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放課後。


美優と佳奈は、早々に其々の部活に行ったので、部活に入っていない私は、教科書を鞄に仕舞うと教室に残る理由も無いので、さっさと帰ろうとしていた。


「咲さん。 秋雨さんが呼んでますよ」


クラスの子に呼び止められ、廊下の方を見やれば、出入口の所に恋の姿を確認した。廊下で私を待つ恋は、こちらの様子を伺いながら待っていた。その周りでは、秋雨恋を一目見ようと人集りが出来ており、遠巻きからも眺めている人が居た。


「あ、有難うございます」


私に何の用だろう? 今まで学校に居て、恋に呼ばれた事など一度も無かったのに……急に呼ばれた事に対して何かあると思い、直ぐには恋の元まで行こうとは思えなかった。それでも恋は、中々来ない私を廊下でずっと待っており、それを見た私は仕方無く恋の元へ行った。


「何の用?」


「一緒に帰りませんか?」


「はあ……良いけど」


「有難うございます。それでは帰りましょうか」


何か用かと思って来てみれば、一緒に帰るだけとは。それだけの為に、私のクラスまで訪ねて来たのは拍子抜けした。お互いスマートフォンを持っているのだから、メールすれば良いのに。

私は、一旦自分の席に戻り鞄を持つと、恋の待つ廊下へと向かった。





恋と一緒に帰るのは、中学生以来で久し振りの事だ。二人並んで校門まで続く桜並木を歩いていても、周りの視線は私の隣に居る秋雨恋に集中している。やはり、それだけ恋は人気なのだ。

それに時々だが、私に対する嫌味も聞こえてくる。


「咲と一緒に帰るのは、随分と久し振りですね」


「そうだね。一年以上になるのかな? 入学式までは一緒だったけれど、その翌日位から別々で登校してたからね。 その桜並木も一緒に通った記憶が無いもん。それよりも恋、私と喋るのに敬語は要らないよ。普通に話せない?」


「桜は散ってしまいましたが、咲と並んで歩くのは、初めてかもしれませんね。それと、学校内では敬語以外で話すのは慣れていないですから、暫くはこのままで宜しいでしょうか?」


「敬語以外で話せないって……そう言う問題なの? それよりも、私と一緒に居ると、恋の評価悪くならない? 男子に人気なのは知ってるけれど、女子にも人気あるみたいだから、恋と一緒に帰りたいと言う子居るでしょ?」


「私が咲と一緒に帰りたいのです。 他の人には興味無いので知りません」


「知らないって……そう言えば今日、恋は早く学校行ったから聞いて無いかもしれないけれど、お父さんもお母さんも帰り遅くなるって。だから、夕飯は私達二人だけね」


「……そうですか」


恋との会話が聞こえたのか、「他の人なんて知らない」と言われ何人か落胆している生徒が居た。

そして当の本人はと言うと、両親の帰りが遅いと聞いただけで、何故か嬉しそうにしていた。

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