表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
感情爆発『幽霊鬼』(旧題:幽霊鬼録)  作者: ナック
第1章その男、幽霊鬼につき
14/20

第11話

久しぶりの更新ですな。

 鳥のさえずりで、諒が眼を覚ます。いつの間にかに自分が寝ていた事に、諒が驚いていると膝に乗せていた華と、頭の上に乗っていた蛍が居ない事に気付く、諒が辺りを見てみると蛍は居なかったが、華が庭で花を摘んでいた。


「ーー華っ、なにしてるんだ?」


 華は諒に話しかけられると、摘んでいた花を手前に突き出して、微笑んだ。


「ーーおはようございます、諒さん。これはお爺ちゃんとお婆ちゃんにあげようと思って」


 華はそう言うと突き出した花を大事そうに抱いた。それを見た諒は微笑んでいたが、気付いたように華に質問した。


「そうか……あっ、そう言えば華は蛍を見なかったか?」


 諒がそう聞くと、華は不思議そうに頭を傾げた。


「……蛍ですか?いやですよ、諒さん今はまだ三月ですよ?」


 華がそう言うと、諒は頭を掻きながら困ったように説明する。


「ーーいや、虫の蛍じゃなくてな。自分の近くを浮遊してた、光る球体の事なんだが……」


 諒がそう言ったら、華が不思議そうに首を横に振った。


「諒さんの近くに、光る球体なんて、ありませんでしたよ」


 華の言葉を聞き、諒はまさか蛍の存在が見えてるのは自分だけじゃないだろうかと気付いき頭を抱えていた。

 諒はそう言う事は先に言ってくれと一人心の中で愚痴ると華に対して話を変える。


「……爺さんと婆さんへの花か、此処からお墓は近いのか?」


「……はい」


 華はそう言うと庭の勝手口を見た。


「あそこの勝手口から、山道を登ればお爺ちゃんとお婆ちゃんのお墓に行けます」


 華の話を聞き諒は、こんな山奥にポツンと墓を建てたのかと思い不思議に、思っていると華は続けて言い始めた。


「お爺ちゃんもお婆ちゃんも、この山が好きだったみたいで、生前にこの山にお墓を建てたの」


 華の言葉を聞くと、諒は眼を瞑り華の頭を撫でました。


「そうか……じゃあっ、行くか」


「……はい」


 諒の言葉に華は俯きながらも、返事をして二人は歩き出した。


 ************


 諒達が山道を、登って行くと街が、一望出来る崖にお墓が一つ佇んでいた。

 華はそのお墓に近づき、持っていた花を供えて、手を合わせた。


「お爺ちゃん……お婆ちゃん……遅くなってごめんね、私……」


 華は涙を堪えながらも、言葉を紡ぎます。

 諒はその言葉を隣で聞いていたが、お墓に違和感を感じて、眼に霊力を集中させたら、違和感の正体に気付く。

 なんと、お墓には爺さんと婆さんの想いがまだ、色濃く残って居たのだった。


「ーーすまないが、華。少し下がってくれないかな?」


 諒の言葉に華は不思議そうに返事しました。


「ーーはっはい……」


 華が後ろに下がると、諒は左手に霊力を集中させて、お墓に向かって放出しました。すると、お墓の近くの爺さんと婆さんの想いが霊となって具現化していきます。

 それを見た華は眼を見開いて涙を溜めて爺さんと婆さんへ向かって走り出し、二人に抱きつきました。


「ーーお爺ちゃん……お婆ちゃん……‼︎」


 華が抱きつくと二人は華を抱き締めて頭を撫でました。


『ーー華や……可愛い……華や』


『ーー泣いてないで笑顔を、見せておくれ』


 二人がそう言うと華も満面の笑顔で「うん」と返事しました。

 それを見た諒は嬉しそうに微笑みました。


 ************


 それから少し経った後、爺さんと婆さんは諒の方を向いて頭を下げてきました。


『ありがとう、幽霊鬼さん華の笑顔を取り戻してくれて』


「ーーいえいえ」


 諒が首を横に振りながらそう言うと、二人は更に続けて言いました。


『華の笑顔を取り戻して、くれたばかりか、もう一度合わせてくれましたし、お礼をしないと』


 爺さんはそう言うと何をお礼にしようか考え始めました。すると婆さんが横から爺さんに話しました。


『お爺さん……あの家を幽霊鬼さんにあげれば良いんじゃないですか』


 婆さんがそう言うと爺さんは手を叩いてそれに同意した。


『そうだ、それが良い。あの家と土地の権利書ならあの家の箪笥の中にある筈だから差し上げよう』


 二人がそう言うと諒は困ったように頭を掻きながら言った。


「そんな……いただく事は出来ませんよ」


 諒がそう言うと爺さんは首を横に振りながら諒に頼む。


「いえ、あの家はどうせ、息子に渡しても潰されるだけじゃし、君へのお礼と華と一緒に過ごして欲しいんじゃ、そうしてくれれば儂等も安心して成仏できるわい」


 爺さんがそう言うと、華は心配そうに諒を見上げています。そんな華を諒は見つめて、考え最後には華の頭を撫でて了承した。


「ーーわかりました。華の事は任せて下さい」


 諒がそう言うと老夫婦は段々消えていって、最後にはそこには最初から、居なかったように完全に無くなりました。

 諒はまた、華の頭を撫でて微笑んだ。


「……行くか」


 それに呼応するように華も微笑んで返事をした。


「ーーはい」


 ************


 諒達が屋敷に戻ると其処には、蛍が居た。

 蛍を見て華は、驚いた顔で呟く。


「……光の玉だ……」


 華にも蛍が見えた事に諒は驚いて、佇んでいると、蛍が爆弾発言を落とした。


「ーーあっ!諒君、君には今度から学校に通って貰うから」


 蛍のその発言を聞き呆けたように諒は呟く。


「……マジ……?」


 諒の言葉は誰にも拾われる事なく消えていった。

第1章の本編は取り敢えず終了。

次は番外編が2話くらい入りますよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ