白したヤツとか居たりして」
「俺、告白してるヤツ見たぞ。ソッコーで振られてたけどな」
「男子って、外見で判断するヤツ多いよね。でも、秋雨咲だったら、男子の気持ち分かるかも。私だって彼女の胸なら触ってみたいと思うもん」
「え!? 秋雨咲さんって、隣のクラスの方ですよね? 彼女、男子から人気あるのですか?」
「恋さん、知らないのですか? 秋雨咲さんは、男子に凄く人気ですよ。あの容姿で可愛いですから、隠れファンも多いですよ」
「女の先輩で、彼女を狙っている人が居ると、部活の人から聞いた事あるね」
「ふわっとした感じが、お姉様系にモテそうですものね」
「え? それは本当の事ですか?」
「本当ですよ。男子の方は、ファンクラブまで出来ていますから。そう言う恋さんだって、何人もの男子に告白されてますよね?」
「そ、そうですけど……男の人に興味無いですから」
「恋さんは、恋愛とかよりも勉強の方に興味有りそうですものね」
…………咲を狙っている人が、沢山居るなんて知らなかった。
何時か彼氏が出来て、私の事はもっと見向きもしなくなって、今以上に離れてしまうのかな。もし、そうなったとしたら、私は祝福しなくちゃいけないだろうけど、笑顔とかでは無理。
今でさえ、この気持ちを抑える事でさえ辛くて溢れそうなのに……