第10話
結構長くなりました。
古民家の玄関で蛍が、一人慌てている。
「諒君が、消えちゃった!!どうしよう、どうしよう」
蛍が慌てていると、後ろから。
「……今、戻ったぞ」
諒が、華を抱き抱えて、事無さげに言ってきた。
「……っ‼︎」
諒の声を聞き、蛍は声にならない悲鳴を上げその場に下降して行く。
諒はその様子を見て、事態を把握すると。
「ーーすまない、蛍。驚かすつもりは無かったんだが……」
諒がそう言うと、蛍は気が付き怒りるように。
「驚かすつもり無くても、あの状態じゃ驚くよ!!」
蛍は諒の腕の中に少女が居るのに気付いて訝しみながら。
「諒君、いくら女っ気が無いからって……」
蛍は、いかにも諒が誘拐して来たように言おうとしたが、それを諒は真顔で否定する。
「いや、蛍。この娘は座敷童子だよ」
蛍はそれを聞き驚いたように答える。
「えっ?諒君が居なくなって5分程度しか、経って無いのに?」
諒は蛍のその言葉を聞き、不思議そうに首を傾げながら。
「……俺の体感では結構、時間は経ってたきがしたんだけどな?」
諒がそう答えると、蛍は食い気味に諒に対して状況説明を求める。
「ーー所で、一体何があったの?」
諒はそう言われると、真剣に考えて、微笑みながら言った。
「こんな所で説明するのもなんだし、この娘も休ませたいから移動しようよ、蛍」
諒はそう言うと、迷いなく奥に進んだ。諒達が進んで行くと、縁側についた。
「ーー縁側?」
蛍が疑問符をあげていると、諒は優しい顔で華を見ながら言った。
「多分、この娘が一番落ち着ける場所だからな」
そう言うと、諒はその場に胡座を掻き華を膝の上に降ろした。
その後、お面を外して戦闘状態を解き、学生服の上着を華に掛けた。
「ーーじゃあ‼︎説明して貰おうか」
蛍は諒の顔の至近距離でそう言うと、更に近づいてくる。
「……わかったから、そんなに近づくなって」
諒は今までの経緯、華の記憶を見た事、妖怪の筈の華が妖穢化していた事、華の精神世界に妖穢が五体おり、融合して来た事を説明した。
「……うーん、妖怪の妖穢化とか、妖穢が融合したとか初めて聞いたよ」
頭を抱えたそぶりで蛍は言った。
「ーー神様の分身体の蛍でも、わからないか。……まあ、神様が知ってたなら最初から言ってただろうしな」
諒と蛍が考えて話し合って居ると、華が目を覚まし、寝惚け眼で諒を見つめる。
「……っ、お兄ちゃん?」
「ーーおっ、目を覚ましたかと」
目を覚ました、華を見て諒は微笑みながら、華の頭を撫でると、華は気持ち良さそうに諒の膝に頬ずりをする。
華の記憶が、覚醒してくると、顔を赤くして。
「ーーすっ、すいません‼︎お兄ぃ……諒さん」
諒は頭を掻きながら戸惑ったように。
「ーーえっと、名前を知ってる、て事はさっきまでの事を覚えてるんだよな」
諒が、そう聞くと華は慌てた様子で手振り身振りで説明する。
「……はい。私の中に穢れが生まれた時からの記憶もずーっとありますから」
諒は記憶の中で見た、少女より大人びた口調なのを見て納得した様に頷いた。
「私、なんって事を……」
華が話そうとした時、華のお腹の辺りから可愛らしい音で、[ク〜〜]と鳴った。
「……すいません」
華は顔を赤くしながら謝ると、諒は少し微笑みながら、懐から、金平糖の袋を取り出し。
「ーーはい、これ駄菓子屋のお婆さんから、好きなんだろ、金平糖」
華に渡すと、恥ずかしそうにハニカミながら、金平糖を頬張り御礼を言ってきた。
「はい、ありがとうございます」
諒と蛍はそんな華を見ながら嬉しそうに微笑んでる。
華が金平糖を食べ終わり俯きながら眼を瞑り呟く。
「私、お爺ちゃんとお婆ちゃんに謝らないと……」
華そう言い出すと、悲しそうに涙を流しながらも続けて呟いた。
「私、色んな人に、迷惑掛けたから、消えないといけないけど、その前にお爺ちゃんとお婆ちゃんに謝りたいの」
諒は華の言葉を聞くと目を険しくして睨んで言った。
「華‼︎俺はお前さんを消すために救ったんじゃないぞ」
諒がそう言うと、華は目を見開いて驚いた、諒は続けて言った。
「言ったろ、俺はお前さんの笑顔を取り戻しに来たんだって」
諒は恥ずかしそうに更に続ける。
「行く当てが無いなら、俺が一緒に居てやる……だから、笑えよ」
諒のその言葉を聞き、華は目には涙を溜めながらも懸命に笑い。
「ーーはい!」
諒はその言葉を聞くと、恥ずかしそうに。
「爺さんと婆さんの所には明日、一緒に行ってやるから……今日は取り敢えず寝ろ」
諒はそう言うと自分の膝を叩いた、華は恥ずかしそうにしながらも、諒の膝に頭を乗せ、微笑みながら御礼を言った。
「ありがとうございます」
諒は、華の頭を撫でながら、照れた顔で返事する。
「あっああ」
華が、寝入ったら、蛍が諒に対して笑いながら、褒める。
「へ〜、カッコいい事言うね、少しは感情出て来たんじゃ無い?」
諒は恥ずかしそうに、蛍に寝るように言った。
「うるさい、お前も早く寝ろ」
「は〜い」
諒にそう言われると、蛍は諒の頭に乗っかり動きを止めた。諒は自分の頭に乗った蛍にビックリしてつっこむ。
「そこかよ」
諒のツッコミは虚しく響くだけだった。
夜の闇は益々更けていくのだった。
すいません、最終話って言ったけど、次になりそうです。




