第2話
諒達が商店街に着き、上を見上げると鏡怪町商店街という、文字が目に入る。
「きょうかいちょう……この町の名前か?」
諒が辺りを見回すと結構、人通りは結構あり、活気づいていた。
「そんなに、キョロキョロしてると、変な目で見られるよ」
諒は蛍の話を聞き流しながら、周りを観察すると、奥の方に黒い壁があるのが見える。
「ん?あれか?」
走って壁に近づこうとすると、慌てて蛍に注意される。
「ーーちょっと、そんなに焦って行く前にちゃんと準備をしないと!!」
「ーー準備?……あぁ、食料か」
諒の考えでは準備=食料みたいで、それを言うと蛍にやんわり否定された。
「違う違う、君は今のままじゃ、鬼の力を充分に使えないんだよ」
「ーーそうなのか?」
諒がそう聞き返すと、蛍は偉そうに説明した。
「ふっふーん、そうだよ〜」
偉そうな蛍の説明によると、諒の鬼の力は後付けで、そのままの状態では使えないらしい。
「その証拠に、君に鬼の角はないでしょ」
そう言われて、諒は自分では気にしてなかったみたいだが、頭を触ってみた。
すると、やはり頭には角らしきものは無かった。
諒は今気づいたようで、少し惚けたように言った。
「あっ、ホントだ」
そんな諒の発言に、蛍は驚いたようだった。
「ーーえっ?今気付いたの⁉︎」
諒は蛍の驚きを無視して聞いた。
「ーーでっ?どうすればいいんだ?」
諒が聞くと蛍は、少し困った仕草で周りを見て、語る。
「その説明はここではマズイかな」
蛍はそう言うと、ある路地裏を見て。
「あそこの路地裏で説明するよ」
言うや否や蛍は、諒を置いて路地裏に入って行った。
「さっき、置いてくなって言ってたのに、自分は置いてくのな」
諒は少し呆れながら、路地裏に向かった。
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ーー路地裏、そこは人気の少ない犯罪が、起こりやすい所。
今は人っ子、一人もおらず、諒と蛍だけなのだが。
蛍は真剣な雰囲気で諒を見て、一言。
「まあ、簡単に言うと、君は自分の霊力で、出来た鬼のお面を着ける事で鬼の力を発揮できるよ」
「鬼のお面?」
蛍に言われて、節分の赤鬼のお面を思い浮かべる、私だった。
「多分、君が考えてる様な赤鬼のお面じゃないから」
諒は蛍の言葉に驚きながら、蛍に質問する。
「蛍……君は……超能力者だったのか!!」
諒が、そう言うと、蛍は足も無いのに滑って転けた様な仕草をとった。
「超能力者じゃ、無くても判るよ、君案外
解りやすいし」
蛍は呆れながら答える、諒は失礼な奴だなと思ったが、その事は言わずに蛍に質問する。
「それで、自分はどうすればいいんだ?」
諒がそう聞くと。
「だ〜か〜ら、自分じゃ無くて俺!!わかった!!」
諒はまた、話が脱線しそうだな、と思い。蛍の発言を無視して説明するように促す。
「そんな事より、説明してくれ」
不満そうにそっぽを向きながら蛍は説明する。
「ーーむぅ〜、どっちの手でも良いから、自分の顔に手を当てて、霊力を集中させればいいよ」
蛍が言った通り、諒は「ふん‼︎」と、言う掛け声でやって見ると、顔に黒い色に赤い目の口の部分が露出している鬼の面が着いた、それと同時に服装も、普通の学生服から野戦服と指出しグローブと戦闘靴、全て黒色の姿に変わる。
蛍が変わった諒の姿を見て笑いだす。
「ーーぷっ‼︎全身、真っ黒なんて、何処の厨二よ」
そんな蛍を見て諒は事無さげに言い返す。
「笑うのは良いが、お面を付けたら変わるって言ってくれよ」
諒がそう言うと蛍は謝りながら説明する。
「ごめんごめん、その服装は……」
簡単に蛍が言ったことを説明すると、この服装は諒の戦闘服らしい。
この服は諒の鬼のお面と連動していて、お面が外れる、または壊れる以外の方法では、破れる事も脱げる事も無いようだ。
その代わりお面が外れた、だけでも戦闘服は強制的に解除されるみたいだった。
ついでに、お面の方を補足すると、壊れた時は、次付けるのに壊れてから3分のインターバルがいるようだった。
「まあ、中々頑丈だし大丈夫でしょ」
蛍の言葉に頷き諒は路地裏を出て壁の前に立つ。
「初めての真宵禍か……」
諒が真宵禍を見て言ったら、蛍が入り方の説明をしてきた。
「幽霊の力で透り抜けを使えば、簡単に入れるよ」
そう言うや否や、蛍は諒の戦闘服の胸ポケットに入る。
諒はそれを確認すると、透明になりながら真宵禍に入って行く。
「行くか」
「レッツゴー‼︎だよ」
諒は真宵禍の中に、完全に入ったようだった、透り抜けを使った影響なのか、周りに人は何人か居たはずなのに、誰も気に留めた様子は無かった。




