表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/20

真綾

日曜日、僕は真綾に誘われて秋葉原にデートへ出かけた。僕は真綾と手をつなぎ、真綾の横顔を見る。今日の真綾の服装は白のカーディガンに白のワンピース。要するに白一色。真綾は美人だから何を着ても似合う。長く綺麗な黒髪と雪のように白い肌。そんな女子高生を男が放っておくがなく、周囲の同級生男子にかなり惚れられている。真綾もファンレターの返事に困っていると言っていた。あとついでに書き足しておくが、真綾のファンクラブもあるくらいだ。しかもそのファンクラブの会員数は同級生男子の半数。それに僕はファンクラブの名誉会長に勝手にさせられたのも書き足しておこう。結局、真綾に「何、私のことジロジロ見てんの。気持ち悪い」と言われたが。・・・別に僕は真綾のことを異性として意識してるわけではないよ。


家の最寄駅から秋葉原までは電車で30分ほど。乗り換えもあり面倒だった。秋葉原に着いた時には、朝の11時になろうとしていた。日曜日ということもあり、多くの人で溢れかえっている。




「大和。私、ここ寄りたい!」




真綾は秋葉原に着いた途端、買い物をしている。ちなみに買い物先はアニメショップ。真綾が買った品は察しておこう。真綾にそういう趣味があることを知らなかった。続いてはゲーセン。真綾は暇な時、よくゲーセンに通っている。




「大和、強すぎー!」


「最近全くやってないんだよなぁ・・・」




僕と真綾はエアホッケー対決をした。エアホッケーは数年ぶりにやる。結果は3試合やって全部僕が勝った。そして最後は2人でプリクラを撮ってゲーセンを後にした。流石にチューはしなかったが、お互い抱き合った写真と2人でハートの形を作った写真はまさにカップルそのものだ。我ながら見てて恥ずかしい物がある。




「あんたにこれを言うのもアレなんだけど、私も見ていて恥ずかしいよ・・・どう考えてもカップルにしか見えないと思うの」




真綾もそう思っていたらしい。で、ゲーセンを後にした2人は喫茶店に立ち寄り、昼食を食べることになった。裏路地にある小さな喫茶店。もう昼の1時を過ぎていた。僕はピザセットを、真綾はナポリタンと紅茶を注文した。結構量がある。そして、昼食を食べ終えた頃には昼の3時になろうとしていた。さて、これからどうするか。秋葉原をぶらぶら散歩していると、アイドルやコスプレイヤーのライブや撮影会がやっている。結局俺たち3人は、アイドルの無料ライブを見て時間を潰した。莉奈ちゃんも凛さんも今日は地方でイベントがあるため東京にはいない。そして夕方になり、その無料ライブは終了。聞いたことのないアイドルだったけど、みんな可愛い。結局、そのアイドルのライブが終わると、僕と真綾は秋葉原を後にした。そして電車に乗り、駅で真綾と別れようとした時、僕は真綾に止められた。




「大和、帰る前にあんたに話あるの。大事な話」


「真綾、何だよ。急に改まって・・・」


「大和、私。あんたのことが好き。一人の男性として、愛してる」


「え?何で急に・・・」


「だから私は大和のことが好きなの!17年間、ずっとずっと大好きだったの!」


「ちょっとバカなこと言わないで。僕と真綾は・・・」


「従姉妹だし結婚できる!」


「確かにそうだけど・・・」




お互い顔が紅潮している。心拍数も凄いことになっている。そして・・・




「桜井大和くん、私はあなたのことが大好きです。よかったらお付き合いしていただけませんか?」




結論は最初から決めていた。真綾には悪いけど・・・




「・・・ごめん。真綾とは付き合えない。僕、真綾から好きと言われて嬉しかった。でも・・・」


「そう。私こそごめんね。こんな従姉妹で・・・」


「でも僕は真綾が大切な人だと思ってる。莉奈よりもずっと、大切な存在。17年間、僕と真綾に築かれた信頼は簡単に壊れないよ」


「大和・・・」


「そんな訳で真綾、これからもよろしく」


「うん。私も大和は大切な存在だよ・・・」




真綾は僕にそう告げて別れた。そして、真綾の目は充血し、潤んでいた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ