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感情爆発『幽霊鬼』(旧題:幽霊鬼録)  作者: ナック
第1章その男、幽霊鬼につき
15/20

番外編 神の暗躍

注意:この話には主人公は登場しません。

 まあまあ、広い部屋で質の良さそうな椅子に座った。初老くらいの落ち着いた雰囲気の男性が、たくさんある書類にサインをしていた。

 男性が一息入れようとコーヒーカップを手にした時、何かの気配を感じたようで、椅子を立ち窓から外を見つめる。


「ーーふぅ、コーヒーでもどれどれ、ん?」


 すると窓から光る球体が、部屋の中に侵入してきた。それを見た男性は少し驚いた顔で、光る球体を見たかと思うと、次の瞬間その光る球体に対してかしずいた。


「……貴女様が此処に来られるとは」


 男性がその言葉を呟くと、光の球体は地面の方に近づき、その上に白い衣を纏った、美しい女性が現れた。


「ーーえぇ、今日はあなたに頼みがあって来たのです」


 すると男性は尚もかしずいて説明を求めます。


「ーー私めに、頼みとは……?」


 男性がそう聞くと女性は男性に顔を上げるよう指示した、すると男性は女性の指示どうり、顔を上げます。

 その様子を見て満足した、女性は話します。


「……貴方の学園に入れて、欲しい子が居るのです」


 そう言うと女性は手のひらを上に向けて男性に差し出した。すると女性の手のひらに諒の立ち姿が現れた。

 それを見た男性は困ったように女性に話す。


「ーーすみませんが、それは出来ません。もう三月、学園に入学出来る者は、決まっております故」


 男性の言葉を聞き、女性は首を横に振り否定します。


「ーーこの学園は、妖怪が多数在籍していますね。その妖怪達がもしかしたら、妖穢化してしまうかも知れません」


 女性のその言葉を聞き、男性は眼を見開いて驚き女性に言う。


「ーー妖怪が妖穢化するなんて……聞いた事ありませんよ」


 女性は男性の言葉を聞き、眼を瞑りながら首を横に振った。


「……残念ながら、本当の話です。町外れの屋敷の呪いの、原因は妖穢化した妖怪でした」


 女性の言葉を聞いた、男性は信じられないとでも言うような、顔で女性を見ると、ふとなんでその話と入学の話が重なるのか疑問に思ったようでした。


「ーーしかし、それと入学の話は無関係の筈ですよ」


 すると女性は待っていたとばかりに、微笑みながら話した。


「その件の妖穢を浄化したのが彼なのです……」


 そう言われると男性は驚いたようで、口を出す。


「ーー普通の人間の様な彼が、今まで誰も成し得なかった妖穢の浄化をしたと……」


 すると女性は尚も微笑みながら話します。


「ええ、私が浄化の力を与えましたから……だけど彼はそれ以上に驚く事を成し遂げました」


 女性の言葉に驚き、男性は女性に聞きます。


「……驚く事とは?」


 女性は男性の言葉に頷き説明します。


「……彼は妖穢化した妖怪の精神(ココロ)の中に入り妖怪を傷付ける事無く浄化しました」


「それは、身体をと言う事ですかな」


 男性が聞くと女性は首を横に振った。


「身体だけで無く、妖怪の心も傷付けず救いました」


「そうですか……」


 男性が難しそうな顔で悩んでいると、女性はまた頼みます。


「これから先また、妖怪の妖穢化が起きる可能性がある限り、彼を学園に在籍させるべきです」


 女性がそう言うと、男性は頷き女性の意見を了承した。


「ーーわかりました。して、彼の名は?」


 女性は微笑みながら答えました。


「ーー果てしなく長い真実……悠久 諒です」


 その名を聞き男性は微笑みながら呟く。


「……悠久 諒……」


 女性はもう一つ男性にお願いした。


「貴方の力を使えば、簡単でしょうけど。彼はこの世界に来たばかりなので、住民票を持っていないのです、お願いできますね……」


 すると男性はまた、女性にかしずいて言った。


「ーー御意に」


 すると女性は、光の球体に吸い込まれて、光の球体は飛び去った。

 そこに残されたのは男性だけで、男性は微笑みながら笑った。


「……忙しくなるわい」


 男性は机にある書類にサインをすると部屋の外に出て行った。机の書類を見ると諒の名前の書類に合格の印が押されていた。

女性の正体は感づいてる人は居るのでは?

男性はまた後々出ますよ。

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