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感情爆発『幽霊鬼』(旧題:幽霊鬼録)  作者: ナック
第1章その男、幽霊鬼につき
8/20

第5話

少し前を数年前に変更しました。

 諒は商店街の中を歩きながら辺りを観察していた。

 いつの間にかに空模様は、夕暮れ時で奥様方が夕飯の買い物をしている、風景が見える。

 諒が辺りを観察して、さっきまで真宵禍が出ていた隣とは思えないなぁと思っていると、蛍が諒を急かした。


「ーーほら早くしなよ。そんな事してると日が沈んじゃうよ……」


 蛍は自分で言った言葉をよく考えて、何かに気付いた様に諒に叫んだ。


「ーーてっ⁉︎今晩どこに泊まるの⁉︎」


 諒はうるさいなと思いつつ耳を塞ぎながら蛍に冷静に返した。


「公園のベンチで眠れば良くないか?」


 諒のホームレス発言に蛍は呆れた様子で言い返す。


「そんなホームレスみたいな事しなくても、お金はあるんだからホテルに泊まろうよ〜」


 蛍の言葉を聞いた諒は腕を組み自信満々で言い切った。


「自分は幽霊なんだから、どこで寝てても可笑しくないだろ」


 蛍は諒の発言を聞き更に呆れた様子で、頭を抱えた様に言ってくる。


「君ねぇ、幽霊と言っても普通に人には見えるし、人から見たら普通の人なんだよ、他人の視線は気にならないの‼︎」


 諒は蛍の心からの叫びを聞いても、尚頭を掻きながら一言。


「……別に?」


 その言葉を言うだけだった、それを聞いた蛍は溜息を吐きながら話を変えるのだった。


「ーーはぁ〜、取り敢えず、買い物しながら、あの屋敷の情報を集めよぉ‼︎」


「おぉ」


 蛍の意見に同意した諒は、行動に移した。手始めに周りを見た、諒は近くの肉屋で買い物をして話を聞くのだった。


「おじさん、豚バラを100グラムくれないか?」


「あいよ!そういえば、にいちゃんここらで見ない顔だな」


 肉屋のおじさんは諒の顔を見て、そう聞いてきた。肉屋のおじさんの質問に諒は誤魔化す様に。


「ーーああ今日、この街に越して来たんだ」


「へぇー、するってぇとにいちゃんは学生だなぁ」


 諒の言葉を聞きおじさんは諒の事を学生と思ったみたいだから、諒は曖昧に答えた。


「まぁ」


 するとおじさんは意味有りげに呟いた。


「あの学校(・・・・)はここいら辺じゃ有名な物の一つだからな」


 その言葉を聞いた諒は疑問に思いながらも屋敷の事を聞いた。


「すまないが、聞きたい事があるんだが」


 諒の言葉を聞いたおじさんは眼を光らせ、はにかみながら親指を上に立てて言った。


「おう!何でも聞いてくれ」


「町外れにある、屋敷の事を聞きたいんだが」


 諒の質問を聞いた途端、おじさんはさっきまでの元気が嘘の様に顔を顰めて、小声で話し始めた。


「ーーあの屋敷かぁ、数年前までは仲の良い老夫婦が住んでたんだがな……」


 おじさんの言い方に、諒は老夫婦が亡くなった事に気付いた。


「もしかして、その老夫婦は……」


「ああ。亡くなったよ、そこから変な事があの屋敷で起き始めたんだ」


 諒は無言でおじさんの話を聞いていた。尚もおじさんは話し続けた。


「ーー老夫婦には息子が居たんだが、その息子が屋敷を壊そうとしたんだが、業者の方が青い顔をして逃げ出してな、今じゃ誰も寄り付かなくなってなぁ〜、噂じゃ老夫婦の呪いじゃないのかとか言われてるみたいだぞ」


 諒は無言でおじさんの話を聞きながら、不審に思った屋敷に感じた気配は一つ(・・・)しか無かった、なのにおじさんの話を聞く限りでは老夫婦の呪いなので、二つ感じる筈なのだ。

 諒は自分の感じる力が弱かっただけなのだろうかと、悩んでいたらおじさんは諒のその表情を見て教えてくれた。


「もっと、詳しい事が知りたいなら、駄菓子屋の婆さんに聞きな、老夫婦と一番、仲が良かったからな」


「ありがとう」


 諒はおじさんにお礼を言って駄菓子屋に向かう。少し歩いて行くと、昔ながらのこれぞ駄菓子屋っていう見た目の建物が見えて来た。

 諒は駄菓子屋の中を見渡すと、背の凄く低いお婆さんを見つけて話しかけた。


「すいません」


 諒の言葉に気付いたお婆さんはその細い眼で諒を見つめた。


「ーーん?なんだね?」


 諒は屋敷の事をお婆さんに聞いた。するとお婆さんは細かった眼を見開いて、諒の言った言葉を否定する。


「あの屋敷の不思議な事は、呪いなんかじゃないよ!」


 お婆さんがいきなり大声を出して否定した事に驚きながらも諒は聞き返す。


「ではなんで、不思議な事が起きてるんですか?」


 お婆さんは諒の質問に悲しそうに答えた。


「あの屋敷には老夫婦と仲の良かった、座敷童子の女の子がおったのじゃ、それが二人が亡くなって、更にその息子が二人との思い出が深い屋敷を壊そうとしたから泣いておるんじゃ、きっと」


 諒はおじさんが座敷童子の事を言わなかった、理由をお婆さんに尋ねてみたすると。


「それは純粋に知らなかったんじゃろうな、儂等の年代の者しか知らない事じゃからな」


 諒は無言で考える、あの屋敷に行ってみるかと。

 そのまま諒が店から出ようとした時、お婆さんが諒を引き止めた。


「お前さんからは、座敷童子ちゃんと同じ気配がするのう」


 お婆さんの言葉を聞き諒は少し驚いて身構えたが、すぐに落ち着き聞き返した。


「お婆さんは、座敷童子と会った事が?」


 諒の言葉に頷いて、懐かしそうに話し始めた。


「ーー老夫婦の婦人……理恵さんに会いに行った時に、理恵さんの後ろに隠れていてな……。本当に可愛いらしい娘じゃったよ」


「そうですか」


 諒が答えるとお婆さんは後ろの戸棚からお菓子の袋を出して諒に手渡した。


「お前さんはこれから屋敷に行くんじゃな。なに目を見れば分かる、この金平糖を座敷童子ちゃんに渡しておくれ、理恵さんと亮治さんが座敷童子ちゃんの大好物だと言って良く買って行ったんじゃ」


 諒は金平糖の袋を受け取り、頷いて店から出て行った。お婆さんは自分以外居なくなった、店内で諒が出て行った出入り口を見て呟いた。


「座敷童子ちゃんを頼むよ……」


 店の外で諒は蛍と顔を合わせ頷きあった。


「行くぞ、蛍……」


「うん」


 諒と蛍は足早に、屋敷の方に向かうのだった。


大幅の手直しすみません

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